開国間近、日本にもようやく春が来るか

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統計資料だけ見れば予想通り、2月第一週がオミクロン株のピークだった可能性があります。他国と同じような推移を辿るなら今後、ピークから6-7割減までは急落し、その後、下落率はそれほど急ではないものの着実に下がるとみています。この予想が正しいならば2月末には一日の感染者が3万人を割っている公算もあります。現状、強力な変異株は世界で出ておらず、これでエンデミック(地域的流行)に推移していくのでしょうか?

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さて、国際的に批判が強かった日本の鎖国政策についてこれまた予想通り、岸田首相は3月より現在の水際対策の延長をしない方針を打ち出し、新たな「移行期」への準備を開始しました。何度も申しあげたとおり、一度扉を閉めると開きにくくなり、長めの「移行期」を経ることになりそうです。今回の最大のハードルは一日の受け入れ人数で、現在の3500人/日を5000人/日にする方針という点です。

2019年のピーク時には一日8万人が入国していたことを考えれば仮に5000人になっても16分の1,ピークの6.25%という情けないレベルであります。仮に変異種などの再流行がなければ初夏までにはそれなりの入国者を受け入れる体制を整わせる必要があります。だた、入国を希望しているのは留学生やビジネス関係者、日本人海外旅行者の帰国だけではなく、在留邦人の帰国待機組が極端に溜まっているのがもっと問題になります。

在留邦人は長期滞在者が83万人、永住者が53万人の合計136万人ですが、過去2年以上に渡り帰国できていない人がほとんどですので例えば、この半数である延べ約70万人が年内に一時帰国をするとなればこれだけで一日2300人程度の枠組みが必要になります。日本にいらっしゃる方からすれば在留邦人の半数もなぜそんなに急いで帰国するのか、という疑問があるでしょう。多くの在留邦人は日本の家族絡み、親族の不幸、遺産相続など数多くの帰国しなくてはいけない理由を抱えています。中には親の介護をするのに帰国できないのでオンラインで日本にいる親と毎日つないで間接的な介護の支援をしている方もいるのです。

こうなると何が問題になるかといえば今後、飛行機の予約が取れなくなるのです。例えば一日5000人とした場合で試算しましょう。日本に降り立つ飛行機の数は21年冬ダイヤベースで日本全国で一日あたり83便、うち成田が47便、羽田が25便あります。国際線の座席数平均は191程度なのでキャパシティでは1万6千席あります。そのうち、5000人の入国ということは飛行機の搭乗率を最大31%にすることになります。これでは座席の奪い合いは必至でダイナミックプライス方式が適用される航空料金は価格が2倍ぐらいにすぐに跳ね上がることになります。

よって日本政府としてはまずは5000人のキャパシティを現在の冬ダイヤのキャパシティと一致する15000人に増やすことが喫緊の課題でその後、6月ぐらいまでには夏ダイヤに向けて3万人、夏までに5万人ぐらいしていく必要があります。

今回の緩和案でちらほら聞こえてきているのが3回接種で隔離なし、です。日本はルールが厳しすぎるという評判と共にそれを守る人と守らない人で雲泥の格差があり、かつ守らなくてもほとんどおとがめなしでありました。海外なら懲罰的罰金など厳しい措置があります。結局、何のための複雑怪奇なルールだったのでしょうか?また、海外からの人を隔離する政策の論理性というのも問われたと思います。

今回の緩和措置で「3度接種で隔離なし」になる公算が高いのですが、日本は3度接種の比率はまだ10%に遠く満たないのです。韓国は一部の人に4度目の接種をやろうとしているところです。海外から見れば日本の方がむしろ大丈夫なのか、という疑念すら起こりえるのです。では、接種すれば安全か、という議論は学者でも専門家でもない我々レベルで議論する意味はほとんどなく、少なくとも対策をとっているのだという証をもって緩和措置とするのは当然だと考えています。

素人が敢えて言うならワクチンの確率論から推測し、90%の効果と半年の効果持続性から推察するしかないありませんが、マクロ的には効果があることを否定することはできません。また経口薬など様々な対策も出てきているし、感染症そのものは人類の歴史で克服してきています。

私もさほど遠くないうちに日本の地を踏めそうな気がしてきました。旅程を3回延期しましたが、どうやら今度は大丈夫のような気がしています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月16日の記事より転載させていただきました。

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