東急主催のイベント公募プログラム「渋谷渦渦」の2021年度下期に採択されたイベントが開催されます。そのひとつが「ロシアの日」。ロシアの文化にフォーカスしたイベントです。
主催者である日本ロシア学生交流会の上原さん、實渕さんに話を聞きました。
インタビュアー・構成:小野(やじろべえ)・林(デイリーポータルZ)
イベント詳細は記事末にあるので気になる方は先にどうぞ!
イベントCMはロシア人コスプレイヤー
―――ロシアの日について概要を簡単に教えてください
上原:
ロシアは日本にとって隣国であるにもかかわらず、非常に心理的に遠い国です。その状況をどうにかして転換させたい。かつ、ロシアをひとつのカルチャーコンテンツとして日本に根付かせたいという希望があって渋谷渦渦に応募しました。
イベントはロシアに関するたくさんのゲストの方をお招きして、トークとダンス、楽器演奏などを用意しております。
――― イベントの進行表を見せてもらいました。ロシア人の声優さんが来られるんですね。
上原:
ジェーニャさんというかたで、ロシアゴスキーという、テレビでロシア語の後継番組に定期的に出演されています。日本で活躍するかたはほぼいらっしゃらないので非常に珍しい存在です。日本語も流暢です。(ジェーニャさんTwitter)
渋谷のQsEYEで放映するこのイベントのCMにはSayaScarletさんというコスプレイヤーの方にご出演いただいております。(SayaScarletさんTwitter)
――― ロシア人のコスプレイヤーさんはどこで活動してるんですか
上原:
基本的にInstagramなどのSNSです。コスプレイヤーとしての生計を立てられておりまして、コロナ前までは私たちが開催したイベントにも出演していただいたこと もございます。
――― イベントに戻ると、音楽はクラースヌイイ・フィルハーモニー管弦楽団。この楽団はどういう楽団なんでしょうか。
上原:
ロシア音楽を専門に演奏されている楽団の方になります。
まず他の普通のオーケストラでは絶対演奏されないような、聞いたことがない曲にも挑戦されています。チャイコフスキーは皆さんご存知だと思うのですが、それ以外の一体どこから持ってくるんだってくらい意欲的な作品に挑戦されています。
――― ロシアの音楽の特徴はどんなものでしょう?
上原:
楽器の編成に関しては西ヨーロッパとあまり変わらないものとなります。ただ、本当にいろんな個性を持った作曲家が生まれる、文化的に強い土壌だと思います。
有名な演奏家、指揮者の方がたくさんいますし、もちろんポップミュージックにおいてもロシアンハードベースなど世界的な音楽ジャンルが存在します。
聴く側の耳も肥えています。
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ロシアンハードベースのPV
―――それから現地中継企画もありますね
上原:
タタールスタン共和国のカザンという街で大学生をしているアディリャさんとつなぎます。
タタールスタンは「タタール人の国」という意味で、タタール人はロシアでは少数民族としては相当な規模を有する民族で、有名な方ですとアリーナ・ザギトワさんなどがいらっしゃいます。(ウドムルト共和国出身)独自の文化があるので、そういったところに焦点が当てられるといいなと思ってます。
――― ダンスの演目にコーカサスダンスとありますが
上原:
ダゲスタン共和国の民族舞踊団から召喚されたジギット野崎さんが出演してくれます。ジギット野崎さんは日本人です。
コーカサスというのはカスピ海と黒海の間に挟まれた、アジアとも言えるしヨーロッパとも言える土地で、多民族で多様な文化がある地域になります。
そのなかにダゲスタン共和国や小さい国がたくさんあります。
上原:
ジギット野崎さんは19歳ですが、コーカサスの踊りを独学で習得されております。
レズギンカダンスというのはなかなか言葉で説明しづらいので、是非当日ご覧いただけると嬉しいです。本当にかっこいいです!
(現地のニュースでとりあげられたようす)
―――どんな方に来てほしいですか?
上原:
ロシアに興味がある方であればどなたでもいらしていただけたらと考えております。
ちょっと事前知識がある方向けの内容で考えてますが、ダンスや演奏は事前知識なしでお楽しみいただけると思います。ゴリゴリのマニアだけを待っているということではないです。
一見さんもロシア常連さんでもたくさんの方にお越しいただきたいと思っております。
主催の日本ロシア学生交流会とは
―――日本ロシア学生交流会について教えてください
實渕:
ロシア人の学生を日本に招いたり、逆に日本の学生がロシアに行くといったことをやっていました。が、コロナになってからはオンラインが主体で運営しています。
――― もともとロシアがお好きだったんですか?
上原:
中学高校時代オーケストラを部活でやっていたので、ここでロシア音楽に触れ、それからズブズブと沼にはまっていきました。
實渕:
日本ロシア学生交流会の先輩から、ロシアの対独戦勝記念日の軍事パレードを見るイベントに誘われて。入会するなら飛び入りで参加してもいいというので、そういうきっかけで入りました。
實渕:
ロシアに興味を持ったきっかけがタミヤのプラモデルでした。
旧ソ連戦車にロシア語が書いてあって、小学生ながらこの文字を面白いなみたいに思って、キリル文字とかに関心を持ち始めて、ロシア語にも触れるようになっていて…そんな感じです。
――― パレードは面白かったですか?
實渕:
大規模なものでなかなか興味深かったです。笑
――― この会に入って意外に感じたことはありますか?
實渕:
小さい話なんですが、実際に留学に行った人から一定期間お湯が出なかったという話はヤバって思いました。
水道管の掃除か何かで1週間ぐらい水しか出ない期間があるらしくて。
上原:
アニメや日本のカルチャーが好きな方が多いっていうのは感じます。そんなよく知ってるね、みたいな作品について話されたり。呪術廻戦とかだけじゃなくてフェアリーテイルとか。
ロシアはヨーロッパなのか
―――ロシアって寒いという漠然としたイメージだけでした…
上原:
寒い・でかい・プーチン。これぐらいですよね。
料理、クラシック音楽、現代音楽、絵画、バレエ、文学。そういった芸術・文化における強さというのももっといろんな方に知っていただきたいなと思います。
ウラジオストクに関してはコロナの直前にANAとJALの定期便が開設されまして、広告で「日本からもっとも近いヨーロッパ」と謳われています。2時間半なので沖縄行くくらいの時間でロシアって実は行けちゃうんですね。
電子ビザが必要ですけど(ロシアはビザが必要ですが、ウラジオストクは電子ビザで行ける)
――― どこからヨーロッパって区切ってるんでしょうね
上原:
我々アジア目線から見たらモスクワってもうもはやヨーロッパですけど、ただヨーロッパ人からするとロシアはヨーロッパじゃないっていう見方らしくて、なかなか面白いですね。
實渕:
ロシアの極東に住んでいる方も自分がヨーロッパに住んでいるとは思ってないかもしれません。ただ、街並みはもう完全にはロシアですね。
おそロシアじゃなくて「すばラシヤ」を推したい
――― いま行きたいロシアはどこですか?
實渕:
やっぱりモスクワとかペテルブルクといった王道や行ってみたいですし、ロシアじゃないんですけどベラルーシにも興味あるんで行ってみたいです。
上原:
タタールスタンのカザンとか民族独自の文化がある都市に興味があります。日本と近い極東地域にも興味があります。
コロナ前まで樺太は稚内から船が出ていたので、一度でいいから飛行機を使わずにロシアに行ってみたいです。
―――今後の展望を聞かせてください
實渕:
ロシアとは政治的や環境の面で近くて遠い国みたいな印象もあると思うんですけれど、文化的な意味での交流は大切にしていきたいと思っています。
知られてない文化や面白い文化が山ほどあると思うので、食わず嫌いみたいのをなくしていきたいなと思ってます。
上原:
「おそロシア」という言葉がありますが、ロシアってロシア語風に発音すると、ロともラとも言えない音です。
その素晴らしい面もあるってことで「すばラシヤ」と社会人の方がおっしゃってたんですけど、こういう「すばラシヤ」をもっと広めていきたいです。
―――ありがとうございました!
ロシアの日 POWERD BY 渋谷渦渦
2022年3月12日 17:00~19:15 後夜祭19:30~21:00
チケット:前売りチャージ券
2500円・後夜祭1500円(入場時ドリンク代600円別途必要)
イベント詳細
楽器演奏やダンス、トークショーから
現地からの中継やクイズ大会まで!
「ロシアが好き」をぎゅっと詰め込んだ一日!!!
意外と知らない隣国ロシアの世界を、渋谷で感じてみませんか?
皆様のお越しをお待ちしております!
【ゲスト出演者】
クラースヌイ・フィルハーモニー管弦楽団(楽団・楽器演奏)
後夜祭出演
【URL】
東京カルチャーカルチャーイベントページ
http://tokyocultureculture.com/event/general/32653
イベント公式Twitter
https://twitter.com/russia_shibuya
イベント公式Instagram
https://www.instagram.com/russia.shibuya/
日本ロシア学生交流会Twitter
https://twitter.com/nichiro_kanto