「東京ばな奈」を食べたことのない東京人が初実食してみたら、“これぞ土産” だった

ロケットニュース24

「東京ばな奈」という菓子がある。東京土産として有名な人気商品だ。筆者は東京生まれ東京育ちであるにもかかわらず、食べたことがない。以前から食べたいとは思いつつ、なかなか実食までは至らずにいる。

東京以外に住んでいる方なら、土産に買って食べたり貰ったりすることもあるだろう。しかし東京人はその潮流から外れがちである。最近ふと思ったのだが、むしろ東京に居着いている人間ほど「東京ばな奈」の体験が抜け落ちやすいのではなかろうか。

つまりは「東京ばな奈」のドーナツ化現象である。バナナなのかドーナツなのかややこしくなってきたが、ともあれ筆者はこうも思った。自分が「東京ばな奈」を初実食し、その魅力を伝えることで、少しでもこの現象を改善できる可能性も残されているのではと。

そんな謎の使命感にどうしようもなく駆られた筆者は、ついに「東京ばな奈」を購入した。今回選んだのは8個入1078円のものである。

黄色いパッケージにでかでかと躍る、「見ぃつけたっ」の文字。長らく見つけていながらも顔を合わせずにいた身としては、やや罪悪感を煽られる。が、その微妙な距離を埋めるためにこそ今この瞬間がある。

中身を取り出すと、バナナの形をしたスポンジケーキ群がずらりとお目見えした。空港の土産屋のショーケースなどで何度も見かけては、「機会はいくらでもあるし今度でいいか」とさんざん舐めた態度で素通りしてきた菓子が、いま間近に横たわっている。

ショーケース越しに見るよりも、眼前の「東京ばな奈」は輝いて映る。こうして改めて相対してみると、何というか、オーラがある。別に土産専門の霊能者とかではないのだが、食べる前から「ケチのつけようのなさ」のようなものを感じてならない。

そして一口食べた後に、その感覚が正しかったことを知る。美味しい。想像以上にスポンジがしっとりとしていて、しかし口の中にべたべたと留まるようなことはなく、柔らかにほどけながら通り過ぎていく。

その際、しつこすぎない案配で香るバナナの風味と、舌の上で溶けるカスタードの優しい甘さが響き合い、味覚を心地良く震わせる。ケーキをするりと飲み下した喉に、ささやかな飢餓感を残していくことも忘れない。

すぐさま二口目、三口目、さらには二個目に手を伸ばしながら思う。全てが絶妙だ。スポンジも、香りも、カスタードも、高水準値をたたき出しつつスッと身を引いて、出しゃばった印象を与えない。いくらでも食べられそうなくらいには、とてつもなく完成されている。

よほどバナナが苦手といったケースでもない限り、老若男女問わず万人が食べやすく、加えて漏れなく好きになってしまう一品ではなかろうか。ケチのつけようがないうえに、これぞ土産と言うほかない。さすがこの混沌とした東京の地で人気を確立するだけある。

というわけで、ここまで自分なりに「東京ばな奈」の魅力をお伝えしてきたつもりだが、いかがだっただろうか。もし生粋の東京人で、かつての筆者と同じく未実食の方がいたら、ぜひとも味わってみてほしい。もちろん東京以外にお住まいの方にもお勧めだ。

筆者としては食べることができてよかったと心底思っているし、今まで「東京ばな奈」を素通りしてきた罪を、少しでも償うことができていれば幸いである。ドーナツ化現象が収束に向かうことを願うばかりだ。念じるしかない、私の記事を「見つけてくれ」と。

参考リンク:「東京ばな奈」公式HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

Source