絵本では虎で出来たバターでパンケーキを焼いてたべるのですよ。
虎は同じところをぐるぐる回り続けるとバターになる。もちろん現実にはそんなことはありえません。子供の頃に読んだ絵本にそんなシーンがありました。
けど、上手くやれば虎がぐるぐると回ってバターを作ることができるのではなかろうか?出来るに違いない。
やってみます。
※2009年1月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
子供の頃読んだ方も多いはず
虎がぐるぐる回ってバターになる。この話は「ちびくろさんぼ」で知られる絵本の中に出てくる話。年代によっては「トラのバターのパンケーキ」などのタイトルかもしれません。
主人公の男の子が新しい服と傘で出かけると乱暴者の数匹の虎に次々とそれを盗られる。やがて虎たちは他の虎が盗った物が欲しくなり取り合いをはじめる。取り合いをしていて木の周りをぐるぐると物凄い勢いで走り出すとやがて虎はバターになってしまう。男の子は服と傘を取り戻し、そのバターでパンケーキを焼いてもらって美味しく食べましたとさ。そんな感じのお話です。
しかし、子供の頃に読んだきりなので細かい所までは思い出せず。友人が「近所の本屋にオリジナル版が売っている」というので買ってきてもらいました。
オリジナル版ということで買ってきてもらったものの、あまり記憶にない感じの絵。ひとまず読んでみる。
虎はまんまとバターになっていた。そうだ、虎はグルグル回るとバターになるんだ。よし!虎をぐるぐる回してバターにしてみよう!
虎をぐるぐる回してみます。
というわけで虎をぐるぐると同じところを走らせてバターを作りたいと思います。バターになるということは虎は乳製品。生クリームで出来ているようです。バター原料となる虎をスーパーで入手してきました。
北海道産の虎を入手しました。虎成分は47%。バターにするには問題ないレベルの虎でしょう。けど、虎をこのままの状態で走らすのは困難。こいつに登場してもらいます。
虎を密封する袋を用意しました。これでどんな環境でも虎をぐるぐる回すことが出来ます。
調査の結果、虎は低温の方がバターになりやすい。割と暑い所にいるくせに意外な答え。保冷剤を用意します。
ということで虎バターの材料は揃いました。虎を外の世界へ放しぐるぐると走り回らせバターにします。
虎は荒川沿いでぐるぐる回るらしい
ということで、家を出た虎は走って荒川沿いまでやってきました。実は虎を走らせたのは昨年末のこと。慌しい師走のさなか、虎は荒川沿いを走っていました。すべてはバターになるため。虎、走ります。
以前、当サイトで雨が降る中ジェットコースターを使ってバター作りが試みられていますがこの日は晴天。ぐるぐると走るには丁度いい。
走る場所は荒川沿いの1周400mの陸上トラック。ここを何回走ると虎がバターになるか確認したいと思います。この日は午前中区内の学校の競技会が開催されていた模様。虎が走る前は本気でランナーが走っていたようです。そんな競技者の熱が残るトラックで虎・・・走ります。
ここでぐるぐる回る
走る前にまずは仕込み
まずは虎をバターにするための最良の環境にします。保存袋に虎を入れたら更に大きな袋に入れ周りを保冷剤で固める。
ザックに入れられた虎はトラックをぐるぐる回る間に攪拌されてやがてバターとなるはず。さて、虎は何周する間にバターになるのか!
撮影を妻に任せ虎は走り続けます。最終的には虎バターでパンケーキ。絵本の世界を現実にしましょう。いざ、虎バターランニング!
虎、走ります!
ということで、虎をバターにするため走ります。同じところをぐるぐる。ぐるぐるバターでサンボと同じくパンケーキを食べましょう。
とりあえず、1周400mのコースを5周走る毎に状況を確認しつつ進んでみたいと思います。スタートです。
この繰り返し。何も考えずぐるぐると回り続ける。全ては虎をバターにするため。そして5周走ったところで1回目のチェック。距離にして2km走行。
袋全体が真っ白。小さい泡が出ているので攪拌はされているようです。それ以外これといった変化無し。更に走り続けましょう。
もう5周走行。トータル10周。距離にして4km。2回目のチェックです。さあ虎はどうなっているか。
先ほどよりかは気泡が増えているもののあまり変化は無し。まだ生クリームのままの虎。これは長期戦になりそうな予感。さらに5周追加です。
ついでに虎に与える刺激を強める為に飛び跳ねてみました。
こうして更に5周。トータル15周回る。距離にして6km。さて虎はどうなったか!
気泡が増えて確実に変化はしてきているもののバターにはまだ程遠い感じ。もっと回らなくては虎はバターになりそうもない。続けて回っていきましょう。同じところをぐるぐると・・・
飽きた
同じところを回るのって景色が同じで飽きる。ハムスターはカラカラと同じところを回り続けるが、虎はそうはいかない。トラックを回り続けるのは飽きる。音楽聴きながら走ってますが飽きるのです。
というわけで、どうせぐるぐる回るならもっと大きく回りましょう。ここは川沿い。両岸にはサイクリングコースがあり橋でつながっている。2本の橋の間を渡りぐるっと1周すればおよそ8kmぐらいの距離。一気にトラック20周分ぐらい稼げてしまう。虎、大きな世界を走ります。
中山道にかかる戸田橋と新大宮バイパスにかかる笹目橋の間を走ります。
大きくぐるっと!
妻から撮影用カメラを受け取りここからはぐるっと一人旅。まずは東京都側を下流へ向けて走る。
東京都側は河口まで続く広いサイクリングロードがあります。災害時に救援物資などを運ぶ目的で作られているらしい。走るのにはちょうどいいです。
再びトラックまで戻ってくるとかなり日が傾いてきました。走行中はなるべく攪拌できるようにザックを固定するための腰のところのベルトは装着せず。更にムダに飛び跳ねてみたりしながら走行。手にザックをもって振り回してみたりもしています。トラックに降りて虎の状況を確認しましょう。
えーっとですね。虎を取り出してみると柔らかい何かが中で出来ていまして、振ってもあまり動きません。こいつはぐるぐる回って虎がバターになったか!ヤッター!と夕日にガッツポーズしかけたのですよ。
しかし、よく見るとやや水っぽく所々に気泡が残る。バターではなくクリームです。そう、攪拌されてホイップクリームになってしまいました。クリームなので振ってもあまり動かず。これではいくら走ってぐるぐる回ってもバターになりそうもありません。距離にして約14km。トラックで35周ほど走ったところで虎はホイップクリームになってしまいました。
日が暮れてしまったので、しかたなくこれをまたザックに詰めて家まで走って帰る。家に帰り別の方法で虎にはぐるぐる回ってもらいます。
バターだ!お前はバターになるのだ!ガオー!
というわけで家に戻る
家に帰って袋の口を開けてみました。中を見るとそこには白いホイップクリームが入っていました。
この虎にバターになってもらうため別の虎を投入しましょう。それに高速でぐるぐる回ってもらいます。ということでこちら。
ホイップされた虎を袋から出してボールに移し替える。ホイップ虎へ赤い虎を投入して激しくぐるぐる回ってもらうことにします。さあ、回転開始!
2分とたたないうちに虎がボソボソしてきました。
さらに回転を続けると虎から水が出てきます。水分が分離しはじめてきたら完成はすぐそこ。
とうとう虎がバターに変化しました。回転開始から3分ほど。あっという間の出来事。今までぐるぐる走って回っていたのはなんだったのかとちょっと疑問に思う。まあ、いいでしょう。バターが出来たらパンケーキを焼きます。
家にある本に「ちびくろさんぼ」のパンケーキのレシピが出ていたのそれを参考に調理。
そして出来上がったものがこちらです。
早速食べてみます。虎バターの味はどんな味か?
出来立てのバターは旨いです。
どうやら生クリームを振ってバターにするような場合、ノンホモジナイズの牛乳(ノンホモ牛乳。牛乳に含まれる脂肪球へ圧力をかけて均質化することにより脂肪球の層が出来てくるのを防ぐ処理をしていない牛乳。通常売られている牛乳は大体ホモジナイズされている。)を置いておくことで上部にたまる純度の高いクリーム(乳脂肪分)を使う必要があるようです。
スーパーなどで売られている普通の動物性の生クリームもよく冷やして泡だて器で混ぜているとホイップクリームとなって、やがてバターにすることが出来ます。10分か15分か、そのぐらいあれば出来るでしょう。
自分で作る場合、生クリーム200mlから100gぐらいしかバターはできません。バターとして売られている物の倍ほどの値段になります。しかし、出来立てのバターはバニラのような甘さと香りがあり、パンなどにつけて食べるととても美味しいです。興味のある方は是非一度やってみてください。
ちなみに、「ちびくろさんぼ」で出てくるバターは実際には「ギー」と言って、牛、水牛、ヤギなどの乳を加熱殺菌した後に乳酸発酵させ、 凝固したものを撹拌してバター状にしたら更に加熱ろ過してホエー(乳清)を除去して作られるものです。日本で売られているバターとは違う物。作者がインドにいたときに書かれた為のようです。