【感動】北海道小樽のタクシー運転手に「ウマイ海鮮の店まで」とお願いしたら回転寿司屋にたどり着く → 粋な計らいにほっこりした話

ロケットニュース24

大阪に住んでいた時、通天閣に行ったことがなかった。浅草近辺に住んでいるが浅草寺近くのお店はほぼ行かない。観光スポットに行かないというのは現地民あるあるだと思う。当たり前だが現地の人は知っているのだ。本当に良い店を──。

北海道小樽駅前の三角市場に入ってみたところ、あまりにも商売っ気満々すぎて辟易した私(中澤)。なんか違うと思ったのでタクシーに乗って「ウマイ海鮮の店までお願いします」と言ってみた。

・任せとけ

こんなオーダー聞いてくれるのか不安だったが「任せとけ!」と意外にノリノリなタクシー運転手の日塔(にっとう)さん。以前の記事で、P.K.サンジュン記者が大阪でたこやきオーダーした際は意図と違う事態になったようだが、日塔さんには明確なオススメがあるようだ。特にスマホで検索などもせずにタクシーは駅を離れていく。

・すし田

小樽が北海道の中でも海鮮で知られる土地であることは今さら説明の必要もないだろう。そんな小樽には寿司屋通りと呼ばれる太い通りがある。マジで寿司屋だらけのこの道。坂になっているので観光客的には今の時期運転するのさえ怖い場所だ。

日塔さんオススメの海鮮の店『すし田』もこの寿司屋通りにあるという。どうやら、日塔さんはバリバリ現地民なようで通い慣れたお店に向かっているようだ。日塔さんいわく『すし田』は地魚を使っていてウマイらしい。そうそう、こういうの求めてたんだよ! 楽しいなコレ。だがしかし、店の前に着いたところ……


早仕舞いしていた

・吹雪の影響

実はこの日は小樽市などに暴風雪警報が出た日で、電車は運休しまくり、なんなら新千歳で飛行機も欠航しまくりの日であった。よっぽど『すし田』を食べてほしかったのか、準備中の札が立てられたお店に確認に行ってくれる日塔さん。16時だけど、もう客が来ないから早仕舞いしたそうだ。

事実、車の外は普通に吹雪。「試される大地」というワードに実感がこもる。そんな中、「ちょっと遠くてもいいかい?」と日塔さん。冷たくあしらわれてもおかしくないオーダーに、これだけ親身に応えてくれるとは思ってなかった。お金はいくらかかってもいいから今夜は日塔さんのオススメを食べたい。

・青塚食堂

幸いにも日塔さんにはまだまだオススメがあるらしい。走り出すタクシー。次に目指したのは『青塚食堂』という定食屋。民宿なのだが、ここの食堂が刺身も焼き魚も全部地魚でウマイらしい。

ただ、不安なのは、この雪の中開いてるかどうかだ。特に、個人経営店となると本日早仕舞いしない理由がない。そこで1度タクシーをストップし、青塚食堂に電話で確認してくれる日塔さん。だが、返事はやはりダメ

・旅路の果て

もはや絶対絶命かに思われたが、日塔さんの目はまだ死んでいない。ならば、私も最後まで付き合おうじゃないか。そして我々が最終的にたどり着いたのは……


回転寿司屋『和楽』。


やってるゥゥゥウウウ

何よりそのことに感動を覚えたのだが、日塔さんいわく「回転寿司でも全然ウマイ店」とのこと。この雪の中でもちゃんとオススメに連れて行ってくれた。長い道のりをお疲れ様でした!

・小樽の高倉健

もはや我々は戦友である。走った距離的には2000円くらいいってもおかしくないだろう。むしろもっと払いたい。せめてもの労いをさせてくれ。そんな気持ちでお会計を待っていたところ日塔さんが驚くべきことを口にした。


日塔さん「ハイ、じゃあタクシー代560円ね」


──え!? 安すぎないッスか? 軽く一緒に旅してるくらい走り回りましたよね?


日塔さん「すし田からメーター止めといたから

男前かッ


払うと言っても「いいよいいよ」と受け取ってくれない日塔さん。その照れ笑いは不器用な人情を表かのようである。小樽に高倉健いたわ

・和楽

ちなみに、『和楽』はいわゆるグルメ寿司系の回転寿司。130円皿(税抜き)から580円の高級皿まであり、いわゆる「回転寿司=安い」というイメージの店ではないが、その分、クオリティーは非常に高かった。全てのネタがぼってりと大きく、130円や180円の安めの皿でもちゃんとウマイ。

特に、生〆さば(税抜き280円)と生うに(税抜き580円)は甘みが強くモノが違う感じがした。にしん(税抜き320円)、銀がれい(税抜き160円)など、ラインナップから北海道を感じさせてくれるところもだ。


旅先のメシには単純にコスパだけでは語れないスペシャルさを求めてしまう私。そういう意味で紆余曲折の末たどり着いた『和楽』には大満足。猛吹雪の中でぬくもりを感じた小樽だった。

・今回紹介した店舗の情報

店名 和楽 小樽店
住所 北海道小樽市堺町3-1
営業時間 11:00~22:00
定休日 元旦

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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