世界で30億ダウンロードを突破したTikTok。なぜこれほど人気を集めているのか。インフルエンサー・マーケティングを行う若井映亮氏は「TikTokの本当のすごさは、フォロワー数が少なくてもバズが生まれるレコメンドシステムにある。TwitterやInstagramにはない、“おすすめ”フィードは革命的だ」という――。
※本稿は、若井映亮『ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
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フォロワー0でもバズが起きるレコメンドシステム
TwitterやInstagramを見るとき、多くの人はフォローしている人の投稿を主にチェックしています。また、それ以外の投稿を見るときも、Twitterでは気になるトピックを検索してフォローしたり、フォローしている人が「いいね!」「リツイート」した投稿を見ますし、Instagamでも基本的には検索して表示されたものを見るのが一般的です。Instagramにはトレンドページ、YouTubeには関連動画や急上昇等のレコメンドもありますが、それがメインのユーザー体験には据えられていません。
それに対して2017年にリリースされたTikTokは、革命的なレコメンドシステムを浸透させました。それが「おすすめ」フィードです。
AIによって視聴者ごとに完全にパーソナライズされたフィードが、世界を一歩前進させました。
AIによって「選ぶ」行程が極端に減っていく
僕はTORIHADA(トリハダ)を創業する前、サイバーエージェントでアドテクノロジーを学びましたが、そのときよく話されていたことが、「スマホのホームはAIによって日々パーソナライズされたレコメンドになる」ということでした。
つまり、AIは私たちの「選ぶ」という工程を極めて減らしていくはずで、TikTokはそれを動画プラットフォームとして実現しました。
これは、「ソーシャルネットワーク2.0」と言ってもいい変化だと考えています。フォロワーがいなくても、バズが生めるようになったのです。
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TikTokのメリットは圧倒的な「拡散力」
TikTokのレコメンドシステムはフォローの有無に関わらず、プラットフォーム独自のレコメンドシステムやAIによってさまざまな投稿がユーザーごとに最適化され、「おすすめ」フィードに表示されます。それを縦にスワイプしていくと、レコメンドされた動画が自動再生される仕組みになっています。
確かに、「フォロー」しているユーザーのコンテンツが見られるフィードもありますが、ほとんどのコンテンツが、「おすすめ」フィードからの視聴となっています。
例えば、Instagramの場合、フォロワーが10万人いたとしたら、そのおよそ半分の5万〜6万人の人に投稿が見られると言われています。拡散するためにハッシュタグをたくさんつけて検索にかかりやすくしても、フォロワー数以上の人に見られることは実は滅多にありません。
ですが、TikTokはフォロワーが同じ10万人だったとしても、レコメンドシステムで高く評価される動画であったら「おすすめ」フィードに載って拡散され、フォロワー数以上の100万回再生以上されることもあります。
確かにTwitterには、リツイートすることでフォロー外の人にも投稿が拡散される機能があり、稀に予想を超えるバズり方をするものもありますが、TikTokの場合はリツイートという他者の協力がなくても「おすすめ」フィードで常に広まっていくので、他のプラットフォームに比べて非常に拡散率が高いと言えます。
また、「認知」に影響を与えるために、ユーザーの態度がテレビを視聴しているときのように、受動的であるということもポイントです。
主体的に情報を取りに行っているときに新しいコンテンツや広告などの情報を見ても、目的があるため素通りすることが多くなりますが、多用なコンテンツを受動的に視聴しているTikTokユーザーはさまざまな情報に前向きであると言えます。
にもかかわらず、インターネット広告予算やインフルエンサーマーケティングの市場規模におけるTikTokのマーケットシェアはまだまだ小さく、伸びしろの大きいマーケットとなっています。