年をまたいでしまったけど…
ギズモードジャパン2021年失敗ガジェットに続きまして、米Gizmodoのワースト特集いきます! 内容的には衝撃的な見た目のもの、使えないもの、とんがり過ぎて外してしまった迷走系がメインとなっています。
さ、ではさっそく2021年の愛すべき駄ガジェットを10点連続でどうぞ!
折りたたみスマホは3世代目のSamsungが先輩です。あれに比べると、Microsoftの2代目はどうしても見劣りが…。まだ買いたい製品には成長していないように思います。
ほかの折りたたみ製品はスクリーン自体が曲がりますが、Surface Duo 2は真ん中にヒンジがある2画面型。背面カメラが出っ張ってるので、ペタッと置くこともできなくて、防水なし、ワイヤレス充電なしで、スマホモード時も片手で操作ができません。
スペックはハイエンドなのですが(両画面ともAMOLEDでリフレッシュレート90Hz。チップはSnapdragon 888、RAMは8GB)、メインカメラは処理性能の部分で課題を残しています。Microsoftのソフトは役立つ機能満載なのですが、Surface Duo 2は単に、みんなが折りたたみスマホに求めるイメージと違う印象です。発展途上なのに価格が1,500ドル(日本では2022年登場予定、価格未発表)というのも割高に感じます。
(Florence Ion)
年頭のCES2021でへんてこガジェットに選ばれたZephyrは、実物もへんてこでした。
COVID撃退グッズを選ぶのは気がひけるのですが、Zephyr(開発コードネーム 「Project Hazel」 )は身にまとう空気洗浄器。世界の終わりのドラマを思わせる外観ですけれど、いちおう中に2速切り替えのファンが2つ備わっており、それをぶんぶん回してN95レベルのフィルタで空気をきれいにろ過する構造になっています。透明なマウスピースとライト内蔵で、暗所でも口の動きがわかるほか、シリコンで肌に密着するのが一般のマスクとの違いです。
ただ、なんせ見た目が怖すぎます。また、フィルター交換のたびに99ドル飛ぶのは厳しいものが。装着感イマイチで、ファン音はうるさく、周囲の目も気になるってレビュワーからはいろいろ注文がついています。いま目の前にある課題に果敢に取り組む企業の姿勢は評価できるし、Razerなら…と期待したのですが、これ着けて外出するのはちょっと…。
(Phillip Tracy )
未発売品ですが、発表年ベースでINに。Astroは、邪悪なウォーリーをかたちにしたような家庭用アシスタントロボです。初日にまず家族全員の顔と声、家の間取りを覚えて、移動中に階段から転げ落ちたりしないようにします。内蔵の「Sentry」モードを使うと、認識できない不審な人物や動きをパトロールもしてくれます。ある種、ドラマ『ブラック・ミラー』みたいな危うさも感じますよね。
いちおうマイク、カメラ、センサは手動でOFFにできるし、立ち入り禁止ゾーンも設定できるので、プライバシーに一定の配慮はしていますが、監視社会待ったなし。
Apple AirTag
持ち物を追跡して忘れ物を防ぐ役目は十二分に果たしてくれたんですが、値ごろで有能すぎました。Find Myネットワークのカバーエリアが広まるにつれストーカー被害が生まれ、Appleもそのリスクを排除しきれていません。
AirTag発売後にAndroidアプリ「Tracker Detect」を出してiPhone以外の端末からでも周囲をスキャンして尾行犯のAirTagがないかチェックできるようにしたAppleですが、それでも持ち物や車にAirTagがこっそり仕掛けられる被害が後を絶たないのが現状です(特に女性)。
今年ハイテク各社に期待するのは、甘い性善説に頼るのではなく、性悪説をベースにあらゆる悪用のシナリオを想定し、そこから製品やプラットフォームを考えるような姿勢。とりあえず出してから様子を見て考える、という製品開発でこれまで散々失敗してるので、見切り発車はナシに願いたい…!
(Caitlin McGarry )
2021年スマートウォッチのワースト1。GoogleのWear OS採用ならPlayStoreのAndroidウォッチ対応アプリも使えたんですが、OnePlusが採用したのはAmazfitシリーズと同じRTOS。決定的な落差が生まれてしまいました。
試用期間中もベータ版機能しか試せなくて最初の使用感は最悪です。睡眠や運動のトラッキングはおろか、心拍のモニタリングさえも正確に処理できなくて、こんなの腕に巻き付ける意味ほぼないじゃん、と。アプデ後もバギーで、廉価スマウォだってここまで悪くないぞと思ってしまいました。
(Florence Ion )
タイムの「今年の人」に選ばれた2021年、イーロン・マスクはこんなヒューマノイドも発表していました。今んとこ着ぐるみの人間(動画)ですが、そのうちロボにかわる日がくるんでしょうか…。
人間だとブラック企業、人種差別、人身事故のことをマスコミにしゃべったり、法廷や米労働安全衛生庁(OSHA)に訴えたりするので、ロボにかえてしまいたい気持ちはわからないでもないけど。
どうせベイパーウェア、冗談で終わるような気もしますが、わかりませんよ。ビリオネアが下手な考えを持つとロクなことにならないのでしっかり見張っていきたいです。
(Florence Ion )
NFT
ガジェットではないし、手で触れることすらできない無対物だけど、これを語らずして「買って最悪」ランキングは語れないでしょう。
2021年テック業界は右も左もNFT(non-fungible token)の話題一色!でした。だけどいまだに全世界を巻き込んだ大掛かりなジョークというか、どうしても関係者以外はすべて蚊帳の外という風に感じてしまうんですよね。
NFTでデジタルアート作品を買っても、その 作品が自分の所有物になることはなくて、単に使用権が手に入るだけなんですからねぇ。そんなもん、わざわざNFTで買わなくたって、だれでも右クリックで保存できるし、実質価値のない単なる投機資産…と思いきや。30万ドルの高値で売れちゃったもんだから我も我もの参入ラッシュとなりました。
いつか弾けるバブルかもしれないし、暗号通貨マイニングが地球環境に悪いかもしれないのに、そういう議論はそっちのけで我も我ものオールイン。タコベルもレストランチェーンもアディダスもトランプ夫人もインフルエンサーも、Snoop Dogg、Grimes、Ellen Degeneresなんかのセレブもひと山当てようと続々参入です。傍目には限りなく詐欺っぽく見えるのにリッチな人はますますリッチになっていて、げに「歴史は繰り返す」なり。
(Brianna Provenzano )
「ペット欲しいけど世話が面倒」「でもボストンダイナミクスのSpot(74,500ドル)みたいなロボは高くて買えないし…」とお悩みのあなたにちょうどピッタリなのがこちら。クラウドファンディングのFlat Cat、気になるお値段1,200ドルです。
タイヤでぺちゃんこに伸びた猫、という名の通り、事故現場のゾンビの残骸のような生々しい動きを再現してくれます。寄生虫のサナダムシに似てなくもない存在感。尺取虫のような重い足取りで腸内…あ、いや、室内を移動します。
抱き上げたりなでたりすると反応するほか、放置すると転げまわって体をよじるなどして子犬や子猫の擬態も演じます。モフモフ毛むくじゃらで愛嬌たっぷり。地面の毛虫を小枝で突っついた無垢な童心を呼び覚ましてくれるアイテムではありますが、ひざで丸くなったり、温めたミルクを飲んだり、PCに乗ったりはできません。
(Andrew Liszewski)
社名をMetaに変えたFacebook。初のスマートグラス「Ray-Ban Stories」においてもメタバースにかける意気込みを感じましたが、不安なのは周囲を盗撮できちゃうこと(Google Glassという前例がある)。デザインがいいし、操作性はもっといいので、なおさら怖いんです。
StoriesはGoogle GlassやSnap Spectaclesの対抗機種でありながら、そのにおいがまったくしません。見た感じ、ただのおしゃれなレイバンサングラス。違いといっても、右のアームにちっちゃなシャッターボタンがあることぐらい(正面の写真や映像が撮れる)。クールなブランドと組んだのは大正解で、Facebookと名前が出ると、めがねが悪用されるリスクを考えてしまいますが、それを上手くオブラートにくるんだ格好です。
地下鉄で目の前の人にスマホかざして撮影する人はさすがにいませんよね。でもみんなが突き進んでいるのはそんな新しい世界。冷たい無感覚なVRでだんだん人間の本能が麻痺していくような不安を感じます。利用データがFacebookMetaに送られることと併せて。
(Brianna Provenzano)
巨大でバカ高いランニングマシン。米国発売は2019年ですが、2021年は飛躍の1年で、廉価なミ二版「Tread」発売に向けて初代Treadを「Tread+」と改名。ところが新製品発売前の夏に子どもの負傷や死亡事故で初代がリコールとなってしまったのです。
Peloton社は最初、製品に落ち度はなくて使い方の問題だとしていましたが、Tread+は普通のランニングマシンのようなベルトじゃなくて板状の巻き込まれやすい構造。けっきょくは政府の圧力でリコールを決断し、修理や再販の目途も立たないまま年越しとなってしまいました…。
(Caitlin McGarry)
なお、去年はベストガジェット(未訳)も多く出ました。こちらは次の15点が選ばれています。