サンリオ、VRガチ勢でした。
今年10月末の開催発表直後から大きな話題になっている、サンリオによる世界最大級のVR音楽フェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」。
12月11日〜12日の2日間にわたって開かれるこちらのフェスは、AKB48(Team8)、Kizuna AI 、初音ミク+ピノキオピーなどのリアルのアーティストから、バーチャルアーティストやサンリオキャラクターまで、総勢52組が出演することが注目を集めましたが、それ以外にも空間の作り込みのクオリティや、VR界隈の有名クリエイターを集めた制作体制も、VR好きの関心を集めています。
そんな今冬大注目のイベント開催前に行われたメディア向け先行体験会に参加。一足早くフェスの雰囲気を体験してきました。
VRChat版にてイベントを先行体験!
VRヘッドセットを装着して、バーチャル空間「バーチャルサンリオピューロランド」にダイブすると、現れるのは実際のピューロランドの外観を3Dで忠実に再現した「PURO ENTRANCE」。いきなり目に入ってくる光景がピューロランドすぎて、一気に気分が高まります。
興奮状態のままエントランスの入場ゲートを抜けると、サンリオを代表するキャラクター、ハローキティのバルーンがお出迎え。このフロアには、地下へと降りていくエレベーターがあり、それに乗ってまずはB1Fの「ENTRY HALL」へ。
サンリオキャラクターによるグリーティングや、バッドばつ丸によるフェス説明などが行われるこのフロアで、まずはイベントのオリジナルアバター「Mochipoly(モチポリ)」を自分好みにカラーチェンジ。また、スマホ向け3Dアバター制作アプリ「MakeAvatar」を使えば、顔やサイズをカスタマイズしたり、サンリオキャラクターの⾐装を着用したアバターに着替えて(有料)イベントに参加したりすることもできます。
さらに下ったB2Fは、主にリアルで活躍するアーティストが出演する「LUNA STAGE」、B3Fはバーチャルで活躍するバーチャルアーティストが出演する「FUTURE STAGE」と呼ばれるライブフロア。どちらもサンリオの世界観にマッチした、かわいらしさとポップさが共存する世界観で表現されたエリアになっていますが、B2Fは野外フェスを思わせるオープンエアな仕様、B3Fは近未来感強めの仕様と、それぞれ特色ある作りになっています。B2Fにあるお花のかたちをしたスピーカーに胸キュンだったのですが、このあたりもサンリオらしい細かな世界観の作り込み。
コミュニケーションをコンセプトとしたB4F「CHILL PARK」は、その名のとおり、参加者が他の参加者と会話を楽しんだり、交流することができるチルアウトスペース。
このフロアにはフォトブースやカフェが設けられているほか、Kizuna AIらバーチャルアーティストとのオリジナルコラボデジタルフィギュア「HoloModels®︎」を実際に購入できるショップもあります。また、ハローキティが好きなサウナスペースも設けられているのですが、そちらでは外気浴用のベッドや水風呂も用意されていて、アバターを動かし→サウナに入り→「ととのう」までの一連のサウナ体験が楽しめます。
またB2F、B3Fのライブは有料ですが、B4Fには無料でアーティストのライブを楽しめるミニステージも。リアルさながらに視点がグワングワンとバウンスするトランポリンなどのアトラクションも設けられているので、このフロアだけでもかなりイベントを満喫できてしまうな〜という印象です。
そして、最後はB5F「ALT3」。こちらはVRChatシーンで活躍する気鋭のVRDJやアーティストが多数出演するPC・PC VR専用クラブフロアになっており、フロアの雰囲気はB4Fまでのファンシーな世界観とは真逆。ただ、無機質でインダストリアルさのあるフロアは、サンリオピューロランドの裏側感満載。”関係者以外立ち入り禁止”な雰囲気が漂っているというか、どことなく秘密クラブのような怪しげで尖ったムードもこれはこれでよき。
制作陣はVRエンタメのプロフェッショナルたち
さて、このようにサンリオらしい世界観の中で行われるSANRIO Virtual Fesですが、総合演出にクリエイティブチーム「異次元TOKYO」の篠田利隆さん、空間・ワールド制作に株式会社Gugenka、VRクラブ「GHOSTCLUB」主催の0b4k3さんが参加しており、VRエンタメ界隈でよく知られたクリエイターが起用されています。
先行体験会でお話を聞いたサンリオの町田さんによると、イベント開催の背景には、コロナ禍で多くの人がひとつの場所に集まれなくなったことも少なからず関係しているとのことですが、それとは別に、もともとバーチャル空間を活用したイベントをエンターテインメントの新しい形態として、サンリオとしても行なっていく構想があったそう。
2年前からXRを使ったピューロランドのアトラクションやオンライングリーティングを行なっており、サンリオとしても次の展開を考えていく必要がありました。その第一歩になるのが今回のイベントです。(町田さん)
今回のプロジェクトが立ち上がったタイミングでGugenkaの三上さんにアドバイザーとして参加を依頼。また、三上さんと面識があり、もともとVRChatに造詣が深かった篠田さんと知遇を得たそう。
篠田さんには、バーチャル空間の作り方やライブ映像の見せ方など、まさに総合的な演出をお願いしました。例えば、リアルアーティストが出演するB2Fのライブフロアでは、バーチャル空間上にリアルのアーティストのホログラムが登場しますが、そういった、他のバーチャルライブでもあまり見かけないような見せ方を考えていただきました。(町田さん)
今回はVRChat版以外にも、DOOR™版や、PC/スマホ向けのSPWN版も用意されています。DOOR™版は、バーチャル空間のモニターを通してライブビューイング的にライブを見られる「VRでライブ映像に集中したい人」向けの参加方法です。自分の好みにあわせて参加方法を選べることも、今回のイベントならではの特徴ですね。
とはいえ、イベントへのフルダイブを楽しむには、やはりVRChat版がおすすめとのこと。ただ、VRChat版をフルで楽しむにはハイスペックなゲーミングPCとVRデバイスが必要になるため、イベント参加者にとってハードルが高いのも事実。しかし、サンリオは今回、あえて挑戦。
今回のイベントでは、バーチャル空間に友達と一緒に入って、目の前でアーティストがライブしている様子を見て、応援したり、盛り上がってもらったりすることに特化したいと考えていました。ただ、そのためにはデバイスを揃える必要があるなど、ハードルが高い面も確かにあります。
ただ、今後もっともっとバーチャル空間でのフェスのような新しいエンターテインメントを体験してもらう意味でも、そこにサンリオが踏み込んでいくことに意味があると思っています」(町田さん)
今回のイベントでは、0b4k3さんをはじめとした、VRChatシーンで活躍する多くのDJたちが出演することも大きな話題になっています。
「VRChatはユーザーメイクの部分が大きく、クリエイターがしっかりフォーカスされているシーンですが、その最先端にいる新進気鋭のDJやクリエイターたちと一緒にやることで、サンリオが本気でバーチャルイベントを仕掛けることを示したいと思っていました」(町田さん)
世界観だけでなく、出演するアーティストについてもこだわりを見せる今回のイベント。サンリオピューロランドでは、以前から リアルで開催してきたハロウィンイベント「SPOOKY PUMPKIN」でも、今回同様にメインストリームからアンダーグラウンドまで幅広いアーティストをブッキングしてきました。
サンリオピューロランドの佐藤さんは、今回のアーティストラインナップも、SPOOKY PUMPKINの流れを踏襲するかたちで選定していると話します。
他ではなかなか見られないインパクトがあるラインナップになりましたが、ラインナップにもいろいろなレイヤーがあった方が、お客さんも巻き込んでいきやすいと思うんです。SPOOKY PUMPKINと違うのは、今回はネット発のアーティストの割合が多い点ですね。(佐藤さん)
イベントの楽しみ方として、リアルのイベントにはないバーチャルならではの楽しみ方を味わってほしいといいます。
これまでバーチャルイベントには、「リアルの代替」のようなイメージが少なからずありましたが、今回のイベントでは、改めて「バーチャルとリアルのイベントは別モノ」で、リアルとは違うバーチャルならではの楽しさがあることに気付いてもらえると思っています。ここでの体験は、絶対にリアルのクラブやフェスでは体験できない。
それと、バーチャル空間のなかで友達ができはじめたら、もっと体験が楽しくなっていきますし、そういった体験が増えていけば、バーチャルフェスは、エンタメのニュースタンダードになっていくと思っています」(佐藤)
今回、町田さんと佐藤さんのお話を聞いて、言葉ひとつひとつからサンリオがメタバースでのエンタメにかける想いが伝わってきました。体験会ではアーティストのライブまではみられなかったので、お話を聞いて、より今回のフェスでのライブ演出が気になりまくってしまいました。特にリアルで活動するアーティストがホログラムで浮かび上がってくる感じ、早く見てみたいな〜。
なお、現在「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」は開催に先駆けて、PURO ENTRANCEとENTRY HALLを無料公開中ですが、映画のティーザーのように事前にイベントの雰囲気を味わえるのはバーチャルイベントの良いところ。気になった人はまずは、こちらで当日の雰囲気を味わっておくべし!
VRChatでフルダイブするもよし、DOOR™で没入感のあるVRライブビューングを楽しむもよし。もしくはスマホ/PCのSPWN版で気軽と参加するもよし。いずれの方法でも、これまでにないバーチャルフェス体験ができるはずなので、引き続き開催を楽しみしておきましょう!
開催日:2021年12月11日(土)、12月12日(日)
開場時間:15:00
開演時間:17:00~22:00 (B5Fは24:00まで)
主催:株式会社サンリオ、株式会社サンリオエンターテイメント
VRChat、DOOR、SPWINからアクセス可能
※VRChat版配信チケットはDOOR版、SPWIN版でも有効。DOOR版配信チケットはSPWIN版でも有効。
※VRChat版、DOOR版配信チケット販売は、9日23:59まで。
※当日は、VRで入れるのはエントランスとB4Fのみです(B2F、B3F、B5Fのライブ観覧はできません )。