史上初、民間人だけで宇宙へ。SpaceXのInspiration4ミッション

GIZMODO

普通の人たちだけで、宇宙へ!

民間宇宙旅行が、また一歩身近なものになりました。SpaceXが9月15日、宇宙飛行士の同乗なし・民間人オンリーでの宇宙飛行を実現させたんです。今年夏にはVirgin Galacticのリチャード・ブランソン卿とBlue Originのジェフ・ベゾス氏が 次々宇宙に飛び立ったところだし、民間宇宙旅行がぐいぐい来てる感じがしますね!

9月15日、特別仕様のSpaceX Crew Dragonを搭載したロケット・Falcon 9は米フロリダ州のケネディ宇宙センター、ローンチパッド39Aから無事に飛び立ちました。このミッションは3日間を予定しています。

再利用可能なFalcon 9はCrew Dragonを打ち上げた後、地球上のドローン船に無事に戻りました。一方Crew Dragonはハッブル宇宙望遠鏡や国際宇宙ステーション(ISS)より高い高度575kmに達し、青い地球の映像を送ってくれてます。

上の画像の丸い半球のガラスは、Crew Dragonに設置された「Dragon Cupola」(Cupola=キューポラ。こういう半球形の屋根)。3層構造の展望用ドームで、SpaceXいわく「今までに飛び立った中で最大の宇宙への窓」となってます。Inspiration4のクルーはここからこんな風に宇宙を見渡せるんです。圧巻でしょうね〜。

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Dragon Cupolaから宇宙をのぞむ、ミッション・コマンダーのJared Isaacman氏。(Image: Inspiration4/SpaceX)

クルーたちはただ宇宙観光とか無重力体験を楽しむだけじゃなく、体に関する実験もいろいろと予定しています。3日間の宇宙の旅を終えたら大気圏に再突入し、フロリダ州東海岸にパラシュートで着水することになってます(予定では日本時間9月19日午前8時ごろ)。

アマチュアだけで宇宙旅行

Inspiration4のクルーは、決済スタートアップ・Shift4 Paymentsの創業者兼CEOのJared Isaacman氏、医師助手のHayley Arceneaux氏、地学教員のSian Proctor氏、元米空軍兵士で航空エンジニアのChris Sembroski氏の4人です。

Isaacman氏がパイロットの資格を持ってたり、その筋っぽい人も入ってますが、基本的に誰も、「宇宙飛行士」を生業とする人たちじゃありません

宇宙船を飛ばすのって普通の人だけでできるの?という疑問もありますが、Crew Dragonは自律運航するので、クルーが操作する必要はありません。それでも役割的には、Isaacman氏がミッション・コマンダー、Proctor氏がパイロット、Arceneaux氏は医療担当、Sembroski氏がエンジニアとされてます。なんだかうまい具合のチームになってますね。

民間人たちといっても、打ち上げ前にはしっかり訓練もしていて、その様子はNetflixオリジナル番組『Countdown: Inspiration4 Mission to Space』で見られます。これまで4話が公開されてて、最終回となる第5話が9月30日に公開予定です。

ちなみに今回搭乗したクルーのうち、Arceneaux氏はIsaacman氏が選定したそうですが、Proctor氏はIsaacman氏が募集した開発アイデアのコンテストを勝ち抜いて権利を獲得しました。一方Sembroski氏は「抽選で当たった友人から譲られた」そうで、良いお友だちがいてうらやましい限りです。

Arceneaux氏は10代のときに骨肉腫を克服した経験があり、それ以来左の大腿骨がチタンの人工骨となっています。こうした人工器官を体に持つ人が宇宙に行くのも史上初で、Inspiration4はそういう意味でも大きな一歩となってます。

気になるお値段

Inspiration4ミッションの資金を出しているのは、ミッション・コマンダーを務めるビリオネアなIsaacman氏です。彼が支払った金額は非公開ですが、SpaceXの民間宇宙旅行は1席あたり5000万ドル(約55億円!)をチャージすると言われているので、単純計算で220億円くらいお支払いのようです。

Inspiration4ミッションは、かつてArceneaux氏が骨肉腫の治療を受け、現在は医師助手として勤務しているSt. Jude’s Children’s Research Hospitalへの募金活動も兼ねてます。Arceneaux氏がクルーに選ばれたのも、もともと彼女がSt. Jude’s Children’s Research Hospitalのスポークスパーソン的役割を果たしてたからのようですね。募金活動の目標額は2億ドル(約220億円)となってますが、その半分もまたIsaacman氏が出すことになってます。大盤振る舞いですね〜。

そんなわけで、まだまだ特別な人しか行かれない宇宙空間なのですが、こうして少しずつ手に届くところに近づいてるのはドキドキしますね!

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