海洋には資源の廃棄により生まれた無数のゴミが漂流しており、世界中で海洋汚染の問題が訴えられています。そんな海洋に存在するゴミを調査した新たな研究により、海洋生物がゴミを活用して生息域を拡大させていることが明らかになりました。
Emergence of a neopelagic community through the establishment of coastal species on the high seas | Nature Communications
http://dx.doi.org/10.1038/s41467-021-27188-6
Sea Life Is Colonizing Islands of Plastic Garbage In the Ocean, Scientists Say
https://www.vice.com/en/article/wxddmb/sea-life-is-colonizing-islands-of-plastic-garbage-in-the-ocean-scientists-say
アメリカ・ウイリアムズ大学のリンジー・ハラム氏は、東日本大震災発生後にハワイやアメリカ西海岸に漂着した大量のゴミに、日本沿岸の海洋生物が付着していたことに着目。生物が何年もかけて6000キロメートルという距離を移動し、また繁殖を行っていたことに興味を抱いたとのこと。
そこでハラム氏らは、北太平洋中央の特にゴミが集まりやすい海域である太平洋ゴミベルトから103トンの海洋プラスチックを収集。それらプラスチックを調べたところ、イソギンチャクやエビなど、多数の沿岸域で生息する生物種を発見し、これらの生物はプラスチックに単に付着しているだけでなく、プラスチック上で繁殖まで行っていることが確認されました。
これらの沿岸種にとって外洋はエサに乏しい環境であるはずでしたが、繁殖を成功できるだけのエサを確保できていたと考えられることから、ゴミがエサの豊富な海域に流れ込んだか、ゴミそのものがエサを引き寄せるサンゴ礁のように機能したのか、より詳しい調査を行っているとハラム氏らは述べています。
ゴミにより沿岸種の生息域が拡大することで、在来種の生存が脅かされる可能性もあります。ハラム氏は「世界的なプラスチック汚染の危機は、外洋の生物コミュニティを作り替えています。このコミュニティの変化が海洋生態系にどのように影響を及ぼすのかは不明です」と述べました。
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