なんとなく開店・閉店情報のサイトを眺めていた。
するとコロナで大変なこのご時世でも、新規オープンをするお店がたくさんあることに気づいた。これは応援したくなる。
ところでオープン初日というのはどういうものなんだろうか。
一度でいいから「最初の客」になってみたいぞ。
というわけで1番目の客になるまでの記録、後編です。
前回のおさらい
この記事は『スタバの新規オープン「1番目の客」になりたい』という記事の続編です。
最初は千歳船橋駅に新しくできたスタバの1番客になるべくかけつけたんですが、0時から並んでいたツワモノがいたり(ただしオープン前に帰ってしまう)、スタバホリックな女性と出会いスタバの楽しみ方を教わったり、と意外な展開になりました。…超楽しかった!
でも、当初の目的である「1番目の客になる」は未達成。
今回は、そのリベンジ編となります。
二郎系ラーメン「夢を語れ 千葉」の1番を目指す!
候補はいくつかあったけど、次は千葉に新しくオープンする「夢を語れ 千葉」というラーメン屋さんを狙うことにした。
私はラーメンが大好きだが、これまで一度も二郎系ラーメンを食べたことがなかった。
二郎系ラーメンといえばボリュームが多く、ルールに厳しいイメージだったから。
でもちょうど良い機会だ。前日にYouTubeでルールを予習してから行ってみることにした。ビビりなのだ。(実際はそんなに厳しくないらしいとも聞く)
オープンは11時
今回のオープンは11時。スタバが7時だったことを考えると楽勝だ。
早めに3時間前に向かえばよかろう、と思い1時間かけて朝8時に最寄り駅についた。
1番目はなんと前日の21時から!!
マジなのか。
ラーメン屋ってせいぜい開店ちょい前くらいから並ぶものじゃないのかい?!
よく見たら「夢を語れ」Tシャツを着たファンたちがすでに並んでいるではないか。。
全国に出店展開しているらしく、どうやら新規オープン初日は応援しているファンたちがかけつけるらしい…そんな仕組み知らないもの!
またしても私の読みは誤っていた。
一人目に聞いたらなんと21時に来たという。開店14時間前だ。
(正確には開店準備をしている店員さんたちが帰ったのを見届けてから並んだそうだ)
またしてもレベルが違いすぎて笑ってしまう。
たしかに「夢を語れ 千葉」という名前からして、色々なところに展開しているお店なのかな、というところまでは頭に浮かんでいた。でも、ファンがかけつけるようなラーメン屋ということまでは考えが及ばなかった。
「夢を語れ」は北海道から沖縄まで、現在のところ20店舗ほどあるらしい。
他のファンの方の話によると夢を語れの創業者は「二郎系ラーメンを楽しんでもらいながら夢を応援する」というコンセプトを持っているそうだ。
修業が1年、屋号をつけての出店が3年という、合計4年の大学のような仕組みだそう。ちなみにその後は、別の店を開くなり違う道に進むなり、自由にしていいらしい。
スタバもだったけど、ぜんぜん知らない世界の話がきけて楽しい。
ガチ中のガチに学ぶ、1番目になるには
スタバの時に知った通り、1番目を狙うとガチに会える。
今回もそうだった。
名前をうっかり聞き忘れたが、今回の一番目の方は「宮城に住んでいた時は『夢を語れ 女川』のラーメンを1か月に35杯食べていました」とおかしなことを言う。ガッチガチのガチである。
しかもその時は新規オープンでもないのに、1番目になりたくて毎回2時間前に並んでいたそうだ。いろいろと理解が及ばない。
1番目を取るのって本当に大変な世界なんだな…。
と同時に、そこまでされるとお店もさぞかし嬉しいだろうなと思う。
ガチさんに色々聞いたので、何かの参考にしてほしい。
Q、月に35杯も食べてるのに、太ってないですね
A、そうなんです、体型が変わらなくて。1杯2000キロカロリーとか摂ってるときあるのに。
Q、並ぶとき、これは持ってた方がいいというものはありますか?
A、モバイルバッテリーですね。これがないときついです。
補足)ガチさんは携帯用の椅子も持っていた。私はシートを敷いて座っていたが、疲れにくくするには椅子の方がいいかも。
Q、1番目になることで得したことってありますか?
A、(さわやかな笑顔で)無いですね! 自己満足の世界なので。PP(ポールポジション)を取るのがいいんですよ。
Q、いつも1番なんですか?
A、ほとんど1番ですね。ゆずる時もありましたし。
Q、じゃあ今回は私にゆずってくれませんか?
A、ダメです!広瀬すずなら譲るかも? うーん迷うなあ。
補足)新規オープンで一番というのは特に譲れないらしい。
Q、今日はちょうどいい気候ですけど、大変な時期もありますよね?
A、暑さ寒さ台風など、全部体験済みです。元旦の早朝オープンの時はマイナス2度で死にかけました。気をつけてください。
Q,新規オープンじゃない時は、2時間も並ぶ必要がない日もあるじゃないですか。なんか時間の無駄なような気がするんですけど。。。
A、無駄が面白いんじゃないですか!!
基本的にガチさんは一人で「夢を語れ」に通っているそうだ。
公にはならないが、スタバのときと同様に、やっぱりここでもドラマが繰り広げられていたのだ。
しかも今回は仕事終わりで並び、ラーメン食べて元気をもらった後は釣りに向かうそうだ。
大丈夫なのか。
ガチさんは「やりたい事が多くて時間が足りない」と言っていて、人生を満喫しているように見えた。でも、並ばなければその分時間ができるんだけどなあ、と私は思ってしまう。人の優先順位づけや考え方というのは色々で面白い。
熱いオープン前の様子
話を聞いている間についにオープンの時間に。
この時には70人ほどが並んでいた。時々数えていたのだが、女性の割合は6~7%。
男性のかっこうは黒Tシャツが多くて、プロレスに並ぶファンのイメージとかぶる。
「いま並んでる最後の人、食べるの2時間後とかだろうな」というスタッフさんの会話が聞こえた。そうか、そりゃあかかるよな。
1番ではなくとも早めに来てよかった!
オープン直前になると、若き店長さんがこれからの意欲・夢を大きな声で発表した。
みんなの盛大な拍手が沸き起こり、今回たまたま来ただけの私でさえも胸が熱くなる時間だった。
店長の深川さんは「ラーメンを食べにくる以外にも、元気をもらいたいなとか、笑顔になりたいなと思ったときに来ていただけるお店を、メンバーや地域の人たちとつくっていくのが僕の夢です!よろしくお願いします!それではオープンです!」と元気よく語った。
まだ私の半分しか生きてないのに、なんて立派なんだ!
初めての二郎系ラーメンに感動
そしていざ入店の時間だ!
麺の量は入店前に聞かれていた。ガチさんから聞いていたので、一番少ない150gでオーダーした。
ここは戦いの場なのか?
店長さんが早くかけつけたガチ勢に、麺の硬さや味の濃さを確認するシーンもあった。ガチ勢はそれに対して親指を立てたり、大丈夫!と答えていて信頼関係がうかがえる。なにこの体育会系のノリ!
私の隣の人はもうすぐ自分の番がくるのでタオルを頭に巻きだしている。
調理する場、食べる場であるはずなのに、まるでみんな戦ってるみたいである。
そしていよいよ自分の番がきた。
ラーメンができあがる直前に、野菜や油などの分量を聞かれる。
私は野菜多めで、と答える。すると「ニンニクはどうしますか?」と聞かれたので、増やすでもなく、入れてください、と答えた。
初めての二郎系ラーメンは、想像していたよりスルっといけた。もっとクドイのかと思ったのだけども。そして量もちょうどいい。もう少し食べられる余力があったので、次回は野菜マシマシにしようかな。
満足して店を出ると、お客はさらに増えていた。
注意!! ニンニクと呼ばれた日。
さておいしいのは間違いないわけだが、ここで注意しておきたい。
ニンニクを入れた場合のことだ。
自分自身は食べたあとも気にならなかったのだが、この取材後に会った人にしょっぱなの挨拶で「クサッ!」とすごく自然な感じで言わせてしまったのだ。
その人は普段他人にけしてそんなことを言う人ではないというのにだ。
しかも「ニンニクと喋ってるのかと思った…」と言われるレベルである。ニンニクと呼ばれる日がくるなんて…。そこはもう、食べる時にはほんとに気をつけてほしい。
次こそは! 国分寺駅前に新規オープンの「松屋」
スタバにつづき、二郎系ラーメンでも素敵な話が聞けて楽しかった。
とても満足! が、またしても一番にはなれていない。
次こそは、絶対に、必ず、成功したい!!
そこで次に選んだのは全国に1200店舗近く展開している牛めしの「松屋」である。
気合を入れて前日に牛めしを食べながら作戦を練った。
オープンは10時
松屋の新規オープンは10時とあった。
以前の私であれば、「全国に1200店舗近くも展開している松屋なら、そんなにチェックしている人はいないだろう。1時間前で充分か」と侮っていただろう。
しかし私は色々経験し、学習したのだ。
オープン4時間前の、6時に到着するべく始発電車で向かった。
なお、また片道で1時間半かかった。電車賃は往復で約2000円。
2000円かけて行き、400円の牛めしを食べるのだ。
私はなんて贅沢な事をしているんだろうか。
そして駅から振り返ると、すぐそこには松屋がある。
って、2つあるんですけど!!
松屋が2つあった!
なんと、と書いたが、実は前日の松屋一人会議中にTwitterで情報を集めていたときにこのことは知っていた。国分寺駅前にはすでに松屋があり、新規オープン先は信号をわたるだけの、ほんの数メートル先だったのだ。
あの閉店する店で最後の牛めしを食べたい気もするが、そうなると1番目の牛めしが食べられないので我慢だ。
並んでいると、マネージャーさんが挨拶してくれた。
そしてなんと、10時オープンの予定を8時オープンに変えるという。
ラッキー!
普通の新規オープン店ではそんなことなかなか出来ないだろうが、スタッフが信号を渡れば良いだけの状況なので、時間を調整できたそうだ。
てことは、もし私がタカをくくって1時間前とかに来ていたら、1番目の客は逃していた可能性が高い。早く来てほんとよかった!
めちゃくちゃ嬉しかった。
この店で使うものはすべて私が初めて。
私が初めて座る椅子であり、初めて使う食器なのである。
私の店と言ってしまいそうなくらい本当に嬉しいことである。
そしてご飯は炊きたてだ!マネージャーさんが7時から炊いていたことを教えてくれてたのだ。
こちらが開店と同時に、前の店は閉店となった。
前の店に入ろうとしていた客が、こちらの店に誘導され、流れてくる。
新規オープンだということにさして興味がなかっただろうお客さんが続々と入ってきた。
2番目になったお客さんの感想を聞こうかと思ったが、普通に黙々と食べているのでやめた。
こういうパターンもあるんだな。
ドラマがあまり起こらないパターンもある
スタバや二郎系ラーメンで見たような、ファンによる熱いドラマが繰り広げられることはなく、とても平熱な新規オープンもあるのだと知った。
しかし、私にとってはやはりこれはドラマだった。だって興奮したもの。ガチさんが言っていた「あくまで自己満足」なのがよく分かった。
オープンが早まったことでかなり時間ができたので、このあと国分寺駅周辺を散策した。
この日も、ものすごく良い一日だった。
すっかり早起きになっちゃった
終わってみると、知らない街に行くきっかけになり、ガチ勢と知り合うきっかけになり、一生懸命働く人たちを見るきっかけにもなる事が分かった。
そして私はこれがきっかけですっかり早起きするようになった。良いことだらけだ。
ちなみに私は昔「さよなら映画館、最後の日」という記事で映画館最後の客になったことがある。こちらも本当に良い思い出だ。
人間の人生と一緒で、お店の最初と最後も心が大きくゆさぶられるものがある。
みなさんもぜひ一度試してほしいなあ!