ひとり親支援を行うNPO法人フローレンスの駒崎です。
12日に、以下のような喜ばしいニュースが飛び込んできました!
児童扶養手当「離婚調停中でも受給可能に」制度見直しへ
NHKニュース
このニュースを見た時に、「まさか、届いたんだ・・・!」と口走りました。
【実質ひとり親たちの惨状を見える化】
以前より我々は、ひとり親支援団体のしんぐるまざあずふぉーらむさんらと共に、法的離婚前の実質ひとり親を「ノーセーフティネットひとり親」と呼び、彼女たちの惨状をアンケートや記者会見等をして、世の中に訴えてきました。
「週に数千円あれば」DV被害で夫から逃げると… 公助からこぼれ落ちた母親たちの実態
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/no-safetynet
DVから逃げていたり、離婚調停中だったりすると、法的には離婚できません。そうすると、子どもへの補助である児童手当が世帯主(主に父親)に支払われ、最も困っている子ども、そして一緒に住む親(主に母親)には支払われない、という驚くべき社会的矛盾があったのです。
こうした訴えに対し、政府が動いてくれ、内閣府から「正式に離婚してなくても、子どもと一緒に住んでいる方に児童手当を出してね」という通知を出してくれることになったのです。
令和3年 児童手当における同居優先事例及び DV 事例に係る事務処理について(再周知)
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000748149.pdf
(この資料の29シート目の関連資料4)
それに連動し、内閣府WEB上のQ&Aも更新されました。
政府与党筋に伺ったところ、今回の児童扶養手当の事務処理運用の変更は、昨年行われた児童手当にかかる事務処理の変更に準じて行われることになったようです。
ということは、我々が訴え実現したマイナーな通知の再発出が、ビリヤードの玉突きのように、連鎖して児童扶養手当にまで影響をもたらした、ということになります。
これはバタフライエフェクトというか、そこまで連鎖してくれるとは想定していなかったわけですが、結果としてとても大きな良い影響を、ノーセーフティネットひとり親(法的離婚前実質ひとり親)達に与えることになりました。
全然予測してなかったのですが、突然やってほしかったことが実現し、とても嬉しいです。しんぐるまざあずふぉーらむさんや、声を上げてくれたノーセーフティネット当事者のみなさん方に、心から感謝です。
【残る課題】
児童手当についても通知が出て、ひとり親の大きなセーフティネットである児童扶養手当も運用変更の方向性が打ち出されました。とても良いことです。
しかし、コロナ禍での給付金や、今回の「子育て世帯への10万円給付」のような現金給付に対しては、いまだにノーセーフティネットひとり親達は対象外であり続けています。DV等の被害にあい、児童扶養手当ももらいづらく、最も苦しんでいるにも関わらず、です。
児童手当・児童扶養手当と彼女達が対象となり得るのであれば、給付金の対象にもきちんと入れてもらえたら、と思います。
また、私たちの調査では、彼らの半数以上が明確な相談相手がおらず、孤独・孤立な状況にいます。経済的な支援だけでなく、彼・彼女らに寄り添う相談・支援体制の拡充が急務です。
(「ノーセーフティネットひとり親家庭を救え!別居中・離婚前のひとり親家庭アンケート調査報告書」より)
ノーセーフティネットひとり親の方々が普通にセーフティネットの対象となり、こんな言葉が無くなる日まで、これからも声をあげ続けていきたいと思います!みなさんも、応援よろしくお願いします!