MRブリーフィングは、変動の激しい小売業界が直面する課題やトレンドについて、モダンリテールが注目しているニュースをご紹介します。
b8taの日本3号店が東京・渋谷にオープン
体験型ストアのb8ta(ベータ)は、日本上陸1年を迎え、RaaS(Retail as a Service/サービスとしての小売)としての機能をより強化する。東京・渋谷に11月15日にオープンする国内3号店「b8ta Tokyo – Shibuya」では、従来店舗で取り扱いの少なかった食品カテゴリーを拡充して体験型サービスの充実を図ったほか、店舗前の人流データ測定を新たに実施し出品ブランドのデータ活用の幅を広げる。
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2015年に米国で創業したb8taは、スタートアップやD2Cブランドが開発した製品の新技術やサービスを来店客が手軽に試せる体験型ストア。出品者が製品を販売するための区画を毎月定額で提供するとともに、来店客の行動データを出品者に共有するというブランド支援型のビジネスモデルがRaaSの先駆けとして注目されてきた。
日本では2020年8月1日、新宿と有楽町に2店舗を同日オープンして初上陸を果たした。いずれも人流の多い好立地を厳選し、2店舗合計で年間45万人を集客、約1150万回のインプレッション(区画を通過した人数)を獲得した。国内3号店を開設する渋谷は、都内23区内でもっともスタートアップ企業や集客施設数が多い点や、クリエイティブ産業従事者が約20%を占める点、また、ミレニアル世代・Z世代が集中しており既存2店舗と異なる客層のデータ測定が想定できる点などが出店の決め手となった。同店舗での来店客数は月間1万人以上を目指している。
ベータジャパンCEOの北川卓司氏は、新店舗において、「より進化した体験型ストアを見据えた実証実験店舗b8ta 1.5」というコンセプトを掲げ、4つの施策を実施すると発表。よりリッチな体験を提供することで、質の高い顧客行動データの測定・分析を目指す。
1つめは、五感に訴える体験を充実させるため、試飲や試食のサービスを増やしたこと。カフェスペースを設置し、既存店舗では取り扱いが少なかった食品ブランドは12ブランドをラインナップした。2つめは、店内での体験をリッチにするためのアプリ開発。同店舗限定のアプリをショップフォースと共同開発。商品ごとに設置されたQRコードを読み込むことで商品情報を取得できるとともに、体験した商品のアンケートに回答すると店内で利用可能なクーポンなどに交換することができる。アンケート内容は出品企業によるカスタマイズも可能。3つめは、可動式の什器を導入し、店内のレイアウトを自由に変更できるようにしたこと。オープン時には、店頭にイベントスペースを設け、日産自動車のEV車ARIYAの展示を行う。
4つ目は、b8ta店舗における本格活用に向けた1年間の実証実験として、店舗前の人流データ計測の実施だ。デンソーの人流データ計測技術3D LiDARを用い、店舗前半径15メートルの交通量を継続的に測定。時間帯に応じた来店客の傾向分析などを行う。従来行ってきた店内における来店者の行動データ分析と併せ、店舗マーケティングの充実を図る。北川氏は、「何人が商品を見たかどうかを想定できる点において、特に店頭近くのブランドにとっては、屋外広告と同じような位置付けで活用してもらえる」と説明した。
オープン時は、ロート製薬が運営する香りブランドのべレアラボや、米シリコンバレー発のラーメン自販機Yo-Kai Express、キヤノンの自動撮影カメラPowerShot PICK、おやつの宅急便スナックミー、東京ヴィーガン餃子など、食品やガジェットを中心に41ブランドが出品。出品可能な57区画が完売しているという。べレアラボはすでに有楽町店での出品経験があり、代表を務める星亜香里氏は、「b8taは定量的データはもちろん、定性的データを得られるのが魅力。b8taのスタッフによる非常に詳細なフィードバックにより、誰がなぜ、何を求めているのかを把握することができている。我々はB2Bビジネスも行っているため、クライアント向けのマーケティングにも活用している」と評価する。
b8taのように、売ることを主目的にしていないRaaSが注目されていることについて、北川氏は、「特にコロナ禍において、店舗の存在価値が急速に変化している」と指摘。「行動分析が可視化できることへの価値や理解が深まり、売ることを主目的としてきた商業施設や百貨店が、新たな収益モデルとして注目している」とみる。大丸松坂屋百貨店による明日見世や、そごう・西武によるCHOOSEBASE SHIBUYAなどRaaS型ストアが相次ぎオープンしていることにも触れ、「我々はこの分野におけるカテゴリーリーダーだと自負している。マーケット全体が盛り上がるのは非常にいいことだと捉えている」と話した。
また渋谷店について、「楽しんでもらえることがもっとも大切。世代を超えたさまざまな人に訴求できるよう、イノベーションをキーワードに、多くのブランドを誘致していきたい」とコメント。今後はイベントにも力を入れるといい、「たとえば新商品ローンチの際は、店舗をまるごとラッピングして商品やブランドをプロモーションすることも視野に入れている」という。
MR Newsレビュー
速報系ニュースを振り返る「MR Newsレビュー」。今回は11月5日(金)〜11月11日(木)にモダンリテール[日本版]のTwitterでご紹介したニュースをまとめました。
クローガーが新会員プログラム発表 ウォルマートに対抗
スーパー大手のクローガー(Kroger)は、ウォルマートプラスに対抗する新しい会員制プログラムを発表。59ドル(約6700円)または99ドル(約1万1200円)の2つのプランがあり、配送無料や燃料ポイントなどのサービスを受けられます。https://t.co/WkykmHYxKz
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 5, 2021
家具通販ウェイフェア、第3四半期売上高が2ケタ減
家具通販サイトのウェイフェア(Wayfair)は、第3四半期の総売上高が31億ドル(約3524億円)と前年同期に比べて18.7%減少しました(yahoo!financeより)。https://t.co/ndMbNKMnny
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 5, 2021
ヒムズ&ハーズ、薬局ウォルグリーンで取り扱い開始
ヘルスケアのD2Cヒムズ&ハーズ(Hims & Hers)は、ドラッグストアのウォルグリーンズ(Walgreens)と提携。サプリメントやセクシャルヘルス製品をウォルグリーンズの7000以上の店舗とhttps://t.co/if8n7cza83で販売します(https://t.co/Dvo9ugT3nKより)。https://t.co/Uv4PgiUdYO
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 8, 2021
水着のD2Cアンディー、初の実店舗オープン
水着のD2Cブランド、アンディー(Andie)は、米フロリダ州のウェストパームビーチに、初の実店舗となるポップアップショップをオープンしました。アンディーは今夏、前年同期比100%増の成長を遂げています(https://t.co/IE7SLjndaMより)。https://t.co/FWhGFqPb9A
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 9, 2021
ウォルマートが無人トラック採用
ウォルマート(Walmart)は、無人トラックを使って12時間の長距離配送を行うことを正式発表しました。自動運転テクノロジー企業のガティック(Gatik)との提携によるもので、トラックは毎日7マイル(約8km)の長さを周回します(engadgetより)。https://t.co/BOODNcp5lI
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 9, 2021
ドアダッシュ、レストラン向け配送サービス開始
フードデリバリーのドアダッシュは8日、レストラン向け全国配送サービスの開始を発表。Katz’s DeliやBig Shake’s Nashville Hot Chickenなど有名店の食事を顧客に提供するもので、ゴールドベリーと競合することになります(https://t.co/wXx4OvpnsNより)。https://t.co/wVkBIdEdN5
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 9, 2021
スレッドアップ第3四半期業績、35%増
再販プラットフォームのスレッドアップ(ThredUp)は第3四半期業績で、売上高が前年同期比35%増加しました。アクティブな購入者数も14%増加し、合計で140万人に達しました(MarketWatchより)。https://t.co/FbGWPV0jE9
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 10, 2021
英ファストファッションのプライマーク、米国で出店加速
英国発ファストファッションブランドのプライマーク (Primark) が米国での店舗数を増やしています。同社によると、今後5年間で現在の13店舗から60店舗に増やすといいます(Financial Timesより)。https://t.co/HEt0EINP0Q
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 10, 2021
ヤプリの第3四半期業績、アプリの需要増で売上2ケタ増
アプリ開発プラットフォームのヤプリは、21年12月期第3四半期業績で、売上高が前年同期比36.1%増の23億1400万円を達成。企業のデジタル化推進や生活者のモバイルシフトでアプリへの需要が高まっているといいます。人件費や広告宣伝費などの先行投資で営業損失は6億3700万円に。https://t.co/aNb0PNX2lm
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 10, 2021
マクドナルドとマライア・キャリーがコラボ
マクドナルドの最新セレブリティ・メニューは歌手のマライア・キャリーとのコラボ。マクドナルドのモバイルアプリで1ドル以上の購入をすると、マライア・メニューのなかから厳選された無料アイテムが提供されます。12月13日からクリスマスイブまでの12日間(USA Todayより)。https://t.co/LAJ1SqpQrX
— モダンリテール[日本版] (@modernretail_jp) November 11, 2021
Written & Edited by 戸田美子