最近出会った「グリさらパン」という調理器具が素晴らしく便利です。使うたびにその優秀さにほれぼれしてしまうので、今回はただただ、その良さを賛美させてください。
ただしもちろん、メーカーさんから一切の金品は受けとっていないし、PR記事でもありません。この記事は、いち「グリさらパンファン」の、抑えきれぬ感情の発露です。
グリさらパンとの出会い
仕事がら、スーパーやホームセンターの調理器具売り場を覗くのが好きで、そこに真新しいアイテムでも見つけてしまったら気にならざるをえません。
数ヶ月前に見かけ、以来気になっていたのが「和平フレイズ」というメーカーの「グリさらパン」。
サイトの説明によると、SNSなどで人気の「スキレット」(鋳鉄製のフライパン)をアルミニウムで作った製品だそう。スキレットといえば、熱伝導性と蓄熱性、火の当たりの柔らかさにより美味しく調理できる反面、重く、錆びやすく、こびりつきやすく、使うたびの手入れが面倒という側面もあります。それをアルミ製にすることにより、軽く、油ならしなどの工程もいらず、お手入れは洗剤で洗うだけでOK。さらにその小粋な見た目から、調理後はそのまま食卓に出してお皿がわりに使える。というような特徴があるんだそうです。ネーミングは「グリルで使えてお皿にもなるフライパン」から来てるのかな。
なるほどね〜、でもな〜、スキレットなら複数個持っているし、実際どのくらいの実力があるのかもわからない。それで1200円か〜。う〜ん……。なんてケチくさく悩むこと2週間ほど。お客さんにも同様の人が多かったのでしょうか?
もうね、本能では買うことを決めていたんでしょう。何かきっかけが欲しかっただけなんだと思います。値引きの札を見た瞬間、あまりにもスムーズかつ無駄のない動きで、グリさらパンを買い物カゴに入れている自分がいました。
で、これを買って約2ヶ月くらいかな。使うたびに「こいつ、いくらなんでも優秀すぎない?」と感動してる次第でして、今日はこのグリさらパンを、ただただ賛美させてもらおうというわけです。
驚くほど軽く、スルッスルの質感が一生触っていたい感じ。
表の赤からグラデーションで茶色になっていて、最初から使い込んだような風合いが演出されているのが心憎いです。
魚焼きグリル恐怖症を一発で克服
さて、ここからはグリさらパンの具体的な優秀さを実例とともにひたすらご紹介していこうと思います。
まずは超々基本の使いかた。グリさらパンは、直径18cmとフライパンとしては小ぶりで、さらに持ち手までトータルでアルミ製。つまり、魚焼きグリルにそのまま入れて使うことができるんです。
実は僕、グリさらパンと出会うまで「魚焼きグリル恐怖症」だったんですよね。グリルで魚が美味しく焼けるのは、そりゃあ知っている。でも、1回使っただけで食材の脂やらなんやらが網にこびりつくわ、受け皿は汚れるわ、形状が複雑でパーツも多くて洗うのが面倒だわで、どうも積極的に使おうという気になれなかった。
ところがこのグリさらパン、
魚焼きグリルのスイッチをオン。
各家庭によってグリルの性能は違うと思うので一概には言えないんですが、我が家の場合、まずスイッチを入れると強火になって、3分ごとくらいにグリルが使用中であることを知らせる「ピピッ」という音が鳴ります。
このくらいの魚の切り身だったら、そのピピッが2回くらい鳴ったら片面が焼けているのでひっくり返し、もう1回ピピッと鳴ったら焼きあがり、くらいの感じ。もちろん、心配な場合はたまに様子を見つつ。
網に直接載せるのと違い、上からの直火に加えてグリさらパン自体も熱くなっているので、焼けるのが早い感覚。
魚焼きグリルって、網から余分な脂が落ちていくからこそ食材が美味しく焼けるんじゃないか? これじゃあ食材がベチャッとしちゃわない? そんな心配をしていた時期が、僕にだってありました。でもなんか、理由はよくわからんのですが、大丈夫なんですよね。食材から落ちたと思われる余分な脂、食材に戻ってベチャッとしちゃうとかってこともなく、グリさらパンに残るだけ。
そして何より素晴らしいのが、後かたづけの楽さですよ。
突然の魚焼きグリル使いまくり生活
グリさらパンのおかげで、それまで沈黙しがちだったのに突然稼動率が急上昇した我が家の魚焼きグリル。
例えば、スーパーでお手頃な魚のアラ。パックにパンパンに詰まって、身もたっぷりついてそうで魅力的なんだけど、大根と一緒に煮るくらいしか思いつかないしなぁ、なんて、ブリのアラがあったとします。
全体に塩をふって、グリさらパンにぎゅぎゅっと詰めて、グリルにほうりこんでスイッチオン。たったそれだけで、
同様に、非常に惹かれるんだけれども、ちょっと手強そうなので今までなら手を出していなかったであろう巨大なブリカマなんかも、塩をふってグリさらパンに載せてスイッチオンで、
もちろん魚を焼くだけがグリさらパンの使い道ではありません。
たっぷり作って翌日に持ち越したカレーがあったとしましょう。難しいことは考えず、グリさらパンに薄くごはんを敷く。その上に冷えカレーをかける。さらにピザ用チーズを散らして、魚焼きグリルにつっこんでスイッチオン。それだけで、
もちろんトーストなんかもお手のもの。僕の場合、細かめにカットして具材を載せ、おつまみにするのが好きですね。
最近ちょっと話題になっている、カルディの「ぬって焼いたらカレーパン」という商品。ペースト状のそれをパンに塗ってグリさらパンにならべ、半分にチーズをかけて魚焼きグリルにつっこんでスイッチオン。
まぁ、日頃ワインを飲む習慣があまりないのでチューハイのつまみにしましたが。
騙されたと思ってチキンを焼いてみてくれ
グリさらパンは肉のグリルにもバッチリ対応。というか、肉を焼いてこそグリさらパンとすら。
例えばね? 皮つきの鳥もも肉を1枚、厚みが均等になるように包丁を入れて開いて塩をふり、グリさらパンに載せるでしょ?
で、片面が焼けてきたらひっくり返してさらに数分待てば、
塩を振っただけの鳥もも肉、もしかしたらこれが、グリさらパンのポテンシャルを最大に引き出す食材なのではとすら。
皮目からあふれ出たたっぷりの脂が直火で炙られ、もはやちょっとした揚げ鶏状態なんですよ!
以前当サイトで紹介させてもらった「酒蒸し法」の旨味濃厚でふわりと柔らかい美味しさとはまたベクトルが違って、肉は柔らかくも弾力があり、皮目はカリッと香ばしく、例えるならば専門店の炭火焼鳥に近いような美味しさ。
鶏をグリルで焼く際、わざわざ下にトレイを置いておき、旨味たっぷりのこの油をとっておくなんてことをする方も珍しくないと思いますが、グリさらパンならばその手間も不要。
あなたならどうします? この鶏油。え? 僕ですか? う〜ん、そうだなぁ……
旨味の飽和した油を吸い上げたとろっとろのネギ、もはや心中してもいい美味しさでした。
ただこの時に思いついたのが、ならばもう、鶏と一緒に野菜も焼いちゃうのが手っ取り早くね? ってこと。となるとあれだな。ぎゅうぎゅう焼き。肉やら野菜をトレイにぎゅうぎゅうに詰め、オリーブオイルをかけて塩をふって焼くだけという、ネットでも一世を風靡したレシピ。
これをグリルに突っ込んで焼いてみたところ、
でね、この時たわむれに、ぎゅうぎゅうの隙間に適当に割った6Pチーズを詰めておいたのも功を奏しまして、
目論見どおり、野菜たちに鶏の旨味が染みわたり、そりゃ〜も〜絶品でございました。
しかもなんですけど、このぎゅうぎゅう焼きを食べ終わったあとのグリさらパンには、鶏油だけでなく、野菜から出た水分もたっぷりと残っておりまして、これを捨てちゃうのはもったいない。そこで思い出してください。グリさらパンって、グリさら“パン”、フライパンでもあるわけですよ。つまり、
となればここに、お米とチーズなんかを足して、
アンケートの結果、この写真を見た1000人のうち999人が「美味しそう」と回答しました。
牛肉を焼いてみよう
ステーキやローストビーフが好きで家でもよく作るんですが、これをグリさらパンに任せられたらすっごく楽だな、と思い、試してみることにします。
買ってきたのは100グラムで200円しない安っすいステーキ肉。それにオリーブオイル適量を揉み込んでおき、塩コショウをしてグリさらパンに載せ、魚焼きグリルへ。
まずは最初に紹介したサバと同様、強火で片面6分、ひっくり返して3分焼いてみました。
おぉ、絶妙なレアー加減でぜんぜん美味しく食べられる!
次に、試しに火加減を弱火にしてもう1枚ステーキ肉を焼いてみます。すると、加熱時間はさっきと同じだったのですが、なぜかしっかりとなかまで火が通り、こんな焼け具合に。
ただこれが、強火のときよりも肉が柔らかくてさらに美味しい!
とはいえ、このくらいの厚みの肉ならばフライパンでジャーッと焼いちゃうほうが手っ取り早くもありますね。
ならばそうだ、もっとぶ厚い肉を焼いてみよう。
ローストビーフ、僕の場合は、フライパンで全面に焼き目をつけてからアルミホイルで包み、袋に入れてタオルでくるんで30分寝かせるという、料理家のコウケンテツさんが紹介されていた作りかたか、以前「トキハソース」を取材した時に知った
でやるのが通例でした。どちらもかなりお手軽な方法。ただ、これをもしグリさらパンに丸投げできるのだとしたら、こんなに楽なことはないですよね。
というわけで、先ほどのブロック肉をほどよい大きさにカットし、表面にオリーブオイルを揉み込んで塩コショウをふり、グリさらパンへ
上下の面しか焼けてませんね。そこで肉を90度回転させて側面も加熱。そのあといったんグリさらパンを取り出し、
しばらく休ませたらカットしてみます。
自分で作って家で食べるぶんにはなんの不満もないローストビーフができました。
ただ、強火焼きはいったん取り出してコンロで側面を焼いたりと、ちょっとだけ工程が多かったですよね。それでもじゅうぶん楽ちんなんだけど、弱火でじっくり焼いてみたらどうなるんだろう?
試してみましょう。
なんと、魚焼きグリルに入れてほぼ放置でかなり理想的な焼け具合に。これまたしばらく休ませてからカットしてみると、
やっぱり心なしか、強火よりも肉がしっとり柔らかい気がします。前に酒蒸し法をあれこれ検証した時も、もっとも肉が柔らかくなるのは弱火でじっくり加熱した場合だったし、もしかして肉を焼くなら弱火に限るのか?
とにかく、塊肉をグリさらパンに載せ、魚焼きグリルに入れて弱火にかけてほぼ放置で、じゅうぶんなクオリティーのローストビーフができてしまいました。今回は途中で1回ひっくり返したけど、底面からも焼けるグリさらパンなら、それすらも必要なかったかも?
いや〜楽しいな、グリさらパン。引き続きいろんなものをグリルしてみよう〜!
と、いいことづくめのグリさらパンですが、もちろん万能というわけではありません。試しに目玉焼きをグリルで作ろうとしてみたら、
みたいな失敗もあって、そこがまた楽しくもある。あと、お皿として使うのには若干軽すぎるので、シリコン製などのすべりにくい鍋敷きなんかあるといいかも。
とにかく引き続き、我が家のグリさらパンと魚焼きグリルは、フル稼働していくことと思われます。