COP26で発言するバイデン米大統領 | REUTERS
ジョー・バイデン米大統領は2日夜、世界の気候変動対策を話し合うため英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に、中国とロシアの首脳が欠席していることを批判した。気候変動の原因となる二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出において、中国とロシアはいずれも大量排出国。
会議で各国が果たす役割について意見を求められたバイデン氏は、気候変動は「巨大な課題」だと強調。それなのに中国は対策の話し合いに不参加だと批判し、「ロシアとプーチン(大統領)も同じだ」と述べた。
「中国は世界的なリーダーとしての存在感を世界で示そうとしている。それは分かる。なのにここに欠席するとは、おいおい」とバイデン氏は言い、中国の習近平・国家主席の欠席は「大間違いだ」と批判した。
バイデン氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領についても、ロシアの森林が燃えているのにロシアの大統領は「何も言わない」と批判した。
今月12日まで予定されているCOP26で、120カ国以上の首脳が首脳級会合に出席した。プーチン大統領と習主席は欠席したものの、両国とも代表団は派遣している。
二酸化炭素の排出量では現在、中国が世界一となっている。2位はアメリカ。3位は欧州連合(EU)、4位はインドで、ロシアは5位。
10月31日から始まった協議で、参加国はすでに、CO2の吸収源として欠かせない森林の破壊を2030年までに終わらせるという合意に署名。温室効果ガスとしてCO2に次ぐ排出量のメタンについても、2030年までに排出量を2020年比で30%削減すると合意した。
森林破壊に関する合意には、中国もロシアも署名した。
バイデン大統領の発言に先立ち、プーチン氏は森林管理に関する会合にバーチャルで出席。ロシア政府によると、ロシアは森林保護のため「最強で最も積極的な措置」を実施すると、大統領は表明した。
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ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は10月にプーチン氏の欠席を発表した際、その理由を説明しなかった。ただし、気候変動はロシアにとって「重要」な優先課題だと述べていた。
同じ10月には英政府は複数の外交筋から、中国の習氏もおそらく欠席すると知らされていた。
習氏は2020年初めから中国を出ていないとされている。複数の西側外交関係者は、習氏が中国を出ると新型コロナウイルスの感染から主席を守れないかもしれないと中国政府関係者が懸念しているようだと話している。
習主席は今年9月、中国は2060年までに「カーボン・ニュートラル」を目指すと発表した。これは、CO2など温室効果ガスの排出量を減らすと共に、排出されたガスを吸収あるいは除去することで、全体としての排出量ゼロを目指すという意味。中国政府はそのため、排出量のピークを2030年に設定した。
プーチン氏も今年10月13日の演説で、ロシアは2060年までに「カーボン・ニュートラル」の実現を目指すと表明した。
COP26の重要ポイント
- 気候変動は地球が直面する最重要課題のひとつ:地球の温度がこれ以上大幅に上昇しないようにするには、各国政府は今まで以上に大胆にCO2などの温室効果ガスの排出を減らすと約束する必要がある
- 大国の約束に注目:アメリカや中国など、世界でも特に大量の温室効果ガスを排出する各国が、何を約束するかが重要。同時に、環境破壊による被害が特に大きい発展途上国に、どのような支援が約束されるかにも注目が必要
- 私たち全員の暮らしが変わるかもしれない:英グラスゴーで開かれているこの会議の結果、私たちの仕事、家の暖房や冷房の仕方、何を食べて、どのように移動するかなど、生活の様々な側面が変化するかもしれない
(英語記事 COP26: Biden attacks China and Russia leaders for missing summit)