超ハイカロリー郷土料理、いももちの拡張レシピを考える

デイリーポータルZ

いももちをご存じだろうか。

ほぼジャガイモだけで作られているのに、妙にもちもちしたあいつだ。

おいしい。

おいしいのだけど、そのボリューム感、甘くもしょっぱくもある味、郷土料理らしからぬ高カロリーで、おやつ/おかず/ごはんの間をさまよっている気もする。

もしかしたら、日本の食卓を彩るユーティリティプレイヤーとしてもっと化けれるんじゃないか。

そんないももちの拡張レシピを6種類作ってみた。

いももちアンケートをとりつつ、まずは基本のいももちを作る

東京のスーパーの総菜コーナーに売っているいももち

北海道の郷土料理というふれこみのいももち。

関東出身者にとっては、なぜ郷土料理なのにこんなに高カロリーなんだろうという疑問とともに、いまいち食べ時がわからずにいる。

おかずにしては炭水化物然としてるし、おやつにしては腹持ちがよすぎるし、ごはん(主食)にしてはまだまだ謎の存在だ。

おいしいだけでなく、丸っこくてかわいい

いももちをいつ・どう食べるか。

読者の皆様にご協力いただきアンケートをとった。(合計147票!ありがとうございます!)

その結果をおり交ぜながら、実際に食べて検討していきたい。

いももちアンケートその1。北海道だけでなく、予想以上の東日本優位だ。自分で作ったことがある人は北海道を中心に59名もいた
では早速つくってみよう

これからいももち拡張レシピを考えていきたいのだが、その前にまず基本のいももちの作り方をおさらいしたい。

作り方は超シンプル。ネットのレシピを総合すると上のようになるが、郷土料理の本で調べるとそれぞれ工夫もあるようだ
塩ゆでにしたジャガイモをすりつぶし
すこし粗熱をとってから片栗粉を入れて混ぜる(熱すぎると片栗粉が固まってしまうらしい)
手でこねられる温度になってくると、だんだんモチらしくなってくる
丸めるとピュアな感じでかわいい
バターで揚げ焼きにする
油を吸っておいしく成長中。いももちはおそろしいことにそこにある油をすべて吸ってしまう
完成したら醤油・砂糖・みりんを煮立てたタレをかけて食べる
カリッ、ジュワッ、モチっとしてとにかく頭を使わないおいしさ

いももちは素直だ。油も、タレも、肉の旨味も素直に吸う。どんどん吸収する。

だから、料理によっては油の量の細かな調整が必要になってくる。意外と繊細な料理なのだ。

いももちの一般的な食べどきと、その拡張レシピ6選

ところでそんないももち、一般的にはどんなタイミングで食べられているのだろうか?

アンケートその2。いももちのユーティリティプレイヤーっぷりがよくわかる。また、北海道の回転寿司では定番メニューとなっているらしい

おやつとしてが一番多かったが、おかず、つまみ、主食など、いろんなシチュエーションにいももちは馴染むことができる。

夕食のおかずとしてのいももち。白飯にのせて食べるとたのしい

だからこそ、いももちはまだまだ可能性に満ちあふれてる気がするのだ。

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 ①肉汁を吸え!ステーキの付け合わせにいももち

バター、肉汁、ニンニク、赤ワインなどを吸ったいももち

さて、最初はいももちの何でも吸う性質をいかした料理である。

次のアンケート結果からヒントを得た。

アンケートその3。全体的にはバター、砂糖醤油、チーズという回答が多数だったが…

ジンギスカンなど肉の旨味と合うという回答も複数あったため、ステーキソースを作る際に投入してみたい。

まずはステーキ肉をガーリックバターで焼き…
そこに赤ワインと醤油を入れてソース作り&いももちを焼く

予想以上にソースを吸ってしまうが、その分いももちに旨味がたまっていくはずだ。

ためこんでるのだ
いざ食べてみると…

旨味だらけのマッシュポテトといった感じで、味はもう間違いないおいしさだ。

ただ、ソースと一緒に焼くと水分を吸ってカリっと感が薄れるため、先に表面を揚げ焼きにしてから投入するすれば向かう所敵なしになりそうだ。

どちらにしろ、方向性は大正解だった。

 

②マックのハンバーガーにもいももち

ポテトLサイズは先においしくいただきました

今度はいももちの揚げ物としての側面に注目したい。フライドポテトをもっとジューシーに食べたいときこそ、いももちの登場だ。

ハッシュポテトっぽくもある

フライドポテトのカリっと感にくわえて、ジュワッと油があふれてくる。子供に人気の味だと思う。ラードやごま油などに代えてもおいしそうだ。

おいしいんだけど手はベタベタになる

ひとつ工夫をするなら、しっかりとキッチンペーパーなどで油を切った方がいいかもしれない。

いももちバーガーにするとよけいに美味しい

すこし前にアイダホバーガーというハッシュポテトを挟んだバーガーがあったが、あれの進化版みたいな味だ。

ビーフパティの食感を邪魔せず、ほどよいカリっと感とジューシーさが追加されるので、ハンバーガーのランクが1~2段上がった気になる。

 

③丸めて煮込む家庭の味。肉じゃが風いももち

いももちには出汁も吸わせてみたい

家庭のジャガイモ料理といえば肉じゃがだ。

いももちアンケートその4。「素朴な食べ物」と「カロリーの爆弾」が両立するのって、すごいことだと思う

アンケートでは北海道の人たちから「おばあちゃんの味」という回答がいくつもあり、それぞれの家庭の味として根付いているようだ。

そんないももちの家庭的な側面を拡大解釈してみた。

見た目の違和感はゼロ

煮る時間が短いと片栗粉っぽさ残るため、弱火でじっくりと煮た方がよい。

煮たいももちは例えようのないふわふわっぷり

ちょっと似た料理が思いつかない新食感。ふわふわ、トロトロしており豚肉やにんじんとの食感の違いを楽しめる。

寝かせなくてもしっかり味が染みている

ジャガイモと思って食べると面食らうけど、別の料理として料亭とかにあってもよさそうな気がする。

いももちは焼く、揚げるだけでなく煮るという選択肢も正解だ。

なお、電子レンジでゆでると溶けてなくなるので注意

 

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④朝ごはんに、ベーコンエッグ&チーズいももち

朝食にはチーズトーストの代わりにいももちを

今度は主食としてのいももちだ。

アンケートでも人気の高かったカマンベールチーズを入れる
ベーコンと一緒に焼くことで肉の脂も追加
ケチャップ&マヨのオーロラソースともよく合ういももち

ワンプレート料理の最後の方って、皿の上でいろいろ混ざっておいしさがすごい状態になる時があるけど、いももちは最初からそれを体現している。味の完全食である。

 

⑤干しエビ入りお好み焼き風いももち

干しエビを入れると美味しいという回答をアンケートでいただいたので、それをヒントに作ってみた

主食でもあり、おかずでもあり、おやつにもなるお好み焼き。

まさにいももちのためにあると言ってよいかもしれない。

今回は小エビ、紅ショウガ、青ネギの組み合わせ
しっかりと丸めて伸ばす。この瞬間が一番かわいい
豚肉をしいて両面じっくりと焼く
何の違和感もなく素直においしい

見た目に違わず味もほぼお好み焼きで、もちもちした食感が特に活きている。ジャガイモや山芋入りのお好み焼きはすでに存在するので、今回つくった料理の中でも万人向けだ。

そしていくらでも拡張しがいのあるレシピだと思う。

 

⑥餅としての面目躍如、おしるこいももち

ここまで“いも”にばかり注目してきたが、“もち”としての側面にも注目したい

丸餅に焼き目をつけてお汁粉にいれるのが感じを、そっくりそのままいももちでやってみたい。

素焼きにするとだんだんふくらんでくる
熱々の冬の甘味が完成だ

焼いたことでしっかりとモチモチ感が出ており、いももち本来の素朴なおいしさが楽しめる。

ふつうの餅に比べるとさっぱりしていて、炭水化物の罪悪感が少ないのもよい。

ジューシーないももちも美味しいけど、素焼きが一番もちらしさを楽しめるかもしれない。

最後に、簡単ないももちのあらましを紹介したい。いももちという名に限らず、昔から北海道にはいもをモチ/団子状にして食べる料理が沢山あったようだ。保存食としての側面も大きいだろうが、ジャガイモをそのまま食べるよりも日本人にはずっと馴染みある食感になることが広まった理由なんだろうと思う。なお、藤村久和著『アイヌのごはん―自然の恵み』(2019年、デーリィマン社)には現代のいももちレシピがいも団子(イモ・シト)として紹介されていたりする。

 

おやつとしても、おかずとしても、ごはんとしても、つまみとしても、イモとしても、モチとしても楽しむことができるいももち。

いくつか拡張レシピをつくってみたが、まだまだそのポテンシャルを活かしきれていない気がする。

皆さんのいももち拡張レシピもぜひ教えてください。

(アンケートに対する沢山のご回答、本当にありがとうございました!紙面の関係で簡単にしか取り上げられませんでしたが、いももち愛のつまった回答ばかりで、すべて楽しく読ませていただきました。)

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