アメリカの経済紙であるThe Financial Timesが新たに「AppleがiPhoneにプライバシー強化機能を導入したことによって、Snapchat・Facebook・Twitter・YouTubeは2021年下半期だけで推定98.5億ドル(約1兆1200億円)の収益が消し飛んだ」と報じました。
Snap, Facebook, Twitter and YouTube lose nearly $10bn after iPhone privacy changes | Financial Times
https://www.ft.com/content/4c19e387-ee1a-41d8-8dd2-bc6c302ee58e
Apple’s app tracking policy reportedly cost social media platforms nearly $10 billion – The Verge
https://www.theverge.com/2021/10/31/22756135/apple-app-tracking-transparency-policy-snapchat-facebook-twitter-youtube-lose-10-billion
App Tracking Transparency has hit social media for $10 billion in lost revenue so far | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/10/31/social-media-firms-see-10b-cut-in-ad-revenue-due-to-app-tracking-transparency
2020年、AppleはiOSのポリシーを大幅に変更してユーザーが事前にオプトインで許可しない限りはアプリ側がユーザーの情報を収集して行動を追跡できないようにする新設定「App Tracking Transparency(ATT)」を導入すると発表しました。従来のインターネット広告市場では、ユーザーの個人情報に基づき広告が表示されるターゲティング広告が主流でしたが、このポリシー変更によってターゲティング広告が困難になったため、アプリ側の広告収入は大きく減少する見込みだと報じられました。
収入のほとんどを広告収入に頼っているFacebookは大手新聞各社にAppleを非難する全面広告を掲載しましたが、Appleは2021年4月にリリースされたiOS 14.5でATTを実装。iOS 14.5のリリース後に行われた調査では、ほとんどのiPhoneユーザーがATTによってアプリからのユーザー追跡を拒否していることが判明しました。
iPhoneユーザーのほとんどがiOS 14.5で有効になったATTからアプリによるユーザー追跡を拒否していることが明らかに – GIGAZINE
ATT導入から3カ月経過した2021年7月には「開発者や広告主の収益が15~20%減った」という報道も出ていましたが、新たにThe Financial Timesは「広告テクノロジー企業のLotameの分析結果によると、Snapchat・Facebook・Twitter・YouTubeのSNS大手4社が2021年第3四半期と第4四半期に失った収益は売上高の12%にあたる推定98.5億ドル(約1兆1200億円)」と報じました。
この4社の内訳をみると、Snapchatは売上高の13.2%、Facebookは売上高の13.2%、YouTubeは売上高の7.7%、Twitterは売上高の7.4%を失ったとみられています。Facebookは比較的高い売上高の減少率を記録しただけでなく、会社の規模としても大きいため、実際に失った額は約80億ドル(約9100億円)を超えるとのこと。
Lotameのマーク・ウースリーCOOは男性用下着メーカーが広告を出すという事例を挙げて、「これまでは男性のユーザーにのみ広告を出せばよかったのですが、ATT導入によってユーザーの性別がわからなくなったため、突如としてコストが2倍になりましたと述べて、iOSで広告を出しても利益が上がらなくなったことを指摘。オンラインショッピングのスタートアップに資金提供を行うWayflyerのエイダン・コーベットCEOは「TikTokは1000インプレッションあたりのコストが圧倒的に安い、人気が非常に高まっています」と述べ、広告掲載費が割高なFacebookからTikTokに顧客が流出していると語りました。
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