写真AC
10月22日、警視庁はアダルトショップを禁じられた地域で営業したとして、マンガやグッズなどを扱う古書店「まんだらけ」を風俗営業法違反の疑いで書類送検した。(*1)(*2)
この一報を聞いたとき「ああ、こういう形で決着になるのか」と少し複雑な気持ちになった。個人的にはもう少し穏当な形で終わって欲しかったのだが……。
サブカルの聖地にオープンした「禁書房」
実はこの問題、8月下旬から一部界隈で騒がれていた。
発端は、まんだらけが東京都中野区にある「サブカルの聖地」とも呼ばれる中野ブロードウェイの4階に「禁書房」という、昭和のアダルトメディアを中心に取り扱うショップをオープンさせたことだった。
禁書房では、胸などを隠した形ではあったが、通路に面したショーケースにアダルトメディアを掲示していた。また目隠しがなく通路からも中が見える状態だった。
これに対して、禁書房の向いでファンシーショップを営業していた「Spank!」が、Twitterで「10代の女の子や家族連れなどに通ってもらっている」として、真正面にアダルトメディアを扱う禁書房がオープンしたことを問題視するツイートを行ったのである。(*3)
このツイートを「友人の店の話」として、エヴァンゲリオンの碇シンジ役などとして知られる声優の緒方恵美氏が紹介した(*4)ことで、一気に問題が多くの人たちに認知されることになった。
必要なのは「ゾーニング」だった?
Spank!側が一貫して求めていたのは「ゾーニング」であったと僕は考えている。
まんだらけは中野ブロードウェイ内に多くの店舗を持ち、いわばまんだらけ王国と言っても差し支えないほどである。そうした店舗の一区画としてアダルトメディアを扱えば問題ないのに、どうしてわざわざ10代を含む若い女性客の多いショップの目の前にアダルトショップをオープンさせたのかと問うている。
Spank!のツイートでは、まんだらけに「なぜこの場所なのか?」と問うたところ「ここしか空いている場所がなかった」という返答が得られたとしているが、中野ブロードウェイ内に店舗を構えるまんだらけの全体面積を考えれば、他の場所に昭和アダルトコーナーを設置することは、それほど難しいことであるとは思えない。
ところがこの問題が厄介だったのは、緒方恵美氏のツイートを通してこの問題を知った人の一部が「女性向けのショップが、まんだらけの営業を妨害しようとしている!」と認識してしまったことである。
彼らは店や緒方氏に対して「目障りだから店を出すなってことですか!?」「自分の影響力を駆使して店(まんだらけ)をネットリンチする方向に誘導しようとしている」など、さも対立を煽っているかのような批判を送った。
店や緒方氏を直接的に批判をしない人たちも「中野ブロードウェイはまんだらけの天下なんだから、女性向けの店の方が場違いだ」「中野ブロードウェイはアダルトショップも許される場所」などとして、まんだらけを擁護した。