トヨタEV本格参戦 なぜ今なのか – ABEMA TIMES

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 トヨタ自動車は14日、電気自動車(EV)の世界の販売台数を、2030年に350万台にする目標を発表した。燃料電池車と合わせ200万台だったこれまでの目標を大幅に上方修正した。30車種の電気自動車を投入し、高級ブランドのレクサスは2035年に新車の販売を100%電気自動車にする。

【映像】トヨタ本格参戦!EV普及の本気度

 電気自動車の開発や投資には4兆円を投じる方針を示したが、なぜ本格参戦するのか。テレビ朝日経済部の進藤潤耶記者が解説する。

Q.今回トヨタが発表した内容のポイントは?
 一番は、2030年までに電気自動車、豊田社長は「バッテリーEV(BEV)」と表現していたが、バッテリーだけで動く車を年間350万台販売するというもの。この年間350万台というのは、世界に数ある自動車メーカーの年間の販売台数のトップ10に入る台数。これまでは燃料電池車も含めて200万台と言っていたのを、一気に倍に近いかたちにした。

 また、2030年までに電気自動車を30車種投入すること。

 レクサスはいわゆるラグジュアリーブランド、高級ブランドに位置づけているが、電気自動車の販売比率を2035年に100%にする。ちなみに、アメリカとヨーロッパ、中国では、2030年に電気自動車の販売比率を100%にするようだ。

 そして、電動車の研究開発費に8兆円。その膨大な額のうちの半分を電気自動車に投資するということで、なかなかインパクトがある。14日の会見には外国の記者が来ていて、YouTubeでは同日通訳で世界にも配信していると広報は話していた。

 トヨタはフォルクスワーゲンとこの数年世界のワン・ツーを争っているが、そういった大きな企業が何百万台という数値を具体的に出したのは、やっぱりインパクトがあるだろうとみている人が多い。

Q.トヨタがそこまで力を入れる背景は?
 「プリウス」は幅広い年代が知っていると思うが、1997年に世界で初めてハイブリッド車を量産して、環境に優しいとハリウッド俳優も乗り出したこともあって広まっていった。ハイブリッド車は、ガソリン(エンジン)と電気(モーター)の両方を使っていくというところで、高い技術力が必要とされ、日本のメーカーが開発を続けていた。ヨーロッパやアメリカ、中国としては技術力でなかなか敵わないということで、トヨタは「ハイブリッド」というイメージを持たれるようになった。

 他のメーカーが電気自動車に特化していく中、トヨタは「いろいろな車を売ります」と言い続けていたので、「トヨタは電気自動車に後ろ向きなんじゃないか」「ハイブリッドを守りたいんじゃないか」という声が海外を中心に上がっていた。それに対し、「違うんだ」ということを伝え続けてきたが、なかなか理解されず、今回豊田社長が「近い数字を出した」と言っていたように、2030年など近い時期の具体的な数値を出すことで、世界中の人に理解してもらいたいということがある。

 もう1つは、ミレニアル世代、Z世代というのは、世界的に見ても環境やSDGs(持続可能な開発目標)に興味関心がある中で、電気自動車に惹かれていった時に、ハイブリッドは「ガソリンも使うから二酸化炭素も出す」とある意味素直に考えてしまう。実は電気自動車を作る過程でも二酸化炭素を排出している現状はあるが、電気自動車と聞くと「環境に優しい」、ハイブリッドは「ダメ」といったイメージがつきがちだ。若い世代にも向けてというのは私の推測もあるが、なんとかしたいという思いがあったのでは。

Q.電気自動車の乗り心地は?
 会見で「トヨタの電気自動車って正直どうなんですか? どう思ってるんですか?」と聞いたジャーナリストの方がいた。これに豊田社長も笑って答えて、昔のトヨタの電気自動車は微妙だったというようなニュアンスの発言をしていた。ただ、ドライバーとしての技術も身につけて、何年も乗ってきてわかってくると、今の電気自動車の進化や技術、乗り心地には自信があるというニュアンスの発言をしていた。

Q.トヨタ以外の電気自動車戦略は?
 世界はヨーロッパを中心にこの数年、加速度的に電気自動車に進んでいて、トヨタが「後ろ向き」だと言われている理由がまさにそれだ。

 フォルクスワーゲンはつい先日、2022年からの5年間で、11兆円超を投資するとしている。メルセデス・ベンツは、2030年にも電気自動車専業にするとしている。これまでメルセデスの社長は「電気自動車ファースト」と言っていたが、9月のミュンヘンモーターショーでは「電気自動車オンリー」と言っていた。BMWはトヨタと同じ「全方位」で、例えば2025年以降もエンジン車製造をすると言っているようだ。ルノーは2030年までに欧州で販売する新車の9割を電気自動車にするとしている。

 国内を見ると、日産は2030年度までに23車種の電動車(電気自動車15車種)投入。ホンダは2040年までにエンジン車を全廃し、新車をすべて電気自動車と燃料電池自動車(FCV)に。マツダは、2030年には生産車の100%を電動化し、そのうち25%は電気自動車にするとしている。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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