米の5G対応「看板倒れ」の現実 – ロイター

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[ワシントン 14日 ロイター] – 米通信事業者は今、次世代通信規格「5G」が使える地域を地図上にピンクや青で記し、いかにも広範囲をカバーしているかのように見せている。しかし最も整備が進んだ州でさえ、高速サービスに対応した地域は3分の1に満たないことが、最新のデータで分かった。

5Gは4Gよりも通信速度が速い設計になっており、ほとんど遅延が無いため自動運転車などの実用化に役立つ。周波数帯によって性能が異なり、低周波数帯では通信速度が最も遅い代わりに電波が遠くまで飛ぶという強みがある。中周波数帯では電波の飛ぶ範囲が狭くなるが、通信速度は速くなる。高周波数帯では電波が1マイル程度しか飛ばないが、今のところスピードは最速だ。高周波数帯が使える地域はまだほとんどない。

オープンシグナルが14日公表した分析結果によると、試験参加者がTモバイルの5Gに接続できた確率は34.7%、AT&Tは16.4%、ベライゾンはわずか9.7%だった。しかも全般的に、多くの人々が5Gに期待する最速スピードでは利用できなかった。

これらの数字は、通信事業者が広告で約束しているのとは程遠い。激戦のモバイルサービスにおいて、各社がいかに5Gに賭けているかの裏返しだ。

Tモバイルの広告は「米国で最大、最速、最も確実な5Gネットワーク」をうたう。米国の地図のほぼ全域をピンクで覆い、幅広い範囲で使えることを示唆している。この地図には、顧客がどのタイプの5Gサービスを得られるのかの区別がないが、細かい文字を読むと、低速バージョンも含まれていることが分かる。最も性能の高い「超容量」5Gは「数百都市、数百万人」しか使えない。

AT&Tはグローバル・ワイヤレス・ソリューションズに委託した試験結果を引き合いに「最も確実な5Gネットワーク」を誇る。しかし高速の「5Gプラス」は「20州余りの選ばれた高速ゾーンや場所で利用可能」となっている。

広告と実態の格差について尋ねたところ、Tモバイルのバイスプレジデント、グラント・キャッスル氏は「当社のネットワークが私の望み通りの規模と広さに達しているかと言われると、ノーだ。まだ取り組みの途上にある」と述べた。

AT&Tのネットワークサービス幹部、アンドレ・フーチュ氏は電子メールで、5Gは「まだ生まれて間もなく、現在進行中の投資と革新を通じて進化、発展していく」との見解を示した。

ベライゾンも8月、「最も確実」という宣伝文句を修正し、特に5Gサービスについて言及したものではないことを示唆する内容にした。

権利擁護団体「パブリック・ノレッジ」のハロルド・フェルド氏は5Gの現状について、「実現するまでは実現したふりをする」段階だと指摘する。

権利擁護団体「インスティテュート・フォー・ローカル・セルフ・リライアンス」のクリストファー・ミッチェル氏は、全般に最新技術の到着が最も遅れるのは低所得地域や一部の農村部だと指摘。農村部における5Gは往々にして「徐々に速くなる4G」にすぎないと述べた。

世界的に見ても状況は似通っている。オープンシグナルが9月初めに出した報告書によると、5Gの接続率が最も高いのは韓国の28.1%で、次いでサウジアラビア、クウェート、香港がいずれも25%超だった。

(Diane Bartz記者)

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