一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2021年度上期(2021年4月~9月)の国内PC出荷実績は、出荷台数が前年同期比27.7%減の357万9,000台、出荷金額は20.6%減の3,283億円となった。
2021年4月以降、6カ月連続で、前年の出荷台数、出荷金額ともに下回っている。とくに、2021年9月単月の出荷台数は、前年同月比53.6%減の67万3,000台となり、半減以下の結果となった。2021年8月も、出荷台数では43.9%減となっており、2カ月連続での大幅な縮小だ。
その背景にあるには、前年同月の特需の反動だ。
前年同月には、GIGAスクール構想による小中学校への1人1台の端末整備が本格化したタイミングであり、その反動を大きく受けたことが理由と言える。
GIGAスクール構想で導入されるデバイスの仕様は、液晶サイズが9~14型であり、JEITAのパソコン出荷統計では、これらのPCが、モバイルノートのカテゴリに含まれる。
2021年9月のモバイルノートの出荷実績は前年同月比67.8%減の26万2,000台であり、実に約3分の1にまで減少している格好だ。ここからも、GIGAスクール構想の反動が大きく影響していることがわかる。
一方で、2021年9月の集計では、唯一、デスクトップPC単体の実績が前年を上回っている。デスクトップPC単体の出荷台数は前年同月比8.5%増の9万6,000台、出荷金額では15.6%増の79億円と、台数、金額ともに上回った。金額の伸びが、台数の伸びを上回っていることからも、高性能モデルの人気が高まっていることがわかる。テレワーク需要が一巡し、オフィスへ回帰する動きが始まるなかで、PCにも需要の変化が見られているともいえる。
なお、2021年度第2四半期(2021年7~9月)の出荷台数は前年同期比40.3%減の175万8,000台、出荷金額は25.2%減の1,586億円と、大きく落ち込んでいる。
第2四半期としては、2017年度以来、4年ぶりに出荷台数が前年実績を下回ったことになる。
2021年度上期の実績をみると、ノートPCの出荷台数は前年同期比29.8%減の301万8,000台。構成比は84.3%となった。GIGAスクール構想の影響で一時は90%台だった状況は、もとに戻ってきたといえる。出荷金額は21.9%減の2,700億円。
ノートPCのうち、モバイルノートが31.9%減の128万1,000台、ノート型その他が28.2%減の173万6,000台となった。
また、デスクトップPCは、出荷台数は14.0%減の56万1,000台、出荷金額は20.6%減の3,283億円。そのうち、オールインワンが30.3%減の13万3,000台、単体が7.3%減の42万8,000台となった。
今後、注目されるのは、2021年10月5日から正式リリースとなったWindows 11の影響だ。現時点では、Windows 11搭載PCが出揃っていないこと、日本マイクロソフトも本格的なプロモーション活動を開始していないこともあり、量販店店頭などでの動きはそれほど活発ではない。2021年10月の国内PCの売れ行きも鈍いままのようだ。
業界関係者の話をまとめると、2021年11月以降に、Windows 11に関する本格的なプロモーション活動がスタートする可能性が高く、それにあわせて市場を活性化できるかがポイントになる。
業界の試算では、Windows 11の環境にそのまま移行できるPCは、現在、国内で使われているPC全体の半分に過ぎないという見方も出ている。こうしたPCの買い替え需要を喚起できるかが、11月以降の注目点になりそうだ。
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