【Hothotレビュー】秀逸なデザインとCore i5搭載で10万円切り。14型低価格ノートの有力候補「THIRDWAVE F-14TG」

PC Watch

THIRDWAVE F-14TG

 ドスパラから登場した新型モバイルノート「THIRDWAVE F-14TG」。スッキリとしたデザイン、軽さ/薄さを兼ね備えるとともに、第11世代Core i5をベースに不足ない性能を10万円以内で実現するモデルだ。同社がメインターゲットに掲げたのは学生だが、ビジネスモバイルとしてもその価格と性能は魅力的だ。

ターゲットを学生に、よく考えられたデザイン&インターフェイス

 THIRDWAVE F-14TGは、「SAKURA」(価格は9万9,980円)と「ラピスブルー」(同9万4,980円)という個性的な2色で展開されている。むしろブラックやシルバーといったよくあるカラーは展開されていない。

 これら個性的なカラーは確かに若いユーザーをターゲットにしている印象を受ける。今回お借りしたSAKURAも少し濃い目のグロスピンクといったところだ。ラピスブルーは同製品の発表会で実機を見ているが、深みのあるシックなブルーだった。こちらについては実際に製品ページを見てもらった方がいいだろう。

SAKURA

 デザインは非常にスッキリとしていて、ムダな装飾はほとんどないところが好印象だ。F-14TGらしさと言えるのが天板部だ。3方向からヘアライン加工を施し、光の加減によって見え方が変わってくる。また、天板部にメーカーやブランドのロゴがない。これもスッキリとした印象を高めている要素と言えるだろう。

 本体はエッジ部分をカットしたダイヤモンドエッジを採用している。ここも光が当たると美しい。また、ディスプレイ部を180度開ける構造は学習やビジネス、複数人で画面を見ながら作業を進めるような用途で活躍するはずだ。

天板部。3方向のヘアライン加工の美しさは写真よりも実際に目で見たほうが伝わるだろう

ダイヤモンドエッジを採用しており、シャープなイメージだが角が痛いということはない

液晶パネルは180度開く

 サイズは323.5×219.5×18.9mm(幅×奥行き×高さ)。18.9mmは最厚部、突起を含む厚みだ。ウルトラスリムというわけではないが十分にスリムと言える。狭額縁パネルを採用しているため、14型ディスプレイ採用モデルとしては幅を抑えられているところもモバイルに適している。

 重量は約1.5kgで、モバイルノートとしては若干重い。金属ボディのため重量感もある。パームレストがひんやり冷たいので、この寒い季節だと冷却効果が高そうだ。

 キーボードは、同社が特にこだわった点であるという。実際、キーボード入力をしてもたわみなくしっかりと底まで打鍵できる。金属ボディも堅牢性に寄与しているが、キーボード裏のプレートも硬めのものを採用しているそうだ。

 ストロークもスリムモバイルとしては確保しているほうだろう。もちろん、人それぞれにキースイッチによる感触の好みなどはあるが、正確に打鍵できるという点で見ると、THIRDWAVE F-14TGのキーボードは確かに打ちやすい。

配列は極めて標準的な日本語85キー。そして打鍵時の安定感が非常によい

 キーレイアウトは85キー日本語配列だ。メイン部分はデスクトップ用のキーボードと同じ並びで、キー数を抑えながらも必要以上にFnキーとの併用入力がない。スタンダードな配列なのでこれといって慣れを必要とするものでもない。ストレスなくテキスト入力できるはずだ。

 タッチパッドも比較的大きめにとられている。窮屈感がなく、細かな操作をするような場合でもストレスが少なかった。また、左上に指紋認証センサーがある。Windows Helloに対応しており、指紋認証を利用したログオンが可能だ。

キーピッチは19mmを確保。ホワイトLEDのバックライトも備えている

タッチパッドは十分な大きさがあって操作しやすい。左上の色が異なる部分が指紋認証センサー

 ディスプレイは前述の通り14型で、モバイルのスタンダードである13.3型と比べてわずかに大きい。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)でこちらもスタンダードだ。非光沢パネルなのでホビー用というよりは実用向きだろう。室内照明などの映り込みが抑えられ、長時間の学習や業務でも目に優しい。詳細なスペックは公開されていないが、視野角も十分に広かった。

 本ディスプレイは狭額縁設計だが、左右だけでなく上部ベゼルも細い。その細い上部ベゼルのうち、中央部がWebカメラ搭載位置になる。その部分だけほかよりわずかに太いので、指が引っかかり天板を開けやすい。WebカメラはHD画質とされている。

フルHD表示で非光沢、視野角も広いディスプレイ

上部ベゼル部分にHD画質対応のWebカメラを搭載

Webカメラ部分の外装は少し出っ張っており、液晶天板を開くさいの引っかかりにもなる

 インターフェイスもポイントに挙げたい。モバイルノートではスリムさを追求するために、USB Type-Cを採用する一方でUSB Type-Aを減らす傾向にある。しかし現在もキーボードやマウスはもちろん、プリンタ、スキャナといった周辺機器でUSB Type-Aを採用しているもののほうが一般的だ。特に、まだ紙レポートを提出する機会も多い学生にとっては、USB Type-A端子は複数あったほうがよいだろう。

 THIRDWAVE F-14TGは、USB 3.1(左側面)、USB 3.0(右側面)、USB 2.0と、3つのType-A端子を備えている。また、これからの時代のスタンダードとなるUSB Type-Cも2基備えている。

 このUSB Type-CコネクタはThunderbolt 4に対応しているほか、USB Power Delivery(USB PD)に対応しているので、ここに付属のUSB PD充電器を挿して利用する。レガシーと新世代インターフェイスどちらも備えている点も、本製品は長く愛用できる製品と言える。

USB Type-Aを計3ポート備えているので、既存のUSB周辺機器との接続で困るシーンが少ない

Thunderbolt 4ポートのUSB PD機能を用いて本体に給電。付属ACアダプタは65WのUSB PD対応で、サイズ的にUSB PD充電器としてはやや大きめ

 そのほかのインターフェイスとしては、HDMI 1.4a出力、ヘッドフォン/マイク兼用端子、microSDカードスロット、セキュリティロックスロット、そしてWebカメラ/マイク用のオン/オフスイッチがある。

 特に最後のWebカメラ/マイク用のオン/オフスイッチは、プライバシーの点で昨今のモデルには必須の機能だ。オンライン学習、Web会議などの利用が想定される方はここをポイントとしてほしい。

USB Type-Cは左側面のみだが、USB Type-Aは左右両側にある

Webカメラ/マイク用のオン/オフスイッチを備えている。BIOSやソフトウェアで制御するよりもこうしたスイッチのほうが安心だ

 ネットワーク機能は有線LANがなく、無線LANのみだ。コントローラチップにはIntel Wi-Fi 6 AX201が採用されている。

 このようにインターフェイス、特にUSBがType-C×2、Type-A×3と豊富なことに加えて、Thunderbolt 4、USB 3.1といった高速規格に対応しており、使い勝手という点で秀でている。セキュリティも指紋認証センサーやWebカメラ/マイクのオン/オフスイッチを備える点で心強い。

コスパのよいCore i5を中心にスタンダードなメモリ&ストレージ容量

 内部スペックは、一部前述した通り、CPUがCore i5-1135G7。GPU機能もCPUに統合されたIris Xe Graphicsを利用している。

 Core i5-1135G7は4コア8スレッド対応のCPU。4コアあるとモバイルでもマルチスレッドアプリケーションの恩恵が強く感じられる。あるいは複数のアプリケーションを起動し、切り換えながら利用する場合も同様だ。キビキビと動いてくれる。

 一方、グラフィックス機能のIris Xe Graphicsも、従来までの統合GPUからアーキテクチャが変わり、ゲーム以外の普段の作業でボトルネックとなることがない。

CPUはCore i5-1135G7を採用

GPUはCore i5-1135G7に統合されているIris Xe Graphicsを利用する

メモリはLPDDR4で16GB

 メモリはLPDDR4で容量が16GBだ。昨今デスクトップPCでも16GBという容量がスタンダードになりつつある点で、モバイルノートも16GBあれば十分に快適だ。

 ストレージはPCI Express 3.0 x4インターフェイスを用いたNVMe接続のM.2 SSDを採用している。容量はSAKURAが512GB、ラピスブルーは256GBだ。評価機でCrystalDiskMark 8.0.4を実行してみたところ、およそ昨今のスタンダードである2GB/s台のシーケンシャルリードが得られていた。

SSDはいわゆるミドルレンジのNVMe SSDでありシーケンシャルリードで2GB/sクラスだ

【表1】THIRDWAVE F-14TGのスペック
THIRDWAVE F-14TG(SAKURA) THIRDWAVE F-14TG(ラピスブルー)
CPU Core i5-1135G7
メモリ 16GB LPDDR4
ストレージ 512GB NVMe SSD 256GB NVMe SSD
ディスプレイ 14型フルHD(1,920×1,080ドット)非光沢液晶
OS Windows 11 Home
汎用ポート Thunderbolt 4×2、USB 3.1、USB 3.0、USB 2.0
映像出力 Thunderbolt 4、HDMI 1.4a
無線機能 Wi-Fi 6(Intel Wi-Fi 6 AX201)、Bluetooth 5.1
セキュリティ 指紋認証センサー、セキュリティロックスロット、Webカメラ/マイク用のオン/オフスイッチ
その他 microSDカードスロット、音声入出力端子
サイズ(幅×奥行き×高さ) 323.5×219.5×18.9mm
重量 約1.5kg
価格 9万9,980円 9万4,980円

 最後におまけを1つ。製品保証があるため分解は非推奨である点を念押ししておくが、本製品の裏蓋はネジ5つのみ、0番のプラスドライバーを用いて外すことができる。ユーザーによる分解をさせないために特殊な組み立て方法をしているメーカーもある昨今ではめずらしくシンプルだ。

 そして裏蓋を開けるとヒートパイプ2本による熱輸送とブレード密度の高いファンといった内部が表れる。サーマルパッドを用いたM.2スロットも見え、写真右側にはM.2の空きスロットもある。

 おそらく、M.2 SSDをここに挿せばそのまま利用できると思われる。コストはもちろんバッテリ駆動時間や発熱量との兼ね合いもあるので、シングルドライブが選ばれたと思われるが、14型でシステムとデータのデュアルドライブができればそれも魅力的だ。

THIRDWAVE F-14TGの内部

ホーム/ビジネス用モバイルノートとして十分快適な性能

 では、THIRDWAVE F-14TGの性能をベンチマークで計測してみよう。今回用いたベンチマークは、ULの「PCMark 10」、「3DMark」、MAXONの「Cinebench R23」、「Handbrake」。Windows 11標準の電源&バッテリにある電源モードを「最適なパフォーマンス」として実施した。

【表2】評価機のスペック
製品名 THIRDWAVE F-14TG Thinkpad X1 Carbon Gen9(比較用)
CPU Core i5-1135G7(4C/8T) Core i5-1145G7(4C/8T)
GPU Iris Xe Graphics(CPU内蔵) Iris Xe Graphics(CPU内蔵)
メモリ 16GB LPDDR4 16GB LPDDR4x-4266
ストレージ 512GB NVMe SSD 256GB NVMe SSD
OS Windows 11 Home Windows 10 Home
【表3】ベンチマーク結果
製品名 THIRDWAVE F-14TG Lenovo Thinkpad X1 Carbon Gen9
PCMark 10 Extended
Overall 4,402 4,417
Essentials Scenario 9,324 9,852
App Start-up Test 11,535 13,170
Video Conferencing Test 7,908 7,880
Web Browsing Test 8,889 9,217
Productivity Scenario 6,555 5,960
Spreadsheets Test 5,794 5,979
Writing Test 7,418 5,943
Digital Content Creation Scenario 5,059 5,066
Photo Editing Test 8448 8100
Rendering and Visualization Test 3,115 3,119
Video Editing Test 4,921 5,147
Gaming Scenario 3,282 3,460
Fire Strike Graphics Test 4,354 4,563
Fire Strike Physics Test 13,016 13,438
Fire Strike Combined Test 1,424 1,527
3DMark
TimeSpy 1,496 1,522
FireStrike 3,925 4,109
NightRaid 15,412 15,496
WildLife 10,406 10,744
Cinebench R23
CPU(Multi Core) 5,517 5,387
CPU(Single Core) 1,350 1,417
HandBrake
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.264/MP4 Fast SW 32.76 27.37
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast SW 27.87 27.39

 PCMark 10 Extendedテストでは、おおむねCore i5-1135G7なりの性能を示していた。4,400ポイント台のOverallは、モバイルノートとして見れば標準的なものだろう。スコアバランスとしては、ゲーミング向きでないのは当然としても、ホーム用途、ビジネス用途に不足はない。

 3DMarkは、従来の統合GPUよりはよいのだが、まだゲームタイトルや画質設定、解像度を選ぶものであることを示している。これについては後述のゲームテストで補足しよう。

 CPU性能を見るCinebench R23ではマルチスレッドで5,517ptsと、4コア8スレッドである点からすれば妥当だ。むしろシングルスレッドの1,350ptsは、モバイルとして見ればなかなかよい。これらはCore i5-1135G7の素性なので、モバイルでの性能は第10世代Core以前と比べて大きく向上している。

 なお、HandbrakeのテストではCPUに統合されたQuick Sync Videoがオプションに現われないという不具合があった。これがWindows 11によるものかドライバによるものかは特定できなかった。CPUによるソフトウェアエンコードでは以前計測したTiger Lake搭載ノートPCよりも若干フレームレートが向上していたが、比較対象がだいぶ前に計測した数値のため、その後のドライバの最適化が大きな要因ではないかと思われる。

【表4】ゲームベンチマーク
製品名 THIRDWAVE F-14TG Lenovo Thinkpad X1 Carbon Gen9
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,920×1,080ドット、最高品質 11,486 11,566
1,920×1,080ドット、標準品質 12,847 13,274
1,920×1,080ドット、低品質 14,191 14,663
World of Tanks enCore RT
超高(1,920×1,080ドット、RTオフ) 4,807 5,127
中(1,920×1,080ドット、RTオフ) 9,877 10,256
最低(1,366×768ドット、RTオフ) 46,979 48,672

 続いてゲームテストに、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、Wargaming.netの「World of Tanks enCore RT」を用いてみた。

 ベンチマークスコアからすると、ドラゴンクエストXはどの画質設定でも問題なく楽しめそうだが、World of Tanksは若干画質調整をした上で負荷を抑えて楽しむのがよいだろう。比較対象よりもスコアがやや低めであるのは、CPUクロックが若干低いためと、おそらくメモリの転送速度が遅いのではないかと思われる。

【表5】バッテリ駆動時間
製品名 THIRDWAVE F-14TG Lenovo Thinkpad X1 Carbon Gen9
PCMark 10 – Modern Office 駆動時間 9時間20分 11時間19分
PCMark 10 – Modern Office スコア 6,874 6,434
1分あたりの処理性能 12.28 9.48

 最後にバッテリ駆動時間。電源モードを「バランス」、ディスプレイ輝度を約50%として、PCMark 10のバッテリテストであるModern Officeシナリオにて計測したところ、駆動時間は9時間20分だった。

 設定がバランスなので、実用的な条件での駆動時間と思ってもらうとよいだろう。十分な駆動時間と言える。電源モードを「トップクラスの電力効率」とし、ディスプレイ輝度をギリギリまで落とせばさらに延びるだろう。

ドスパラこだわりのモバイルノート。見た目もエレガントだが使い勝手が細部までよく考えられている

 THIRDWAVE F-14TGは、良好な質感と性能を備えながら、魅力的な価格を打ち出したモバイルノートだ。しかしこだわりはそれらに留まらず、キーボードの打ち心地、新旧豊富なインターフェイス、セキュリティといった点でもよく考えられた使い勝手のよい製品と言える。トータルでの満足感は高い。

 ちょうどこのレビューをしている最中に品切れを起こしてしまったようだが、この製品を選んだユーザーもこうしたところを感じ取ったのではないだろうか。

 なお、THIRDWAVE F-14TGには兄弟モデルがあり、同社のクリエイター向けブランドraytrekに属する「raytrek X4-T」がそれにあたる。ほとんどのスペックが同じだが、CPUがCore i7-1165G7になるとともにディスプレイスペックがsRGBカバー率99%と引き上げられ、同社が独自にクリエイティブ系アプリの動作確認を進めているとのことだ。

 ちなみに、価格差は1万~1万5,000円ほど。raytrek X4-Tは10万円を若干超えてしまうが、色再現性を重視される方や少しでも高い性能を求める方などは、raytrek X4-Tを検討してみるとよいかもしれない。本体カラーはブラックとローズゴールドの2色となっている。

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