白手袋は製造業に従事している人や車の運転手が仕事で使うほか、自作PCの組み立てといった作業時や掃除の時など日常生活の中でもあると便利です。また、GIGAZINEではスマートフォンやさまざまなガジェットのレビューをしていますが、その撮影の時にも指紋や皮脂対策に白手袋が必要だと感じる場面がありました。しかし、ほこりが出やすい素材の手袋を使ってしまうと、白い粉がデバイスについてしまいかえって汚してしまう可能性も。そこで、実際にAmazon.co.jpで「低発塵」をうたっているものを含めた複数の素材の白手袋を購入して使用し、本当にほこりが出ないのかどうかなどをチェックしてみました。
iPhone 13 ProやiPhone 13 Pro Maxのフレームには、耐久性と高級感を兼ね備えたステンレススチールが使われていますが……
素手で触ると皮脂がべったりつきます。スマートフォンを使用していく上では、ある程度汚れるのは避けられませんが、なるべくきれいに撮りたいレビューの時には困りものです。
手袋を使えば指紋がつくことはありませんが、ほこりが発生しやすい素材の手袋を使うと、静電気でちりが吸着しやすいApple Watchのシリコン製バンドなどを触った時にかえって汚れてしまうおそれがあります。
そこで、素材が違う3種類の白手袋を使って、ほこりの出やすさや使い勝手を確かめることにしました。使う手袋は左から「TRUSCO(トラスコ) 組立検査用低発塵メッシュ手袋 M (10双入) DPM128-M」「ミドリ安全 低発塵 作業手袋 NPU-130 M 10双 袋」「アズワン アズツール綿スムス手袋 (マチ無) M 1袋(12双入) /3-7278-02」で、サイズはすべてMです。
◆組立検査用低発塵メッシュ手袋 DPM128-M
まずは品名に「低発塵」とある精密機関関連の組立・検査用の手袋から試してみます。素材は手のひら部分の表がポリウレタン100%、裏がポリエステル100%で、手の甲はナイロン100%です。
今回レビューした中で唯一の日本製です。
1袋10双入りで、手袋を取り出すとこんな感じ。
1双の重さは15gです。
つけてみると、指先までぴったりフィットするのを感じます。手の甲はメッシュ生地になっており、蒸れにくい工夫がなされています。
伸縮性があり、自然に指を曲げることが可能です。
手のひらはさらさらした感触。
手のひらの布地はつるつるした素材にひっかかりやすくなっており、iPhone 13 Proを軽く持ってもずり落ちません。
続いて、ほこりの出やすさを見ていきます。ディスプレイをほこり1つない状態にしてから……
指でディスプレイを覆うようにして、手袋の生地をガラス面にこすりつけます。
指を開くと、繊維質のほこりがかなり付着していました。
同様に、Apple Watchのバンドをぎゅっと握ってみます。
やはり、目に見えるほこりがついています。
試しに、3双を手に取って黒い布の上でバタバタと振ってみました。
すると、布地の上に白いほこりが多数落ちており、低発塵という名前からイメージしていたものとは違った結果になってしまいました。メーカーに問い合わせてみたところ、この白手袋は確かにほこりが発生しにくいものですが、「低発塵」とあるように、ほこりが出ないというわけではないとのことでした。
◆低発塵 作業手袋 NPU-130
次に、もう1種類の低発塵の手袋を試してみます。
1つ前の手袋は「表がポリウレタン100%・裏がポリエステル100%」でしたが、これは手袋本体が「ポリエステル」で、滑り止め部分はウレタン製です。
1袋10双入り。生産国は中国です。
1双当たりの重さは25gでした。
手のひらや指には全体的に滑り止め加工が施されています。
手の甲はメッシュになっている背抜き手袋です。
手首までカバーする長さが特徴で、手首にはゴムが入っています。
フィット感がやや犠牲になっており、指を曲げるとゴム手袋のように指先がぶかぶかになります。
表面はさらさらした感触で固くはありませんが、凹凸があるのでカメラのレンズなど繊細なものを触るのはやめておいた方がよさそうです。
滑り止め加工のおかげでグリップ力は高く、指先でフレームを軽く持つだけで安定します。
ただし、感触が指先に伝わりづらい印象があります。例えば、以下のようにiPhone 13 Proの側面にある音量調整ボタンの間に親指を置くと、実際に押下してみるまで音量を上げるボタンなのか下げるボタンなのかが分かりません。
一方ほこりの発生は少なく、先ほどと同じ方法で生地をiPhone 13 Proのディスプレイにこすりつけても、小さなほこりが少し残るのが見える程度です。
この傾向は、シリコン製のバンドでも同じでした。
◆綿スムス手袋 3-7278-02
最後に試したのがこれ。綿100%の中国製です。
1袋12双入りで、中の手袋はこんな感じ。
1双当たりの重さは15gです。
つけてみるとこんな感じ。指部分は立体的に縫製されていませんが、素材自体に伸縮性があるので問題なくフィットします。
背抜き加工などはされていません。ただし、薄い素材なので10分程度着用した状態では蒸れが気になることはありませんでした。
機能面への影響は感じませんでしたが、ほつれが目立つなど縫製が甘いところがあります。
つるつるした素材を触ると滑りやすく、iPhone 13 Proは底部を小指で支えないと保持できませんでした。
iPhone 13のディスプレイに手袋の生地をこすりつけてみると、長めの繊維のほこりが多数付着します。
この傾向はシリコン製のバンドでも同じでした。
◆まとめ
今回レビューした3種類の手袋をまとめると、以下のようになります。
手袋 | 手のひら部分の素材 | フィット感 | 滑りにくさ | ほこりの少なさ |
---|---|---|---|---|
組立検査用低発塵メッシュ手袋 DPM128-M | ポリウレタン(表)・ポリエステル(裏) | ◎ | ○ | × |
低発塵 作業手袋 NPU-130 | ウレタン | × | ◎ | ○ |
綿スムス手袋 3-7278-02 | 綿 | ○ | × | × |
1双100円未満で購入したコットン製手袋はもとより、低発塵と表示されている組立検査用手袋でもほこりが発生してしまったため、素材にかかわらず繊維でできている手袋はほこりの発生が避けられない可能性があります。手のひらが滑り止めで加工されている背抜き手袋なら、保持力が高くほこりの発生もかなり抑えられますが、指先に感触が伝わりづらく精密作業にやや難があります。
そのため、一口に白手袋と言っても「高いものを選べば間違いがない」というわけではなく、想定する用途に合わせて素材を吟味していくのがベストだと感じました。
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