Valveが提供するゲーム販売プラットフォームのSteamが、ブロックチェーン技術を使ったりNFT(非代替性トークン)や暗号資産を取引したりするようなゲームの禁止を定めました。一方で、Steamの競合プラットフォームであるEpic Gamesストアはブロックチェーン技術を使うゲームを歓迎すると、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOが発言しています。
Valve bans blockchain games and NFTs on Steam, Epic will try to make it work – The Verge
https://www.theverge.com/2021/10/15/22728425/valve-steam-blockchain-nft-crypto-ban-games-age-of-rust
Epic Games store to “welcome” games that use blockchain tech
https://www.gamedeveloper.com/business/epic-games-store-to-welcome-games-that-use-blockchain-tech
Steamに配信コンテンツを登録する手順を示した「登録作業」というページを見ると、記事作成時点で「Steamで公開すべきではないもの」の第13条に「Applications built on blockchain technology that issue or allow exchange of cryptocurrencies or NFTs.(暗号資産やNFTを発行したり交換を可能にしたりするような、ブロックチェーン技術で構築されたアプリケーション)」と追記されています。
2021年8月下旬における規定をインターネット・アーカイブで見ると第13条の項目が見つからないため、9月以降にこっそりと追加された模様。Steamでコンテンツを配信するSteamworks配信プログラムの説明ページにも記事作成時点だと表示されていません。
第13条を発見したゲーム開発スタジオのSpacePirate Gamesは、暗号資産やNFTをゲームクリアの報酬とする「Age of Rust」を開発していましたが、この第13条が追加されたことでSteamでの「Age of Rust」のリリースが不可能になってしまいました。SpacePirate Gamesは「私たちはブロックチェーン技術を使ったゲームに真剣に取り組むことを選びました。その結果、最終的にSteamとの戦いに負けてしまいました」とコメントしています。
IT系ニュースサイトのThe Vergeは、「SpacePirate Gamesは『NFTは現実世界において価値を持つ』と述べ、NFTの正当性を主張していますが、ゲーム内アイテムを販売する商業コミュニティがSteam上に存在することを考えると、その主張は弱いように思います」とコメント。さらにNFTプロジェクト「Evolved Apes」の開発者が総額270万ドル(約3億円)以上の暗号資産を持ち逃げした事件を例に挙げ、「NFTや暗号資産に基づいたゲームはあまり評判がよくありません」と述べています。
NFTプロジェクト「Evolved Apes」の開発者が3億円以上の暗号資産を持ち逃げ、だまされた投資家らは新プロジェクトを発足 – GIGAZINE
一方で、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「Epic Gamesストアでは、関連する『法律に従って規約を開示し、適切なグループによって年齢評価されていること』を条件に、ブロックチェーン技術を利用したゲームを歓迎します。Epic Gamesはゲームで暗号を使用していませんが、技術や金融の分野でのイノベーションを歓迎しています」と述べました。
なお、スウィーニーCEOは2021年9月に「NFTについては、この分野全体が、興味深い分散型技術と詐欺が入り混じって難解なものになっているため、触れていません」と述べ、NFTに対する興味はない意思を表明していました。
Epic Gamesストアでは、開発者が自分でゲームを売り出せる「セルフパブリッシング」システムが2021年8月にクローズドベータで始まりました。The Vergeは、セルフパブリッシングシステムのFAQには配信コンテンツについて「ケースバイケースで対応する」とあると指摘し、Epic GamesストアはSteamと競合するために「開発者にとってより寛容なプラットフォームであること」をアピールすることを戦略にしている可能性を示唆しました。
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