2021年10月13日から19日までの期間、伊勢丹新宿店が地下1階のフードコレクションにて実に魅惑的なフェアを開催している。その名も「秋の味覚『栗』に溺れる七日間」。
そう、栗を用いた甘味だ。全国から有名店ばかりを10店集めた、モンブランがほぼメインのフェアだ。もはや日本で最もモンブラン的に充実した場所の一つと言っても過言ではないだろう。いてもたっても居られなくなったので、さっそく栗に溺れてきたぞ!
・5種
本当なら出店している10店舗の全商品を食べつくしたいところだが、予算的にもお腹的にもそれは厳しい。ということで、今回は伊勢丹のHPで紹介されている各店舗のメイン商品的なものを、掲載されている順に食べられそうな分まで買いこんでいくことに。
ということで一番最初はホテルニューオータニのスーパーモンブランだが……これは以前レビューしたので今回はスルー。結果的には5種となった。
・眞津留(まつる)
それでは順番にいってみよう。最初は愛知県の「和栗茶屋 眞津留」。
ゲットしたのは「真心(税込み2801円)」だ。聞くと1日20個限定だそう。筆者が昼頃に行った時には、すでに残り3つとなっていた。本フェアで最もビッグなモンブランのうちの一つだと思う。値段的にも、サイズ的にも。
こちら、小ぶりなバケツ的容器に金箔が乗ったモンブランが入っているのだが、初っ端から申し訳ない。
持ち帰る途中で容器内で倒れてしまった。このモンブランはメチャクチャ繊細。無事に持ち帰りたい場合は、絶対に容器を傾けないよう細心の注意を払った方が良いと思う。
分解してみると、中には生クリームに包まれた大きな栗の渋皮煮が2個。その下はスポンジ生地だ。そして所々にサクサクしたクッキー(シュトロイゼルというらしい)がちりばめられていた。
特徴の一つである極細のモンブランペーストは、かなりフワフワだ。中の生クリームもフワフワなので、見た目のデカさに反して口当たりはかなり軽い。しかしボリュームはガチ。甘さも今回食べた中では最も強い部類に感じた。
バケツから一人で食べる場合は、アメリカ人が映画でやりがちなバケツアイスのモンブラン版的状態になる。恐らく1人前ではない気がするが、独り占めするのが一番ハッピーだと思う。
・トレカルム
続いては都内に店舗を構える「トレカルム」の「モンブラン(税込み562円)」。
会場で販売されていたモンブランの中で、最もアーティスティックなビジュアルをしていたのはこれだと思う。
実演販売ということで、ガラスの向こうで実際に作っている様子を見ることができた。これも持ち帰りには気を付けた方が良いだろう。
かなり目をひく木の枝的なトッピングは、コーヒーとクルミのメレンゲだ。見た目からは分からないほど軽く、柔らかい。食べるとコーヒーの風味がフワッと香る。
特徴的なのはその外見だけではない。このモンブランは中も面白い!
マロンクリームの下に詰まっているのは、カシスが入ったブラックベリーのムースと生クリーム。このカシスの酸味とフレッシュさが味にメリハリをもたらしていてテクい。そして一番下の生地にはクルミが入っており、その風味とザクザクとした食感が楽しい。
ぶっちゃけ栗成分は控えめだが、栗を使用した一つのケーキとしての完成度は素晴らしく高い。ビジュアルの良さ、味のサプライズ感、そしてお手頃価格! 全方面に隙が無さすぎる。自分用はもちろん、誰かへの贈り物としても最強の一角だと思う。
・BAKERS gonna BAKE
次も都内の変化球的な一品。丸の内に店舗を構える「BAKERS gonna BAKE」の、新商品「まるごと和栗のモンブランスコーンサンド(税込み690円)」だ。
スコーン屋さんなだけあって、やはりスコーンを用いた一品となっている。
上から順に渋皮栗1個、モンブランクリーム、スコーン、トフィーナッツ入りカスタードホイップ、そしてスコーンという構造なもよう。スコーンはカスタードプリン味。
モンブランというよりは、マロンフレーバーなスコーンという感じではある。しかしこれはこれでアリだ! サクサクで香ばしいスコーンと栗の相性は悪くない。そんなに甘くないのも食べやすい。
・モンテブランコ
大阪からは、「モンテブランコ」の「栗モンブラン(税込み681円)」。
わざわざ「栗」とついているのは、他にも「かぼちゃ」や「抹茶」など、バリエーションが豊富だから。そちらも気になったが、今回は栗を食べてみた。
ビジュアルも構造も、ぶっちゃけ普通のモンブラン。上に乗っている渋皮栗もカットされたものだが……
漂う栗の香りが一番パワフルだったのは、実はこいつ。そして食べた後の「栗を食べた」という感覚が2番目に強かったのもこいつ。まずモンブランクリームが特徴的なのだ。
まるで「濾(こ)された栗」的なリアルな舌触りと栗の風味がする。「栗味のクリーム」ではなく「クリーム状の栗」みたいな。ガチにビジュアルからは分からない実力を秘めている。
甘さは控えめで、口当たりはどこまでも軽く、スルッと食べられる。固形でそのまま入っている栗の量は少なく、目に見える特徴は大人しめだが、値段に対するリアルなマロン感はNo.1だったと思う。これは良いモンブランだ。
・四万十ドラマ
そろそろ胃袋的に限界が近づいてきたので、最後にデカいのをいってみようと思う。会場内で販売されていたモンブランの中で、単体でのボリュームも値段もぶっちぎっていたのが、高知県の「四万十ドラマ」より「しまんとプルミエモンブラン」。
お値段は税込み5400円! 予算大丈夫だろうか。タイミングによっては待つこともあるようで、筆者は完成まで40分ほど待つ必要があった。そしてレジにて手渡されたのがこちら。
まさかファスナー付きの立派バッグが出て来るとは思ってなかった。お値段のうちのいくばくかはこのバッグ代な気がする。しかもこのバッグ、保冷バッグなのだ。こんな待遇のモンブランには生まれて初めて遭遇したぜ……!
そして中身がこちら。
またしてもバケツ的な容器に入ったパターンだ。しかも、重さは先に紹介した「眞津留」の「真心」よりもはるかに重い。とりあえず大きな栗が乗っており、まるでトリュフのごとく薄くスライスされた栗が散りばめられているのがわかる。
しかし容器が不透明なため、中がどうなっているのかわからない。ということで、ビジュアル的には微妙なことになってしまうが、中身を皿に出してみることに。その結果……
デカい栗が全部で5個!
上に乗っていたのが1個。そして中に4個隠されていたようだ。この栗の1つ1つがマジでデカくて立派。内容物のほとんどが固形の栗である。そして表面を覆っていたモンブランクリームも、かなり栗フレーバーが濃厚だ!
なんでもトータルで15個の栗を使用しているのだという。生クリームは少な目なうえに無糖で、とにかく栗を味わわせてくれる。固形の栗か、クリーム状の栗かみたいな。これはもはやモンブランの王。
値段も凄いが、これを食べておけば、とりあえず純粋に栗だけで勝負したモンブランの最高峰を垣間見ることができる気がする。分けるのが大変そうというか、分けると確実にビジュアルは損なわれると思うが、2人以上で食べた方が良いと思う。そう考えるとコスパは割といいかもしれない。
会場には他にも有名なシェフのマロンパイや、老舗のモンブラン、凄まじい行列ができている焼き栗の店など食べてみたい店ばかり。まさに「「栗」に溺れる」というキャッチコピーの通りだ。
たった7日間で終わってしまうのが惜しい。東京や神奈川に店舗がある場所はともかく、地方からの出店だと次はいつ出会えるかわからないというのもある。10月19日までなので、栗、あるいはモンブラン好きは伊勢丹新宿店にダッシュだ!