自社ブランド名のハッシュタグを無断で使われ商標権を侵害されたとして、京都市の企業がフリマアプリ「メルカリ」の出品者に表示の差し止めを求めた訴訟で、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)が商標権侵害を認めたことが分かった。
原告代理人によれば、ハッシュタグをめぐる商標権侵害の認定は異例だといい、「ブランド保護に資する判決だ」と意義を話す。
メルカリは取材に「出品した商品と関係のないタグ付けは、商品削除や利用制限の対象となる場合がある」と答える。
出品ページにハッシュタグ記載も…
判決は2021年9月27日付。判決文によれば、原告はアパレル商品などの製造・販売を手掛ける「Wisteria Kyoto」、被告はメルカリでハンドメイド商品を中心にこれまで1000件以上の販売をしている主婦だ。
原告企業は、この主婦が自社の巾着型バッグブランド「シャルマントサック」のハッシュタグを用いて、自作商品を販売していたことを問題視した。
「【ivory × black dot】巾着ショルダー」と題して5500円で販売したこの商品(ページは現在削除済み)は、商品説明欄で「ハンドメイド品です」と記載していたものの、「#シャルマントサック」「#シャルマントサック風」などのハッシュタグを添えていた。
タグの直下には「好きの方にも…」と書かれており、同ブランドのファンに訴求する狙いがあったとみられる。J-CASTニュースが調べたところ、この自作バッグと類似するドット柄のシャルマントサックの商品が見つかった。
原告側は、(1)当該ハッシュタグはシャルマントサックの顧客吸引力を利用して、需要者を商品ページに誘引するものといえる(2)需要者がシャルマントサックの商品と誤認するなどして、原告企業の顧客が奪われる結果になる(3)多数の商品を1年以上にわたって販売しており、業として(編注:反復継続して)これを行っている――などと主張し、商標権侵害を訴えた。
一方の被告側は(1)ハンドメイド品と明記しているため誤解は生じない(2)ハッシュタグをつけており商標と同一の表示はしていない(3)パートタイム従業員としての勤務または主婦業に従事しており、その余暇を利用して趣味であるバッグを製作し販売していたにすぎず、業として販売していたものではない――などと請求棄却を求めていた。
杉浦裁判長は、「被告サイトへ当該利用者を誘導し、当該サイトに掲載された商品等の販売を促進する目的で行われるものといえる」などと判断し、被告の主張を退けて表示の差し止めを命じた。