なるほど…テクノロジーが引き金になる恐怖症6つ

GIZMODO

つらい。

ネコ動画や派手なGIFは楽しくても、ネット漬けはメンタルヘルスにとって良いものではありません。私たちはソーシャルプラットフォーム上で過ごす時間のせいで不安と怒りに駆られ、メールの受信ボックスに圧倒され、そしてテック企業のヤバいニュースを見て憂鬱になることもあります。

そこでゲンナリして終わる人もいれば、そうでない人もいます。今の世の中に対する絶望が、日常生活に支障をきたすほど厄介な不安障害へと変わっていく人も増えています。

テクノロジー絡みの恐怖症には精神障害の診断と統計マニュアル(精神障害のプロが患者を診断する際に使われる中心的な参考図書)に掲載されるに至ってないもありますが、それを将来的に変えようと主張している心理学の専門家もいます。かなり前から存在していたものや比較的新しいものまで、テクノロジーがきっかけとなる恐怖症をまとめました。もしかすると、思い当たる症状があるかもしれません。

Nomophobia(携帯電話依存症)

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Photo: Paul Ellis (Getty Images)

英国の郵便局は2008年に、携帯電話によって利用者がどれほど不安になっているか把握するため、同地域の携帯電話ユーザー2163名の調査を外部のリサーチ会社に打診しました。その結果、「かなり不安」という回答を得たと知っても驚かないでしょう。回答者の半数以上、正確に言うとおよそ53%が携帯が圏外、電源切れあるいはほんの少しの間手元にないと、ある種の神経質なイライラを感じると報告したのです。

調査員たちはこういった人々の症状を“nomophobia”と呼ぶことにしました。文字どおり「no mobile phone phobia(携帯電話がないことへの恐怖症)」の略語で、長期にわたって携帯電話が利用できない状態への恐怖を抱くことを指します。

最初の調査以来、この恐怖症が慢性のうつ病、睡眠障害、そして自尊心の低さといった他の問題とどのように密接に関わっているかを詳しく述べた論文を世界中の研究者たちが発表してきました。

Scopophobia(視線恐怖症)

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Photo: Steve Parsons (Getty Images)

2018年、ある女性のデジタルプライバシーへの強迫観念が彼女の生活を悪循環に陥らせているという事例がインドの心理学ジャーナルに発表されました。54歳の患者はハッカーが人々の個人情報を盗んで売っていると報じる記事をいくつも読んだ後、「彼女の安全についての著しい不安と恐怖」を示して医者の元に現れたのです。

それ自体は理にかなった(そしてよくある)恐怖ですが、この女性の生活を破綻へと導いたものでもあります。彼女は受信ボックスを確認することを恐れるあまり重要なメールを見逃すようになり、銀行のネット決済を使うのを怖がるあまりオンラインでの請求書の支払いをやめてしまいました。

医者は彼女への診断を「インターネット恐怖症」と呼びつつ、「コンピュータセキュリティは真剣に受け止める必要がありますが、パソコンの忌避へと至るほど度が過ぎてしまう人もいます」と記しました。その名称は流行らず、デジタルプライバシー空間の研究者らは代わりに別の単語、他の誰かに見られることへの過度の恐怖を意味する “scopophobia” を用い始めました。

世界的なパンデミックのおかげで生活の大部分をオンラインで済ませることを強制されていて、あるプライバシーアナリストに言わせれば、デジタル上でほぼ絶えずに見られている状態です。それについて被害妄想を持たない人なんているでしょうか?

Radiophobia(放射線恐怖症)

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Photo: Darren McCollester (Getty Images)

親戚に1人はいる変わり者が5Gテクノロジーを癌や新型コロナと関連付けたデマを捲し立てるようになったかもしれませんが、電波と放射線についての事実無根の陰謀論ならすでに数十年前から全米に広まっています。この特定の恐怖のための単語“radiophobia”はまさにあらゆる形態でのradiation(放射線)への恐怖を指していて、最初に世間で広まったのは1900年代初頭、医者が患者にレントゲンを使い始めたほんの数年後のことでした。

その当時であれば、医者が運び込んできた機器に少し用心してしまうのもうなずけます。このテクノロジーの黎明期には、X線管の製造を担っていた工場労働者がひどい放射線熱傷を負うあまり、手を切断する必要があった事例が少なくとも1つはあったとか。最初期のX線装置を受けた患者の中には、良い経験とはならなかった人たちもいたようです。

X線への懸念は、連邦政府機関と医学界の権威たちが現代の機器への誤解を解く研究を発表し続けているにもかかわらず、どういうわけか今の時代まで根強く残っています。このテクノロジーが初めて試された世紀を経て、1903年に使用されていたものよりも安全性が格段に高く、患者の被ばく線量が比較的低い機器が開発されてきました。

Amaxophobia(乗り物恐怖症)とAviophobia(飛行機恐怖症)

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Photo: John Moore (Getty Images)

運転することへの恐怖と空を飛ぶことへの恐怖ですね。

この2つの恐怖症は、今回取り上げた恐怖症の中でも最も一般的です。今年の初めに発表された研究では飛行機の乗客の33%~40%が離陸時に何らかの不安を感じ、その一部(2.5%~5%)が本格的な飛行機恐怖症に分類されるほどの不安を感じていたと判明しています。

乗り物恐怖症についての統計は入手しづらいのですが、研究者らはこの恐怖症が自動車事故から生還した後に感じる心的外傷後ストレス障害(PTSD)と密接につながっていると突き止めました。正直なところ、事故を経験した人が運転したがらなくなっても責められないですよね…。

交通事故は関係なくとも、ドライバーがパニックに陥るような無数の悪夢のシナリオをTesla(テスラ)のような企業はもたらしてくれました。運転席が無人であるべきではなかった自動運転の車や、ドライバーが中にいる状態で発火するバッテリーの問題、こんなお騒がせモノだっていますからね。

Phobophobia(恐怖症に対する恐怖)

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Photo: Sean Gallup (Getty Images)

こちらは、すでに抱えている恐怖症に加えてさらなる恐怖症を発症するのでは?という恐怖症。このリストを書くために恐怖症系サイトを熟読した後は、まさにそんな気持ちになります。さてと、スマホとノートPCを燃やしにいくんでログオフしますか…。

Source: The Atlantic (1, 2, 3), The New Yorker, Slate, USA Today, MEL Magazine, ScienceDirect, NCBI(1, 2, 3, 4, 5, 6), TEM JOURNAL, Pew Research Center, Eric Margolis, WARC, RAPPLER, Oxford Journals, NY Times, Stratos Jet, Forbes, CNBC,

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