アメリカ食品医薬局(FDA)が2021年9月21日に、前立腺のスキャン画像からがんを特定するよう設計されたAIの「Paige Prostate」を承認し、専門医を補助するソフトウェアとして市販することを許可したと発表しました。これにより、男性のがんとしては患者数・死亡率ともに上位の前立腺がんの検査件数や検査精度が大きく向上すると期待されています。
FDA Authorizes Software that Can Help Identify Prostate Cancer | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-authorizes-software-can-help-identify-prostate-cancer
Paige Receives First Ever FDA Approval for AI Product in Digital Pathology | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20210922005369/en/Paige-Receives-First-Ever-FDA-Approval-for-AI-Product-in-Digital-Pathology
男性の生殖器である前立腺に発生する前立腺がんは、非黒色腫皮膚がんを除けばアメリカの男性に最も多いがんで、がんにより死亡する男性の死因としても上位に位置しています。
2017年に設立されたAI企業のPaigeは9月21日に、同社の前立腺がん検出用AIである「Paige Prostate」が、革新的な新医療技術のための「De Novo 申請」によるFDAの承認を得たと報告しました。発表によると、生検された前立腺組織のスライド画像を分析してがんを特定するAIとしてFDAの承認を受けたのは、Paige Prostateが初めてとのことです。
承認に際して、FDAは専門医16人が参加した臨床試験の結果を評価しました。この試験には悪性腫瘍(がん)のある前立腺生検のスライド画像171枚と良性のスライド画像356枚を含む合計527枚のスライドが使用され、各専門医はそれぞれのスライドを「Paige Prostateのアシスト有り」と「アシストなし」で分析しました。
テストの結果、Paige Prostateはがんの検出率を89.5%から96.8%へと約7パーセントポイント向上させた一方、良性腫瘍の検出率には影響を与えなかったことが分かりました。また、Paige Prostateの支援を受けた医師は、偽陰性の診断が70%、偽陽性の診断が24%減少していたほか、こうした効果は専門医の経験や検査がリモートか否かなどに左右されなかったとのことです。
FDAの医療機器・放射線保健センターで体外診断および放射線保健部門のディレクターを務めるティム・ステンツェル医学博士は、Paige Prostateについて「病理医は、前立腺がんなどの病気が疑われる組織の生検を毎日のように診査しています。AIが生検のスキャン画像上でがんが疑わしい領域を特定するのは、病理医が適切な治療につながる診断を行う助けとなるでしょう」とコメントしました。
また、Paigeの共同創業者で最高医学責任者のデビッド・クリムストラ医学博士は、「Paige ProstateがFDAに承認されたことは、病理学におけるコンピューター支援診断の新時代が始まったことを意味しています」と話しています。
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