立花氏が100万円問題で維新批判 – ABEMA TIMES

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 「普通の民間企業じゃあり得ないんじゃないか」。15日、そう問題提起したのは、先月の衆院選で初当選した小野泰輔衆院議員だ。衆院選の投開票日だった10月31日の1日が“任期”と見なされたことで、文書の発送費や交通費などの名目で支給される「文書通信交通滞在費」(月額100万円)が、当選した97人の新人議員全員に満額支給されたというのだ。

 小野議員も所属する日本維新の会では、支給された10月分を「特別党費」として集金、全額を寄付する方針を固めている。これに対し、「寄付するという発想だけは本当にやめて欲しい」と指摘するのが、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の立花孝志党首だ。

【映像】立花党首による政治家の“懐事情”生解説

■「ぶっちゃけ、100万円を意識しているような余裕はない」

 自身もかつて国会議員だった立場から、まず立花党首は政治家の“懐事情”について次のように説明する。

 「国会議員は、4種類のお金がもらえる。まず、いわゆる“お給料”である歳費で、年に2100万円くらい。これは個人のお金なので家族の生活費になるし、税金で700万円くらい持っていかれる。次に会派の代表の口座に入る立法事務費が月65万円、そして文書交通費の月100万円だ。これらは政治家として仕事をするためのお金で、支援者に活動報告を送ろうとすれば、1通100円なら1万人に送ったら100万円はすぐに消えてしまう。これらを全て足すと、年間に290億円くらいがかかっている。

 そして、最もでかいのが政党助成金で、90年代に導入されたもので、党によって実際の運用は異なるが、国民1人あたり250円くらい、議員1人につき400万円〜500万円くらいが各党に配分されている。これだけで年間317億円だが、1月1日に所属していれば、途中で止めようがクビになろうが死のうが1年分がもらえる。ここはメディアの切り込みも少なすぎて、おそらく新人議員も知らない。だから歳費と文書交通費しか見えていないんだと思う。

 うちの党の場合、NHKとの裁判に負けた人にお金を出したり、選挙に莫大なお金を使ったりしているので特殊だが、自民党の議員さんに聞けば、やっぱり秘書さんなどの人件費が莫大だ。よく“領収書をつけろ”と言われるが、事務手続きも煩雑だ。選挙区のこともあるので、土日も関係なく働かなければいけない。比例区の人ならだいたい3人でも回せるだろうが、小選挙区の人なら10人くらい雇わなければ絶対に無理だし、参議院なんかはエリアがでかいので、下手したら20人いる議員さんもいると思う。

 その意味でも、文書交通費のことを意識している人というのはあまりいないと思うし、今回の件について吉村さん(洋文・大阪府知事)も国会議員だった6年前に1日だけもらっていたが、気づかなかったと本人がおっしゃっているのも、やはり国会議員は給料を気にするほど暇ではないということだと思う。あくまでももらったお金を国民の皆さんにどう返していくかを考えるのが議員の仕事で、収支の部分は専門の人に任せているというのが実態だ。

 ただ、僕が2年前に参院議員を失職したときも1カ月分がもらえた。しかも繰り上げ当選した後任の浜田(聡・参院議員)も100万円もらえたと言うので、えっ?と思って、とりあえず党に寄付してくれという話をした。議席を譲っただけなのに200万円ももらえるというのはおかしい制度だと思っているし、法改正が嫌だというつもりはない。しかし国会議員の仕事を真面目にやっていたら、ぶっちゃけ100万円を意識しているような余裕はない。もっと大枠を考えてほしい」と訴えた。

■「小手先ではなく、政党助成金も込みで改革してほしい」

 その上で立花党首は、維新の“寄付”案について「平気で寄付するとか、法律を知っているのかと思う」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表は「1日だけ、あるいは1日も働かずに1カ月分が満額もらえるというのは、国民の感覚からしたらどう考えてもおかしい」とし、日割り計算して支給できるよう、速やかな法改正を訴えていることについても疑問を呈した。

 「どこかで線を引く、あるいはルールが現実に合っていないのなら改正するのも分からなくはない。しかし、少なくとも寄付するという発想だけは本当にやめて欲しい。もしコロナや地震の被害で困っている人に寄付するとなれば、“寄付した人は素晴らしい”“すごい、いい人!”となってしまう。しかし我々には、有権者にお金を配ってはいけないという法律がある。吉村府知事が大阪以外の人に配るのはOKだろうが、維新の会は全国政党だ。総務省にも確認したが、僕の調べた範囲では公職選挙法199条の3に違反することになってしまう。寄付していいのなら、僕たちだってやりますよ?。そんなことで政治や政党を選ぶというのはやめていただきたい。

 そして今回はメディアが騒いでいるから制度が変わる可能性もあるが、自民党としては収まりがつかないほうがいいと思っているのではないか。なぜなら、自民党の議員は一人頭の政党助成金が少ない一方、支援者の数は最も多いから、絶対に欲しい。先日、元衆院議員の豊田真由子さんがYouTubeで“本当に赤字だった”とおっしゃっていた。自民党の議員からしたら、この100万円なんか“焼け石に水”状態だろうし、減らしすぎるとお金を持っている人しか国会議員になれない、みたいなことにもなりかねない。その意味では、支給基準というよりも、そもそも100万円のままでいいのか、あるいは年間で支給する、といった議論をした方がいいと思う。

 そして、嫌われてもいいのであえて言うが、国会議員には内緒で使いたいお金がある。僕は官房機密費のように裁量を与えるべきだと思っている。これだけオープンにしている僕ですら、相手の関係で出せないお金はあるし、他の議員に聞いてもそれは同じだ。国民の代表として正当な選挙で選ばれている国会議員なので、文書交通費と立法事務費の合計165万円くらいの支出に関しては内緒で使わせてくれと。その代わり、仕事をしているかどうかはしっかり見ていただいて選挙で判断していただく。改革するなら、100万円の日割りとか、そういう小手先のことではなくて、やっぱり政党助成金も込みで改革してほしい。これでまた支持率がメッチャ下がる。別に僕は支持を気にしていないが(笑)」。(『ABEMA Prime』より)

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