すっかり秋めいてきた。そろそろ鍋が恋しくなりつつある。そんな時期にひんやりな食べものの話題で申し訳ない。だが、気がついてしまったのだ。
ところてんに酢醤油と黒みつ、両方かけてもうまい。この思いを冬が来る前に伝えさせてほしい。
選ばなくてもいいのでは?
ところてん。存在は広く知られているが、食べる機会はそう多くない食べ物のひとつかもしれない。周りに聞いてみるたび、「生まれてから今までの間に、片手で数られるくらいしか食べたことないよ」って言われがちだ。
そんなところてんだが、魅力のひとつとして、かけたタレ次第で異なる味の食べ物になることが挙げられる。変貌自在なのだ。地域によって食べ方が違っていて、ものすごくざっくり言うと、酢醤油で食べられている地域と、黒みつで食べられている地域がそれぞれ多い。
でも待てよ。ふと思ったのだが、酢醤油or黒みつ、どちらかひとつを選ぶ必要ってほんとうにあるんだろうか。
試すのだ
そもそもところてんを三杯酢(酢・醤油・砂糖)で食べる地域があるらしいと聞く。となれば、おいしさは約束されたも同然ではないか。
まず、何が良いってむせない。酢醤油って時折むせることがあると思うのだが、その心配がなくなるのだ。不安がゼロ。なのにちゃんとすっぱさも感じられる。味に深みがうまれて、満足感もぐんとあがった。ふたつの味のいいとこどりをしている気分だ。
なんでもっと早くやらなかったんだろう。
どうしよう。さらにおいしくなってしまった。辛子のツンとした辛さが、黒みつ効果でやわらかく感じられるのだ。
ふたつの派閥がお互いを認め合っている。平和の味がする。
もしかしたら、きのことたけのこを同時に口に放り込んだってよいのかもしれないし、パンに炊き込みご飯を挟んだらおいしいのかもしれない。そんな期待すら膨らんできてしまった。
ちなみにコーヒーと紅茶を混ぜた飲み物は「鴛鴦茶(えんおうちゃ)」といって香港にあるらしい。混ぜていいのだ。
……というわけで、やってみたくなった人はぜひやってみてほしい。