サメというと人類を襲うイメージがつきものですが、オーストラリアでは実際にサメが人間を襲う事例が増えており、時には死者が出てしまうことさえあります。サメによる主な死因が主な死因が下肢からの出血によるものであることに目をつけたオーストラリア国立大学医学部のニコラス・テイラー副学部長が、サメに下半身を噛まれたときの最適な応急手当方法を研究し、発表しました。
Stopping Haemorrhage by Application of Rope tourniquet or inguinal Compression (SHARC study) – Taylor – 2021 – Emergency Medicine Australasia – Wiley Online Library
https://doi.org/10.1111/1742-6723.13736
Doctor’s ‘brilliant’ new first aid technique can stem blood loss after shark attack | Medical research | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2021/sep/24/doctors-brilliant-new-first-aid-technique-can-stem-blood-loss-after-shark-attack
人間の太ももの付け根にある鼠蹊(そけい)部から膝上部にかけては、体表に位置する中で2番目に太い動脈「大腿(だいたい)動脈」が走行しています。テイラー氏はサメに噛まれたときの対応方法として、この大腿動脈を上から拳で強く押さえることがポイントだと指摘。
テイラー氏が推奨する応急手当方法は「対象者の局部と尻の外側の中心点を探り、拳を握って上から強く押さえる」というもの。テイラー氏によると、この方法は失血と血液の逆流を効果的に防ぐとのことで、この方法は研究によって一般的に行われているロープによる止血方法に比べて50%以上効果的なことが分かっているそうです。
テイラー氏は「サメの噛み傷はノコギリで切られたようなものになるため、傷自体を抑えることは効果的ではありません。また、すべてのサーファーが止血帯を持っているわけでもありません」と述べ、道具のいらないこの方法の利点を説明しています。
テイラー氏はこの止血方法を分かりやすいデザインで看板にしており、広く一般に使われることを願っていますが、そのためにはオーストラリア蘇生法協議会の承認を受ける必要があるとのことです。
この記事のタイトルとURLをコピーする
・関連記事
実際にホホジロザメに噛ませて性能を確認した「サメの噛みつきに強い」ウェットスーツ向け新素材が登場 – GIGAZINE
ホオジロザメがかみつく様子を超接近撮影した貴重なムービー「REMUS SharkCam: The hunter and the hunted」 – GIGAZINE
体を食い破られるも傷がそのままふさがって生存している異形の魚が釣り上げられる – GIGAZINE
1900万年前にサメの大量絶滅「シャークポカリプス」が起こっていた可能性がある – GIGAZINE
「ゾウの8倍重い」「かみつく力がティラノサウルスの10倍」などスケールがデカすぎる古代の超巨大サメ「メガロドン」にまつわる7つの伝説 – GIGAZINE
・関連コンテンツ