Microsoftは9月22日(現地時間)にオンラインで記者会見を行ない、同社がWindows 11のリリースに合わせて提供を開始するSurfaceブランドのPCや周辺機器などを発表した。その中でイベントの最後に発表された「目玉製品」となったのが同社としては新シリーズとなる「Surface Laptop Studio」だ。
従来大型の27型ディスプレイで提供されてきた「Surface Studio」と、13.5型/15型のディスプレイ分離型ノートPCとして提供されてきた「Surface Book 3」の両方の性格を持ったような製品で、14.4型で120Hz駆動が可能な2,400×1,600ドットという3:2比のディスプレイを備えており、「Dynamic Woven Hinge」と呼ばれるディスプレイの中央部を起点としてディスプレイが360度回転するヒンジを利用して、ラップトップモード、ステージモード、スタジオモードの3つのモードに変形して利用できるのが特徴だ。
従来のSurface Book 3シリーズと同じように、強力なCPU、GPUを搭載していることも特徴で、上位モデルは第11世代Core H35(Tiger Lake-H35)のCore i7-11370HとGeForce RTX 3050 Ti(4GB GDDR6)を搭載しており、ハイエンドユーザーやクリエイターなどにもアピールするハイスペックになっている。
ディスプレイの横中央に配置されるDynamic Woven Hingeにより3つのモードに変形して利用できるSurface Laptop Studio
Surface Laptop Studioは、Microsoftの2-in-1型Surfaceシリーズの新しい最上位モデルに位置づけられる製品となる。従来、Microsoftは2in1型Surfaceシリーズの最上位モデルにはSurface Bookシリーズ(Surface Book/Surface Book 2/Surface Book 3)を位置づけてきたが、今回発表されたSurface Laptop Studioはそれを置き換える製品となる。さらに、27型のタッチディスプレイを搭載したクリエイター向けPCと位置づけられてきたSurface Studioの要素も取り込まれており、製品名にStudioが追加されているのはそのためだ。
最大の特徴は、14.4型2,400×1,600ドット/120Hzという3:2アスペクト比の高精細ディスプレイの背面にあるヒンジだ。ディスプレイの横の中心線を起点にして360度ディスプレイが回転する「Dynamic Woven Hinge」と呼ばれるヒンジを採用していることだ。こうしたヒンジは、過去にも、VAIO株式会社の最初の「VAIO Z」(VJZ13シリーズ)やAcerの「Concept D7」などで採用されてきたヒンジのデザインに似通っており、クラムシェルモードから他のモードへの変換への時間が短くて済むのが特徴と言える。
Microsoftによれば、このDynamic Woven HingeによりSurface Laptop Studioは3つのモードに変形して利用することができる。
第11世代Core H35とGeForce RTX 3050 Tiという強力なスペックを採用、Thunderbolt 4に対応
Surface Laptop Studioは、スペック面でもSurfaceシリーズの最高峰と言って良い。CPUはIntelの第11世代Core H35(Tiger Lake-H35)で、従来のSurface Book 3で採用されていたTDP 15WのいわゆるUシリーズのCoreプロセッサ(Surface Book 3ではIce Lakeの第10世代Coreプロセッサが採用されていた)に比べて大きな性能向上になる。TDPの枠として倍以上になっているほか、CPUがTiger Lake世代に進化していることもあり、大きな性能向上が実現される。CPUはCore i5-11300HないしはCore i7-11370Hが搭載される。
GPUはCore i5-11300Hは内蔵GPUのみとなるが、Core i7-11370H搭載モデルは一般消費者向けモデルがGeForce RTX 3050 Ti-4GB GDDR6、法人向けモデルがRTX A2000-4GB GDDR6となる。
GeForce RTX 3050 Tiは単体GPUとしてはエントリー向けと位置づけられているが、CUDAコア数が2,560基、Tensorコア数が80基、RTコア数が20基、ブーストクロックが1,035~1,695MHz(電力による)、消費電力が35~80W、メモリがGDDR6 4GB、バス幅が128bitというスペックになっており、クリエイターが利用するGPUのスペックとしては必要十分な仕様になっている。
RTX A2000は、そのクリエイターバージョン(従来で言うところのQuadro版、NVIDIAは既にQuadroのブランドをプロ向けグラフィックスに使わなくなっている)となっており、CUDAコアなどのスペックは似通ったスペックになっている。
なお、メインメモリは16GBないしは32GB(モデルにより異なる)、ストレージは256GB、512GB、1TB、2TBでこちらもモデルにより異なっている。
I/Oポートはシンプルな構成になっており、Surface独自端子(ドッキングステーションやACアダプタを接続するための端子)となるSurface Connectとヘッドフォン端子以外は、Thunderbolt 4に対応したUSB Type-Cポートが2ポートあるだけと、最近のハイエンドPCで流行のデザインになっている。
無線周りはWi-Fi 6とBluetooth 5.1に対応しており、5GやLTEなどのセルラー回線には未対応。タッチパッドは高精度タッチパッドになっているほか、ハプティックの機能が統合されており、Windows 11のジェスチャー機能に最適化されている。
本体のサイズは322.58×228.6×17.78mm(幅×奥行き×高さ)となっており、重量はCore i5モデルが約1.75kg、Core i7モデルが約1.82kgとなっている。Surface Book 3の13.5型の1.543kg~1.642kgに比較するとやや重くなっており、逆に15型の1.905kgと比較するとやや軽くなっている。
13.5型に比べるとやや重くなっているのは、バッテリ駆動時間が延びている(Surface Book 3の13.5型は最大15.5時間だったのが、i7+dGPUモデルでは最大18時間となっている)ことからバッテリ容量が大きくなっている可能性があると考えることができる。なお、本体色はプラチナのみで、OSは一般消費者向けモデルがWindows 11 Home、法人向けがWindows 11 ProとWindows 10 Proとなる。
表1 Surface Laptop Studioの主な仕様 | |
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CPU | 第11世代Core H35(Core i5-11300H/Core i7-11370H) |
GPU | Iris Xe(11300Hモデル)/GeForce RTX 3050 Ti-4GB GDDR6(11370Hモデル)/RTX A2000-4GB GDDR6(11370Hコマーシャルモデル) |
メモリ | 16GB/32GB(LPDDR4x) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB |
ディスプレイ | 14.4型PixelSense Flow/120Hz/2,400×1,600ドット(201ppi)/1,500:1 |
タッチ/ペン | 10点マルチタッチ/Surface Slim Pen 2 |
カメラ(Windows Hello対応有無) | 1080p前面カメラ(Hello対応/Windows enhanced hardware security対応) |
Thunderbolt 4 | 2 |
オーディオ端子 | 3.5mmヘッドフォン |
マイク | デュアルマイク(遠方界対応) |
その他ポート | Surface Connect(1) |
Wi-Fi | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
センサー | 加速度計/ジャイロスコープ/磁力計/環境光センサー |
TPM | fTPM(一般消費者向け)/ハードウェアTPM(法人向け) |
キーボード | メカニカルキー(バックライト搭載) |
ポインティングデバイス | 高精細ハプティックタッチパッド |
ACアダプタ | 65W(5W USB-A、Core i5モデル)/102W(7W USB-A、Core i7-dGPUモデル) |
バッテリ(サイズ/駆動時間) | 非公開/最大19時間(i5)、最大18時間(i7) |
カラー | プラチナ |
サイズ(横×縦×高さ) | 322.58×228.6×17.78mm |
重量 | 約1.74kg(i5)/1.82kg(i7) |
OS | Windows 11 Home/Windows 11 Pro/Windows 10 Pro |
Microsoftによれば、Surface Laptop Studioは本日より予約が開始され、グローバルに販売開始は10月5日(Windows 11のリリース予定日)となる。米国での価格は1,599.99ドルが想定されている。
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