太陽系の未知の惑星「プラネット・ナイン」が存在する範囲を天文学者が絞り込む

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by Kevin Gill

プラネット・ナインとは、太陽系の外側に存在するのではないかと提唱されている「太陽系9番目の惑星」のことですが、これまでプラネット・ナインが実際に観測されたことはありません。新たに、カリフォルニア工科大学の惑星科学者であるマイケル・ブラウン氏とコンスタンティン・バティギン氏が、「プラネット・ナインが存在する可能性が高い範囲」を絞り込んだと発表しました。

[2108.09868] The orbit of Planet Nine
https://arxiv.org/abs/2108.09868

The Search for Planet Nine: The orbit of Planet Nine
https://findplanetnine.blogspot.com/2021/08/the-orbit-of-planet-nine.html

If Planet 9 is out There, Here’s Where to Look – Universe Today
https://www.universetoday.com/152351/if-planet-9-is-out-there-heres-where-to-look/

EarthSky | Planet Nine: Scientists map its likely location
https://earthsky.org/space/planet-nine-orbit-map/

ブラウン氏とバティギン氏の研究チームは、2016年に「プラネット・ナインが存在する証拠」を発表しました。この際、研究チームは直接プラネット・ナインを観察したのではなく、「プラネット・ナインと思われる天体の重力が別の天体に及ぼす影響」から、プラネット・ナインの存在を推測したとのこと。

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別の天体に及ぼす重力の影響から存在が予測された天体には、太陽系の第8番惑星である海王星があります。海王星の存在を予測したユルバン・ルヴェリエジョン・クーチ・アダムズは、太陽系の第7惑星である天王星の観測された公転運動と予想される運動の矛盾から、「天王星はさらに外側の惑星(海王星)による影響を受けている」という結論を導きました。

ブラウン氏とバティギン氏の研究チームはこれと同様に、海王星軌道より外側にある天体のうちエッジワース・カイパーベルト天体の軌道が不自然に偏っていることを発見。これらの天体が、太陽系の第9惑星「プラネット・ナイン」の重力の影響を受けている可能性があると主張しています。

記事作成時点では、プラネット・ナインの存在はあくまで仮説に過ぎませんが、研究チームは新たに「プラネット・ナインが存在する可能性が高い範囲」を絞り込んだと発表しました。研究チームは既知のエッジワース・カイパーベルト天体を洗い出し、海王星による重力の影響や観測バイアスを除外した上で、プラネット・ナインがエッジワース・カイパーベルト天体に及ぼす影響を分析したとのこと。

以下が、研究チームが絞り込んだ「プラネット・ナインが存在する可能性が高い範囲」を示す図です。上の図は、中心を横切る線が太陽が天球を通る黄道であり、明るく色づいている部分がプラネット・ナインの存在する可能性が高い範囲を示しています。下の図は、上の図に対応する形で地球からの距離(天文単位/AU)を示したもので、いずれの図も濃い赤色に近づくほどプラネット・ナインが存在する可能性が高いとのこと。


研究チームは今回の分析から、プラネット・ナインの質量が地球約6.2個分であり、太陽から300~380AU(1AUは地球から太陽の平均距離)離れた軌道を持っていると推定しています。太陽系の第8惑星である海王星は太陽からの平均距離が約30AUであるため、プラネット・ナインはその10倍以上遠い位置を回っていることになります。また、プラネット・ナインは太陽系の平面から約16度傾いた軌道を持っており、明るさは冥王星の15等級よりさらに暗い22等級だとみられています。

依然として、エッジワース・カイパーベルト天体の軌道の不自然な偏りがプラネット・ナインの重力によって引き起こされたのではなく、偶然そうなっただけという可能性も残されています。しかし、ブラウン氏によるとその可能性は0.4%しかないとのことです。

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2021年09月04日 18時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1h_ik

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