メモ
2021年8月27日、カリフォルニア州の小学校で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンを接種していない教師が、たびたびマスクを外しながら2日間にわたり授業をした結果、クラスの生徒24人中12人がSARS-CoV-2に感染する事例が発生したとアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表しました。CDCは、「集団感染はワクチン未接種の教師に端を発したものだ」と断定し、年齢要件のため予防接種ができない子どもと接触する教育者のワクチン接種の重要性を呼びかけています。
Outbreak Associated with SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) Variant in an Elementary School — Marin County, California, May–June 2021 | MMWR
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7035e2.htm
2021年5月25日にカリフォルニア州のマリン郡公衆衛生局(MCPH)が、「管内の小学校に勤めるワクチン未接種の教師が、SARS-CoV-2の検査で陽性だったことが5月23日に判明した」とCDCに報告しました。この教師は、5月19日に症状が出たものの、21日に検査を受けるまでの間勤務を続けていたとのこと。また、校内ではマスクをするよう定められていたにもかかわらず、教師は授業で音読をする際にマスクを着用していませんでした。その結果、この小学校では23日以降、生徒・他の職員・生徒の保護者や兄弟姉妹の間でCOVID-19の症状が相次いで報告されています。
事態を把握するため、教師が担任していたクラスの生徒24人のうち、年齢要件のためワクチン接種の資格がない22人の生徒にSARS-CoV-2の検査を実施したところ、12人が陽性でした。特に、教壇に近い生徒ほど高い確率で感染しており、前から2列の席での発病率は80%(10人中8人)に及んだとのこと。一方、教室の後ろの3列の席では14人中4人が陽性で、発病率は28%でした。
また、同校ではさらに別の学年の生徒18人のうち6人で陽性反応が報告されたほか、生徒の両親や兄弟姉妹ら8人の症例も追加で確認されています。その結果、最終的な感染者数は前述の教師を含めて合計27人となりました。なお、27人のうちCOVID-19の症状を訴えているのは22人とのこと。また、ゲノム解析が行われた18検体すべてが、SARS-CoV-2のデルタ変異株だと同定されています。
なお、この小学校には日本では保育園児に相当するプレキンダーガーデンから8年生まで合計205人の生徒と24人の職員が在籍しており、各学年は20~25人の生徒がいる1つのクラスで構成されています。
学校は、前述のマスク着用徹底に関する指示のほか、全ての机を6フィート(約1.8メートル)間隔で配置したり、全教室に可搬式の微粒子フィルターを設置したり、教室のドアや窓を開けておいたりといった対策を講じていました。また、最初にSARS-CoV-2検査で陽性反応を示した者を含む教師2人以外の職員全員が、ワクチンの接種を受けていたとのことです。
調査結果を分析したCDCは、「本件におけるCOVID-19の流行は、ワクチンを接種していない教師に端を発しています。そのため、予防接種の対象とならない子どもと屋内で密接に接触する学校職員に、ワクチンを接種することの重要性が浮き彫りになりました。また、デルタ変異株は感染力が高いことや、ワクチン接種を受けていない幼い児童の間で急速に感染拡大するおそれがあることも確かめられました」と指摘しました。
その上でCDCは、「ワクチン接種を受けていないことが、学校内でのSARS-CoV-2の集団感染、特に新しい変異株流行のリスクを高める要因となっています。しかし、学校内で複数の予防策を実施することで、このリスクを軽減することができます」と述べて、ワクチン接種やそのほかの感染予防の重要性を強調しました。
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