東京五輪の野球1次リーグ初戦・ドミニカ共和国戦で逆転サヨナラ勝ちを飾った侍ジャパンだったが、反省点も多い試合だった。
先発の山本由伸(オリックス)が6回無失点の快投で継投策に入ったが、7回から救援登板した青柳晃洋(阪神)が集中打を浴びて一時逆転を許す。1点差を追いかける8回1死二塁では吉田正尚(オリックス)の左前打で二塁走者・山田哲人(ヤクルト)は本塁生還を狙ったが憤死した。三塁コーチャーの清水雅治コーチは腕を回したが、左翼の浅い守備位置を考えるとリスクが高い判断だった。
「柳田が6番はもったいない」の声も
この試合で打線のキーマンになったのが、「6番・中堅」でスタメン出場した柳田悠岐(ソフトバンク)だった。6回まで無得点と沈黙する中、7回無死一塁で左翼フェンス直撃の二塁打を放って好機を広げると、9回も1死から一塁内野安打で出塁。相手投手のベースカバーが遅れた側面もあるが全力疾走でチャンスメークし、サヨナラ勝ちの呼び水になった。
スタメンが発表された際は、ネット上では「柳田が6番はもったいない」、「柳田6番??出塁率が高いし相手に与える恐怖を考えると2、3、4番の方がいいのでは」などのコメントが見られたが、結果的には6番・柳田の活躍と下位打線の働きが勝利のポイントになった。
柳田はミート能力の高さと規格外のパワーを兼ね備え、海外のメディアからは「日本代表で一番怖い打者」と評される。
15年には打率.363、34本塁打、99打点、32盗塁でトリプルスリーを達成。昨季は119試合出場で打率.342、29本塁打、86打点。146安打を放ち、最多安打のタイトルと自身2度目のMVPに輝いた。
国際試合でもその実力は証明されている。18年にMLB選抜と対戦した日米野球では「5番・中堅」で第1戦目の9回にバックスクリーンへサヨナラ逆転2ランを叩き込むと、「4番・指名打者」で先発出場した第2戦目も2試合連続アーチを放つなど4打数4安打4打点と大暴れした。