「接種義務化」が批判されない謎 – 自由人

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■「ワクチン義務化」と「ワクチン禁止令」

 世界中で「ワクチン接種は個人の自由」と謳われている最中、フランスでは、ワクチン接種を義務化するような法案が可決された。この決定を受けて、フランス国民は「国家による著しい自由の侵害だ」として、大きな騒ぎとなり大々的な反対デモ等が行われている。

 一例を挙げると、この法案では、医療関係者がワクチン接種を拒否した場合、病院への出勤を禁じて解雇することが可能になるらしい。

 「ワクチン接種は個人の自由」と言っておきながら、事実上、国家によるワクチンの強制とも受け取れるような状況となっている。おまけに、これまで無料だったPCR検査も有料化されるらしく、まるでどこかの独裁国家のような様相を呈しているが、ある意味、隠れ社会主義国家のフランスらしい法案だとも言える。

 一方で、日本では、大手住宅メーカー タマホームの社長が社内で“ワクチン禁止令”なるものを出していたことを文春が報道し、物議を醸している。

 タマホームの玉木社長は「世の中がなんと言おうとも、ワクチン接種に反対です!」と述べ、「ワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機」と述べていたと報道されている。

 文春の記事は読んでみたが、小さな記事だったので具体的な真偽のほどは分からないものの、おそらく、ワクチン接種は危険だという義憤に駆られた行動だったのだろうと思う。危険なワクチンを全社員が接種してしまうと、多くの社員が健康を害して、将来的に会社が潰れかねないという危惧もあったのかもしれない。

 しかし、全社員に強制するようなことをしてしまったので週刊誌の格好のネタになってしまったというところだろうか。

■「ワクチン接種の強制」vs「ワクチン非接種の強制」

 「ワクチン接種の強制」と「ワクチン非接種の強制」、どちらも強制であることに変わりないが、フランスのマクロン大統領と、タマホームの玉木社長は、全く真逆のことを言っていることになる。

 マクロン大統領「ワクチンを接種しなければ自由を与えない

 玉木社長「ワクチンを接種すれば自由を与えない

 一見すると同じように見えるが、「新しい生活様式に変えよ」と言うマクロンは「革新派」であり、「これまでの生活様式を変えるな」と言う玉木社長は「保守派」だと言えるだろうか。

 しかし、なぜか世間から激しくバッシングされているのは、玉木社長のみとなっているようだ。

 政府もマスコミも一般人も「ワクチン接種は個人の自由」と宣うのであれば、マクロン大統領も玉木社長も同じ扱いになって然るべきはずだが、なぜかマクロン大統領に対しては素通り状態。これでは、明らかに言行不一致であり、中立性も公平性も全く無視されていると言える。

 「ワクチン非接種の強制」がおかしいと批判するのであれば、「ワクチン接種の強制」もおかしいと批判しなければ筋が通らない。

 こう言っても「ワクチン接種は絶対的な善」と思い込んでいる人には話が通じないかもしれないが、「ワクチン接種は個人の自由」であるなら、「ワクチン接種は絶対的な善」にはならないのである。

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