【保存版】日本初の中華ベーカリー「劉記 中華面食(りゅうきちゅうかめんしょく)」のパンガイド

ロケットニュース24

パンは日本の国民食といっても過言ではないだろう。どの街にもベーカリーはあるし、コンビニにもスーパーにもたくさん商品が並んでいる。そんなパン業界に新しい風が吹こうとしている。

東京・新小岩に日本初の中国ベーカリーがオープンした。お店に行くとあまり馴染みのない商品がズラリと並んでいる。どれがどんな味だかわからないので、お店の人に詳しく中国パンについて教えてもらったぞ!

・初めて見る中国パン

お店は、JR新小岩駅から徒歩約10分のところにある「劉記 中華面食(りゅうきちゅうかめんしょく)」という。2022年5月にオープンし、地元の中国人を中心に口コミでその美味しさが話題になっているそうだ。


その噂を聞きつけて、私(佐藤)も6月某日にお店を訪ねたのだが……。初めて目にするようなパンばかり!


その姿形からなんとなく味の想像はつくんだけど、商品について詳しく知りたい。


お店の人にお話をお伺いしようにも、あとからあとからお客さんがひっきりなしに来る。ゆっくりお話しを聞ける状況になかったので、後日改めて商品について教えて頂くことになった。


・ご飯系、プレーン系、甘い系の3種

7月某日午後、改めて訪問するとちょうどお客さんのいない時間帯で、ゆっくりご説明頂けることになった。対応して頂いたのは王敬賢さん。商品すべての製造と販売に携わっている。

商品についての王さんの説明を紹介しつつ、私が実際に購入した商品についてお伝えしていこう。まず王さんによると、パンは「ご飯系」「プレーン系」「甘い系」の3つに分類されるという。その流れにそって、まずはご飯系からだ。


・ご飯系とプレーン系

まずはお店で人気の高いご飯系の「餡餅」(シャンピン)。日替わりで5種類を用意しているという。


小麦粉の皮で具材を包んで焼いたもので、わかりやすく言えば「お焼き」である。「牛肉と玉ねぎ」(税込275円)と「豚肉とエビとニラ」(税込220円)が良く売れるそうだ。


続いてのご飯系は蒸しパン。肉まんや豚まんもこの仲間に含まれる。



肉まんや豚まんはもちろん知っている。生地に具材を入れて蒸したものだけど、端っこの四角い「四方饅頭」(税込200円)はナニ? 購入したものを改めてよ~く見ると、豆腐やはんぺんみたい。でもこれも蒸しパンなんだよね。


中は何も入っていないプレーン系にも当てはまるものの1つ。汁物に浸して食べたり、練乳やはちみつをかけてスイーツとしたり、なにに合わせても美味しく食べられる万能パンだ。


ちなみに「牛肉まん」(税込350円)も「エビ入り豚まん」(税込350円)も中には具がしっかり入っている! 30秒レンチンすると生地がモッチリとして美味い!!



ラグビーボール型の「とうもろこし焼きパン」(税込220円)もプレーン系である。蒸した生地を焼き上げており、ほんのりととうもろこしの香りがする。


噛めば噛むほどとうもろこしの甘みが口に広がる。これも汁や料理のソースなどをつける食べるそうだ。


・甘い系

続いてお店の大半を占めるのが甘い系のパン。まずは「酥餅(スゥビン)」と呼ばれるサクサク生地のパイ。この日のラインナップは「黒ごま」「あん」「砂糖」(各税込220円)の3種類。


これらの中で1番人気は砂糖のパイらしい。


それより気になったのは、1つだけ形の違う「山椒塩のパイ」(税込350円)だ。


塩パイ? どんな味? “パイゾーン”からはコレを選出して購入。


カットすると薄い生地の層がキレイに並んでいる。食感はしっかりしていて、洋菓子のパイ生地よりも硬いかも。口に入れるとほのかに感じる山椒の香りと優しい塩味。あま~いミルクティーと良く合いそうだな


次は6個で税込600円の小さなパイ「小小酥(シャオシャオスゥ)」。味は日替わりでこの日は「あんこ」「紫芋」「栗」「緑豆」「黒ごま」の5種類だった。



ロッテの「パイの実」みたいだけど、生地はやわらかでフワフワとした食感である。パイの実みたいなサクサク感ではない。


餡は意外と重めで、1個でもおなかにズッシリと来る。可愛らしいからたくさん食べたいけど、数は食えないかもなあ。


それから中国版のツイストドーナツともいえる「ねじねじ揚げパン」


スタンダードははちみつ味のねじねじ(税込275円)で、最近中国で流行っているのはヨーグルト味(税込350円)なんだそうだ。


こう見えてかなりデカい! 推定30センチはあるかな。販売商品のほとんどが中国サイズで、日本のパンの倍くらいの大きさはある。

王さんは「小さい方が日本人には馴染みやすいかもしれないけど、この辺(新小岩)の中国人は中国で売られている大きさを好むので、それでこのサイズになってます」と説明してくれた。そうか、本場はデカいのか。


ヨーグルト味は柔らかい酸味のある揚げドーナツ。1回食べたらクセになる味だね。


そしてこちらが「りんご餡入り」のねじねじ(税込350円)。りんごの甘さとほのかな酸味が効いている。この商品はチャットアプリ「WeChat」を使った国内通販で大変好評で、それで店頭でも販売するようになったものとのこと。

なお、国内通販は全国各地の中国人から注文が来るという。販路はここだけじゃなかったのね、王さん商売上手だなあ。


個人的には別日に買った味のねじねじが好きかな。ねじねじした生地をさらにねじねじした「ミルフィーユ」(税込350円)が美味しかった。ザクザクとした歯ざわりが気持ちイイ!


・そのほか気になった商品

お店の苦労を感じた商品も紹介しておこう。この商品「3種もち米と5種ナツ(ナッツ)のパイ」(税込200円)は、もともと違う名前で販売していたそうだ。


表の看板にはこの商品「サクサク八宝焼」と書かれている。「八宝」は8種の具材を意味するのではなく、いろいろ入っていることを示しており、日本でいうところの「五目」に近い意味のある言葉だ。

つまり八宝焼は「いろいろ入ったパイ」ということになるのだが、その真意が伝わらずに売れなかったので、本当に8種類の具材を詰めて焼き上げているのだ。言葉って難しいね……。


そして最後に紹介するのは、日本でも親しまれている「胡麻団子」(税込200円)だが……。これもデカくない? おにぎりくらいの大きさはあるよ


やっぱり本場はこのサイズなの? と王さんに尋ねると「うちだけ。うちのオリジナルサイズですよ。もっと大きいの作りたいです」と、さらなる巨大化に意欲を見せた。どうやら遊び心で大きくしているようだ。

中を見てみると餡子は外側に反して小さかった。居心地悪そうだな……。


・商品を知ってもらって

実は王さんは、商品の詳しい説明を私にだけしているのではない。初めてお店に来る日本人のお客さん全員にしているのだ。同じことを1日に何度も何度も話している。時間と手間をかけて、商品についてずっと語っている。それにはこんな理由があった。


王さん「ほかのパン屋さんと同じように、トレーとトングを使ってもらってご自分で商品を取ってもらう方が楽なんですよ。でもまだそうする段階ではないと思ってます。

どうしてかというとね、知らないものは買ってもらえないんですよ。見て「美味しそう」って思ったものしか買ってもらえない。そうするとせっかく良いもの作っても売れないでしょ。

だから、何度も何度も説明して商品のことを知ってもらわないとね。まずは知ってもらって、食べてもらわないとね


すでに王さんの頭の中には店舗拡大の計画があるそうだ。いずれ1軒2軒とお店が増えて、気が付けば中国パンの説明は不要になる時代が来る。そう感じさせてくれるお店だ。新大久保あたりにお店ができたら、瞬く間にブレイクするかも?


・今回訪問した店舗の情報

店名 劉記 中華面食(りゅうきちゅうかめんしょく)
住所 東京都江戸川区松島3丁目14-3
時間 8:00~20:00

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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