吉本新喜劇の出演者を投票で選ぶイベント「吉本新喜劇座員総選挙」が開催されることが、2022年6月29日に発表された。
総選挙では10月10日に開催される「吉本新喜劇まつり」に出演する団員を選出する。上位30位以内に入れば決定で、最多投票数を獲得した団員が主役を務める。投票期間は6月29日から8月23日までで、期間中は1日に1回の投票が可能。1度につき、3人に対して票を入れることができる。
発表を受け、ツイッターでは早くも自らの推しの団員に投票したとする報告があるなど、広がりを見せそうだ。新喜劇の出演者を投票で選ぶのは史上初だというが、新たな試みは新喜劇に良い影響をもたらすのか。J-CASTニュース編集部は、ライターでお笑い研究家の鈴木旭氏に意見を聞いた。
「出演者の年齢層が幅広いことが吉本新喜劇らしさかなと思います」
鈴木氏は、投票で出演者を選ぶというこれまでにない手法が、吉本新喜劇に新たな変化をもたらすなど活性化の要因となりうるかについて次のように分析する。
「吉本新喜劇の歴史は長く、その都度コンスタントに『テコ入れ』をしてきた側面があります。例えば1980年代後半に観客動員数が減った時期には、当時若手の今田耕司さんや東野幸治さんなどを主力メンバーに据え、『目標動員数に達しなければ解散する』という思い切ったキャンペーンを行いました。その一環として今回総選挙の顔である間寛平さんが『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』(フジテレビ系)といった番組に出演し、新喜劇を外へアピールしていたことを思い出します。きっとその頃から『常に新しいことをやろう』という意識は変わっていないんでしょうね」
続けて、鈴木氏は以下のようにも指摘した。
「これまでも若い団員や新たなキャラクターを推すということが多々ありました。小籔千豊さんは最年少座長として注目を浴びましたし、少し前ならすっちーさんと吉田裕さんの『乳首ドリル』が定番ギャグになりましたよね。新たな団員を発掘しつつ、その都度活性化を起こし、一方でMr.オクレさんといった古株も現役で稼働している。ベテランから若手までバランスよく活躍するのが吉本新喜劇らしさかなと思います」
投票がネットで行われるという性質上、若い視聴者を取り込む狙いが強い企画なのか。
「若い層はもちろん投票するでしょうが、今は50代でもネットを使う時代。それほど投票者の年齢に偏りは出ない気がします。仮に幅広い投票者がいるとすれば、有利なのは若手の団員ではなく川畑泰史さんといった座長や知名度の高い方たちでしょう。また、年齢が高い投票者は池乃めだかさんといった重鎮を選ぶでしょうから、選出される団員にはそこまで年齢的な偏りは出ないように思います」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)