線香花火と言えば、下にたらしてパチパチさせるもんだと思っていましたが、関西には立てて遊べるタイプがあるそう。ほんとうにお線香みたい。春ですが、お取り寄せして楽しんでみました。
西の絵師が描いた謎の花火
去年、兵庫県立美術館に行った時のこと。何やら奇妙な日本画を見ました。
パッと見は線香立てのお線香なんですが、先がパチパチ火花を散らしているのです。研究室の教授と同期とともに「何やろこれ・・・?」としげしげ見つめるも答えは出ず。
そして3か月ほど前、教授が突如「あれは関西の線香花火らしい」ということを教えてくれました。
教授はあれから気になってちょくちょく調べていたようです。私はあれっきり忘れてたのに・・・教授になれる方ってこういう人なんでしょうね
関西の線香花火は立てて遊べるらしい
これは「スボ手牡丹」と呼ばれる、もち手がワラになっているタイプの線香花火だそう。主に関西で生産されていたタイプらしいです。大阪で生まれ育ったのに知りませんでした。
和紙をより合わせた形のものは、主に関東で生産されていた「長手牡丹」という種類。現在はこれの一強になったため、「線香花火」の看板を独占しています。
いざお取り寄せ
「やってみたい」の思いやまず、夏まで待てそうになかったのですぐにお取り寄せしました。
福岡県の「筒井時正玩具花火製造所」さんの商品をネットで購入。現在スボ手牡丹を製造しているのはここだけのようです。
箱の説明書きには「三百年変わらない線香花火の原形」で、「米作りが盛んな関西地方には、ワラが豊富」だったからワラを使用したとあります。へー。
繊細にパチパチ
さっそく点火してみましょう。
いまの手持ち花火って、火花「ジュ――――シュ――――バーチバチバチ」煙「モークモクモクモク」、やってる方も「ウワーーーイ」って感じですよね。
しかし、このスボ手牡丹は火花「ぱちぱちぱち・・・」煙「ふわふわふわ」って感じで線香花火の風情があります。
火花の形も刻一刻と変わり、見応えがあります。ステキ。
(最後はポトっと火の玉が落ちるので、ヤケドには注意です。)
ケーキに立てるロウソク花火みたい
あの日本画には、スボ手牡丹が線香立てに何本も立てられていました。
私が買った花火は、垂直にするとスパークしないので、ちょっと斜めにして器に立て入れてみましょう。
まるで一輪挿しのようです。いつもよりじっくり火花を楽しめる気がします。
この刹那、地獄の就活のことなんて思い出さずに、この火花のうつくしさだけを考えることができました。
この様子を見ていて、ふと「欧米のケーキにささってる、あのアホみたいなロウソク花火っぽくもあるな」と思いました。(私のなかでは、あのロウソクは能天気の象徴です)
「日本のスイーツ」ということでおはぎを供えてみました。
めちゃくちゃお彼岸になりました。
もち手がワラでできているだけで、プラスアルファのお楽しみがあります。仕事や勉強で脳が疲れ切った夜などに、立てかけたスボ手牡丹のパチパチする様をボ~ッと眺めるのもええなあと思いました。