おそらく上空40mくらいからの空撮画像。
前回、タモ網の棒を使ってドローンっぽい映像を撮る方法を探った。結果として、軽くて(600gくらい)手頃な値段(6000円くらい)で7mの視界を手に入れられるタモ網の棒が優勝した(優勝とは?)。
しかししょせん7m。ドローンから撮れる数十m上空からの視点は得られない。そこで、凧です。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。
1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)
前の記事:重曹でスパゲティがラーメンになる(デジタルリマスター)
> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内
前回のあらすじ
前回は色んな棒の先にカメラを付けて撮影することで、ある程度高くてドローンっぽい視点を手に入れることが出来ました。でも、しばらくやってると更に欲が出てきます。
際限がない、人間の欲…
僕は業が深い男です。さらなる高みを目指して凧を買いました。
当サイトのライターは工作でいろいろ解決する人もいるのですが、僕は工作が下手なので金で解決します(なお自腹です)。
凧は簡単に組み立てられて、安いけどしっかりした作りでした。
空撮の前にテストで飛ばしてみます。何事もテストは大事。いきなりカメラをくっつけて飛ばして糸が切れて彼方に飛んでいったら泣けます。あと危ない。
2400円の凧は簡単に飛び、ぐんぐん高度を上げていきました。高性能。そして、めっぽう楽しい。
凧揚げって30年ぶりくらいにやりましたが、メチャクチャ楽しいですね。なんですか、この遊び。物をコントロールする楽しさでしょうか。
で、糸を巻いて凧を降ろしてみたら糸がほつれてる箇所がありました。あぶねー。やっぱテストは大事です。
凧にカメラを付けてみる
オッケー、オッケー。凧は問題なく飛びそう。じゃあカメラを付けてみるかってことで、前回から引き続きのInsta360Go2。
このカメラの驚異的な軽さ、小ささ、手ブレ補正と水平維持機能が無茶な撮影を可能にします(回し者でもないしPR記事でもありませんが、お茶とOneX2が怖い)。
以前にも当サイトでやられていた、凧で空撮
凧にカメラを付けて飛ばそうという試みは、当サイトでも2003年と2005年に行われています。だって空を飛ぶのは人類の夢だから!
久しぶりのたこあげ 2003年11月2日
たこにカメラをぶら下げる 2005年5月10日
どっちの記事も編集長の林さんが書いており、人類っていうかごく一部の物好きの夢って気もした。
でも、KAP(カイトエアリアルフォト)という言葉もあるそうで、つまり人類の夢に違いありません。だから僕もやる。
で、2003年と2005年の試みですが、”空撮については”あまりうまくいってませんでした。なぜか?それは、当時小型で優秀なカメラが無かったから。
でも、2022年の今はInsta360Go2があるので、勝利は約束されております。
セロテープでやっていく
どこにカメラを付けるかといろいろ考えた結果、凧の尻尾を本体につないでいる金具(スナップ付きサルカン)にセロテープで付けることにしました。セロテープで急にIQ下がった感じするけど。
毎度おなじみ、3Dプリンターでアダプター的なものを作ってみようかとも思ったんですが、飛びものに重量増は大敵。セロテープで最小限に抑えることにしました。
問題は36000円のカメラをセロテープで留めて飛ばす不安感。勇気が要ります。
なかなかいいんじゃん?と飛ばしてみた。
ダメだったな
すっごい不安定になるんですね。
金具に付けたカメラがブラブラしてるせいだと思うんですが、凧がグルグル回ってしまってまったくまともに飛びません。
だめだこりゃ、次いってみよー!
カメラの位置を変えます。
装着方法は相変わらずセロテープ。
で、高く飛ばしてみて何が撮れたかって言うと、
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空が撮れました。たまに映る地面の遠さに空撮を感じるけど、空なんて地面からでも撮れるんですよ!
はいダメ!次!
糸にカメラを付けてみる
凧本体にではなく、糸の途中にカメラをくくりつけてみるアプローチ。なかなか良さそうって思うじゃないですか?ダメだったね。
糸に付けたカメラマウントは大暴れ。下から凧を引っ張る亡者のような動きで飛行を邪魔し、自らも糸に絡んで大変な事になりました。これにカメラの重さが加わったら惨事の未来しか見えません。
ネークスツッ!!(海外の空港の入国審査の係官みたいな言い方で)
凧の尻に固定するパターン
凧の尻につけるパターンはさっきやっただろうって?いや、さっきは尻の金具に付けたんだけど、今度は凧本体に直接セロテープで固定します。
凧本体の布に切れ目を入れて、そこにセロテープを通して、骨に固定するって寸法。
セロテープ使うのはこれまでと同じだけど、本体に固定するのでブラブラしません。たぶん安定して飛ぶはず…。
はい、どうなったか動画でご覧ください。
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なかなかいいんじゃないでしょうか。最初や途中など、糸を出す部分で凧がガクガクと揺れるけど、飛んでしまえば安定しています。カメラを凧のお尻に付けたので地面がよく写り、走る僕を追いかける感じが良い。ドローンのアクティブトラックの様です。
止まらない欲、リールを買わせる
しかし映像を見ているとやはり糸の繰り出しと回収時にガクガクするのが気になる。原因は糸巻きにあります。
困ったら金で解決していくスタイル。気を失って気づいたらリール式の糸巻きが手元に。夜中の2時に注文して12時間で配達されました。Amazonの皆さん、ヤマト運輸の皆さん、いつも本当にありがとうございます。
これを使いますってぇと、スルスルと気持ちよく糸が出ていきます。
動画で効果をご確認ください。
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まったく揺れないわけじゃないけど、かなり抑えられていると思います。あと、糸の出し入れが容易なのでより高く凧を上げられています。(広角レンズなので高く感じますが実際は高度40m程度かと思います)
さて、これで一定の満足は得られましたが一つだけ不満がありました。
カメラの付け外しがめんどくさすぎる
凧の切れ目にセロテープを通してカメラを固定するのが本当にめんどくさいんですよね。バッテリーが切れたらテープを外して充電しないといけないし。もうちょい簡単にならないもんか?と思って3Dプリンターの登場。(やっぱ使うのね)
こんなん作った
毎度おなじみ、3DCADでこんなパーツを設計しました。
裏側は骨に固定出来るようになってます。
設計したら、どこのご家庭にもある3Dプリンターで印刷。磁石を埋め込んでUV硬化レジンで固めて完成。重さは9gでした。
パーツが出来たので、早速また出かけて凧に設置して飛ばしてみることにしました。
この日の東京は晴れ、やや冬型の気圧配置で強めの北風が吹いていました。まずはテストとして、カメラなしで飛ばしてみます。
次は本番。カメラを付けて、磁石だけだと心配なので一応セロテープでも固定しました。
こんなに安定しない?!ってくら暴れましたね。
カメラの固定が甘くて、飛行中にカメラが動いてバランスを崩してるのかも?と思ってセロテープで固定したりもしたんですがやっぱちょっと難し目。風が強いせいもあったかも知れませんが概ね失敗でした。
凧視点の動画も一応撮りました。酔うかも。
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地面に映る凧の影がグルグル回ってるのに動画は水平を保ってるのがすごいですね。
もうひと足掻きさせてつかぁさい
もうこれだけやったらいいかな、十分書いただろうって思ったんですがもう一つだけ試したくてパーツを設計しました。
どうしたって、セロテープでいちいち取り付けるのが面倒だし、なんか不安感あるし、角度も変えられないので不満が残ります。
で、こんなん出来ました。
3Dプリンターにデータを読み込ませて待つこと1時間。完成。
(と、いきなり上手くいったふうに書いてますが実際はゴミを3つ作りました)
早速凧に装着。糸を接続する穴の少し下に別の穴を開け(熱したドライバーでジュッと開けた)、そこに新パーツをネジ止め。
カメラも付けちゃいます。カポッとはめるだけなので簡単!さよならセロテープ!こんにちは輪ゴム!(え、輪ゴム?)
で、飛ばしてみたらあっさり飛んで超安定しました。
正解はこれでした。試行錯誤の結果、ようやく正解を引けました。長い道のりであった…。
動画も作りました。どうぞご覧ください。
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カメラアダプターのモデルデータはコチラからダウンロード出来るようにしておきました。凧空撮に興味があったらダウンロードして使ってみてください。
Insta360 Go2 adapter for kites
2022年はやっぱすごいし人類は進歩している
2005年には無かったテクノロジーのおかげで凧空撮に成功しました。
Insta360Go2もすごいし、思いついたものを簡単に作れちゃう3DCADとか3Dプリンターもすごい。3Dプリンターは2005年にはあったはずだけど、簡単に使えて安い、個人でも使いやすいものが出たのはここ5,6年のことで、やっぱり人類の進歩がもたらしたものだと思います。
一時はセロテープで話が進み、2022年でもセロテープは最強だね、なんて終わろうと思ったんだけど、最終的には3Dプリンターと輪ゴムでケリがつきました。高度か低レベルなのかよくわかんないけど、今回は以上です。
あ、凧を飛ばす際は電線や高圧線にご注意を。触れてなくても凧が近づいただけで感電して死ぬらしいですよ。それと、人混みで飛ばすと落ちたときに危ないので、混んでる場所では飛ばさないようにしましょう。(保身的注意書き)