つい今朝がたのこと──。私、P.K.サンジュンの乗車した電車が8分ほど遅れて運行していた。いわゆる “遅延” というヤツである。特に急ぎの用事も無かったため少々の遅れなど気にならなかったのだが、1つだけ引っ掛かることがあった。
それは社内で繰り返しアナウンスされていた『お客様対応』という言葉。お客様対応……お客様対応? 実にフワッとした遅延理由だが、果たして『お客様対応』とは具体的にどんな事案を指すのだろうか?
・フワッとしすぎ
「当列車は○○駅で発生しましたお客様対応のため、現在8分ほど遅れて進行しております。ご乗車のお客さまにはご不便をおかけしまして大変申し訳ございません」
これが車内で数回にわたり繰り返されていたアナウンスである。実際のところ、お客様対応に追われていたのなら駅員さんが謝る必要は全くないと思うことはさておき、どうも掴みどころのないアナウンスではなかろうか? ぶっちゃけ具体的なイメージがサッパリ湧いてこない。
さらに言えば、例えば「急病人の看護のため」などの具体的なアナウンスがされるケースも割とある。急病人の看護も『お客様対応』の一種だと思われるが、果たして具体的なアナウンスと、オブラートに包んだ『お客様対応』は何が違うのだろうか?
・駅員さんに聞いてみた
というわけで、遅れて到着した駅のホームにいた駅員さんに『お客様対応』の正体を聞いてみることにした。対応してくれたのは30代前半と思われる、キリッとした男前の駅員さんだ。
──すみません、興味本位でお伺いしたいんですが『お客様対応』って具体的にどんな内容なんですか?
「そうですね、1つの要素ではないんですが、例えばお客様同士の喧嘩を仲裁することも『お客様対応』に含まれます」
──なるほど、喧嘩か。
「あとは痴漢の対応も『お客様対応』になりますね」
──ふむふむ。でも急病人の看護の場合は「急病人の看護」とアナウンスされるのに、なぜ喧嘩の仲裁や痴漢の対応は具体的にアナウンスされないんですか?
「うーん、なんでですかね? ただ急病人の看護だった場合も『お客様対応』としてアナウンスするケースはあります」
──へぇ、そうなんですね。じゃあ「急病人」と具体的にアナウンスする場合と『お客様対応』にする場合の違いってなんなんですか?
「それは指令に委ねられているので僕らでは何ともわかりませんね……すみません」
──いやいや、とんでもない。よくわかりました。ちなみに今朝の『お客様対応』は具体的に何だったんでしょうか?
「実は私たちも知らないんです。というのも、遅延が発生した〇〇駅は乗り入れしているものの違う鉄道会社なので、詳細は問い合わせないとわからないんですよ。でもおそらく喧嘩か痴漢だと思いますけどね」
ご覧のように『お客様対応』とは「喧嘩の仲裁」「痴漢対応」「急病人対応」……などなど、複合的な要素であるらしい。また、遅延理由を「具体的な名称」か『お客様対応』にするかどうかは “指令” に委ねられているとのことだった。
とはいえ、急病人の場合は「急病人」と聞くことが多いため、基本的には「喧嘩」もしくは「痴漢」だと思っても7割くらいは当たっているのではないだろうか? 以上のことから私が言えることはただ1つ……喧嘩ダメ! 痴漢もダメ!! 駅員さんの手を煩わせる行為は絶対にやめましょう。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.