無限の猿定理って知っていますか?
これは「十分長い時間をかけてランダムに文字列を作り続ければ、どんな文字列もほとんど確実にできあがる(出典:Wikipedia)」という定理。この例として、お猿がはちゃめちゃにキーボードを叩きまくっていても意味のある単語がでることもあるので、はちゃめちゃでも叩き続けていれば、いつかはウィリアム・シェイクスピアの作品も完成されるだろうということ。
…実は、この定理はほぼ不可能である。少なくとも人類史、ひいては地球の存在、宇宙の寿命という枠では不可能であることが最新の研究でわかりました。
地球の無限は有限である
無限の猿定理の大前提は、時間が無限であること。制限をもうけず永遠に猿がキーボードを打ち続けたら、いつかは可能であるということ。
しかし、我々人類の時間に無限はありません。
無限の猿定理の研究をリードし、論文の主執筆者であるシドニー工科大学の数学者Stephen Woodcock氏は、この「無限」に着目、プレスリリースでこう語っています。
無限の猿定理はあくまでも無限の話です。猿の数が無限または猿が作業する時間が無限にあるというのが前提です。(研究では)これを、有限で考えました。私たちの宇宙の寿命という有限の時間と、有限の猿の数で考えた場合にタイピングされた文字列の確率という条件で調査を行ないました。
研究の「有限」はこうです。まず、猿という大枠を、人間に最も近いという理由でチンパンジーに限定。チンパンジーの寿命は30年、宇宙の寿命は実験スタートから10の100乗年後に発生すると条件を設けました。
バナナと打てる確率は?
チンパンジー1匹がタイプする文字列と世界中のチンパンジーの数(20万匹、ただし宇宙が滅びるまでチンパンジーの数は一定とする)がタイプする文字列を計算。結果、チンパンジー1匹が一生で(寿命が尽きる前に)「Bananas(バナナ)」とタイピングする確率はたったの5%であることがわかりました。
…シェイクスピアのストーリーを書き出すなんて、夢のまた夢です。
仮に世界のチンパンジーの数が増えたとしても、仮にチンパンジーのタイピングスピードが上がったとしても、この確率ではストーリーを書き出すのは到底不可能であると研究チームは判断。いわく「無限の猿定理は我々の有限の宇宙の中では誤解を招く可能性があると結論づけました」。また、有限と無限のケースで結果が矛盾するパラドックスの1つになるともコメントしています。
この研究論文はFranklin Openにて公開されています。
Source: UTS