今やビジネスのさまざまな場面で活用されている「PDF」。電子帳簿保存法(電帳法)への対応の一環で、すでに請求書や領収書、見積書などをPDFで運用している事業者も多いことと思う。しかし、こうした重要な書類の電子保存にあたってPDFファイルをトラブルなく扱えるようにするには、最低限、留意しておくべき点がいくつかあるという。
そこで今回、税理士の杉山靖彦氏と、PDFソフト「PDF-XChange Editor」の国内販売を手掛ける株式会社ジャングルの“ドクターPDF”のお二人の対談を実施。“本格稼働”が2024年1月に迫った改正電帳法の概要も踏まえながら、証憑類を電子保存するにあたっての注意点やアドバイスを伺った。すでに改正電帳法に対応済みという事業者はもちろん、これから対応を検討する事業者、さらには国税関係書類にとどまらない書類の電子化を検討している事業者も、ぜひ参考にしてほしい。
杉山 靖彦
早稲田大学卒。1994年、マイクロソフト株式会社(現・日本マイクロソフト株式会社)入社。「Office」のプロダクトマネージャとして、「Mac Office 4.2」「Office 95/97」のリリースを担当。1997年退社。1998年に会計事務所を開業。公開会社やベンチャー企業の取締役、監査役、大学非常勤講師を務める。ライターとして業務ソフトやOffice関連の執筆活動も展開している。著書に『「あるある」で学ぶ 忙しい人のためのパソコン仕事術』(インプレス)など多数。
ドクターPDF
カナダのTracker Software Products社が開発する老舗PDFソフト「PDF-XChange」シリーズの国内販売を手掛ける株式会社ジャングルにおいて「PDFのことならこの人に聞け!」と言われるエキスパート。2007年よりPDF製品担当として活躍し、PDF誕生の歴史から国内外のPDF最新事情に精通。同社オウンドメディア『今さら聞けないPDFの基礎』という解説記事も連載中だ。PDFについてもっと知りたい方は、そちらもぜひご一読を。
電帳法に対応するには何をすればいいのか?「しなければならないこと」と「してもいいこと」
――まず、電帳法では何を定めているのか? 事業者は同法に対応するために何をしなければならないのか? そのあたりから説明をお願いします。
杉山氏:そもそも事業者は、税務署に対して、どういった書類を保存しておかなければいけないかといいますと、まず、領収書や請求書など、証憑類と言われるエビデンスとなる書類を保存しておく必要があります。そして、それら証憑類をもとに作成した帳簿などの書類も保存しておく必要があります。
現在、証憑類を受け取ったり発行したりするとき、紙の場合もありますし、電子データの場合もあります。電帳法では、紙の場合には紙のまま保存してもいいし、スキャンして電子データで保存“してもいい”こととしています。一方、今回の改正電帳法の一番のポイントなんですが、電子データで受け取った証憑や発行した証憑については、そのまま電子で保存“しなければならない”ということが規定されました。
次に、証憑をもとに作成された帳簿などの書類ですが、手書きのこともあるでしょうが、今は多くが電子化されていると思います。そうした帳簿書類についても、電子的に作成されたものであれば、特定の条件をクリアすれば、電子的に保存“してもいい”ことになっています。
このように、電帳法によって“しなければいけない”ことと“してもいい”ことがあるため、まずはこれらを区別して理解する必要があります。
なお、電帳法では当初、電子保存したファイルがあとから改ざんされていないことを担保するために、タイムスタンプを付与するか、修正・削除履歴が残るシステム/修正・削除ができないシステムを使用することが求められていました。いずれも中小企業にとって導入の負担が大きいものだったため「これでは電子保存は普及しないだろうな……」と思っていました。しかし、改正法によって、こうしたシステム的な対応以外に、社内規定を策定することで改ざんを防止するという運用面での対応も認められたため、電子保存のハードルがかなり下がったと思います。
――「改正電帳法への対応期限が来年(2024年)の1月1日に迫っている」として、対応する必要性を事業者にアピールする業務ソフトのテレビCMなどもありますが、これはどういうことなのでしょうか?
杉山氏:改正電帳法そのものは2022年の1月1日から施行されています。すなわち、電子データで受け取った/発行した証憑は、そのまま電子データで保存“しなければならない”ということです。
しかし、この電子保存の義務化への対応が間に合わない事業者も多いことから、2年間の「宥恕期間」――まだ対応できていなくても罰しないこととする猶予の期間――を設けることが、施行直前の2021年の年末になって決まりました。
来年(2024年)の1月1日は、その宥恕期間が終わり、改正電帳法における「電子保存の義務化」に事業者が対応しなければいけなくなる日です。とはいえ、改正から1年半ほど経過した現在でも、全国津々浦々の小規模事業者まで対応できている状況ではないため、今年度(令和5年度)の税制改正によって、簡単に言えば「対応できていなくても、あまり厳しくしないよ」というような方針になっています。改正電帳法そのものは来年1月1日から本格稼働ということで、コンプライアンスを重視する大企業などでは対応が進んでいますが……。
――その令和5年度の税制改正によって、電子保存のハードルが下がったと聞いています。
杉山氏:どのように保存しておけばいいのかという部分で、求められる要件が少し緩和されました。
従来は、検索要件――日付・取引先・金額で検索できるようにしておかなければならないという規定がありました。それらの項目で検索できるような文書管理システムを導入していれば問題ないのですが、特に中小企業ではこれがなかなか難しい。そこで、ファイル名に日付・取引先・金額の文字列を含める方法が示されていたのですが、それって帳簿の記録とほとんど同じ情報を付与し直しているわけで、とても手間が掛かる作業を求めていました。
この点について「年間売上が5000万円以下の事業者であれば検索要件は不要」とされたのが、今回の税制改正で一番ラクになった点ではないかと思います。もっとも、実務上は、例えば年月ごとにフォルダーに分けておくなどの管理はしておいたほうがいいと思います。
また、紙の証憑をスキャンして電子保存する「スキャナ保存」の場合についても、従来は解像度などについて細かい規定があったのですが、ざっくり言うと“ちゃんと読めればいい”ということになりました。スキャナ製品で普通にスキャンしたもの、あるいはスマホで普通に撮影したものであれば、この条件をクリアしていない場合はほとんどないと思います。
ドクターPDF:来年1月1日までの間に、さらに緩和される可能性もあるのでしょうか?
杉山氏:多分、それはもうないのではないかとみています。今後は“全部は対応できていないけれど一部対応をスタートした事業者”は引き続き大目に見てもらえるけれども、“全く何もしていないような事業者”には厳しくなってくる可能性はあるかもれません。
ドクターPDF:そのようにして来年1月1日に改正電帳法が本格稼働すると、世の中の事業者で文書の電子化が進むのではないかという期待があるのですが、現場で見ている杉山先生はどうお考えでしょうか?
杉山氏:クライアントさまから「税務書類って何年保管しておかなきゃならないの?」とよく聞かれます。それに対して私は「税務調査は一般的に、だいたい3年分なされるので、3年間は絶対にとっておいてください。ただし、税務調査の権限があるのは5年分なので、5年間は保管しておいてほしい」と言っています。これが法律的には9年・10年求められるとなると、とてつもない保管場所が必要になるわけです。紙で保管する必要がなくなるのなら電子保存で、と考える方はいらっしゃいます。
大事なのは「決して最初から完璧を目指さないこと」です。ファイル名の細かい命名ルールなどを決めても、全従業員が守れないような運用は意味がありません。スキャンして、PDF化して、ストレージに保存する――それだけを徹底するのが一番です。
特に個人商店などでは年間売上が5000万円以下の事業者がほとんどでしょうから、自分が分かるファイル名で保存しておけばいいということになります。そういうところから少しずつ文書の電子化が進むのではないでしょうか。
長期にわたる電子保存なら、フォーマットは「PDF」ほぼ一択!?
――杉山先生は、紙の証憑を受け取ったらすぐにスキャンして電子保存するよう徹底しているそうですね。その際、ファイルフォーマットとして「PDF」に統一しているとのことですが、なぜPDFなのでしょうか?
杉山氏:まず、画像ファイルに比べて、複数ページの書類の管理がラクだからです。保存すべき書類は領収書1枚といったものだけでなく、契約書や見積書など複数ページにまたがるものもあります。それを画像ファイルで保存すると1ページ=1ファイルになって分かれてしまう。一連の書類であることが分かるようにファイル名を付けて管理するのは面倒ですから、1つの書類を1つのファイルで保存できるPDFで保存しています。
また、スキャンしたデータをPDF化するソフトウェアにはOCR機能が付いていることが一般的です。テキストデータを含むPDFとして保存しておけば、あとから全文検索できるというメリットがあります。それに、日本では「PDFで送ります」と言えば通じますよね。「PDFって何?」という取引先はまずいないでしょう。
私はこうした理由からPDFを推奨していますが、そもそもPDFというフォーマットは、技術的に見た場合、どういう特徴があるのでしょうか?
ドクターPDF:AdobeのPDFソフト「Acrobat」が登場したのは、ちょうど電子メールが普及しはじめたころです。WordやExcelなどの文書を電子メールでやり取りするには、相手も同じアプリケーションソフトを持っていないとならないし、インストールしているフォントなど、PCの環境が送受信者で違っていると、同じように表示できませんでした。
そこでAcrobatでは、文書を印刷したときの状態をPDFというフォーマットに置き換えて保存する機能を提供しました。仕組みとしては、プリンターに送られる命令を置き換えたといってもいい。紙に印刷された文書が誰にでも同じように見えるのと同様、PDFはどこに行っても、何年たっても、同じように表示できるというわけです。また、PDFにはフォントを埋め込むことができるため、相手が同じフォントを持っていなくても同じように表示できます。
このように印刷された文書と同じ状態を再現できるフォーマットって、ほかにないんですよね。どこでも同じように表示され、全文検索もできて、あらゆる言語に対応しているという意味で、重要な書類を保存するフォーマットとしてはPDF一択になるのではないでしょうか。HTMLや電子書籍のフォーマットでも、見た目が変わってしまうものは書類の電子化には適しませんよね。だからこそPDFなんだろうという気がしています。
PDFの証憑は「フォント埋め込み」「検索できる文字」「パスワードなし」で!アーカイブ用フォーマット「PDF/A」とは
――10年前にPDFで保存されたファイルは、今でも同じように表示できると考えて大丈夫でしょうか?
ドクターPDF:ものすごく古いPDFファイルだと表示できないものもあるかもしれません。ただし、あとあとのことをきちんと考えて作成したPDFファイルであれば、10年ぐらい前のものでしたら問題なく表示できると思います。
具体的には、まず、フォントが埋め込まれていることです。昔はファイル容量が大きくなるのを嫌うこともあり、フォントが埋め込まれていないPDFを作成することも多かったのではないでしょうか。今はフォントデータの分の容量が大きくなってもあまり問題はないと思いますし、100%同じかたちで再現することを保証するのに必ずフォントを埋め込むことが重要です。
杉山氏:この点は、請求書や領収書などの証憑を受け取る側からすれば、対策のしようがない部分ですよね。ですので、改正電帳法に対応するために、PDFの証憑を発行する側・送る側は必ずフォントを埋め込みましょう、と。そうしないと10年後に読めなくなる可能性もありうるということは、大いに言っておきたいところです。
ドクターPDF:次に、内容を検索できるように、PDFの中の文字が正しい状態で保存されているかも重要です。PDF上の文字を選択してコピーし、メモ帳などにペーストしたときに、PDFの文字と同じ文字が貼り付けられれば、ほぼ問題ないと言っていいでしょう。
PDFで長期にわたって保管することを考えると「フォントの再現性」と「検索できる文字」が重要です。PDFで証憑を作成する場合は、受け取る側のことを考え、これらを満たしたPDFを作成する必要があります。
杉山氏:それと、パスワードが掛かったPDFは扱いが厄介ですよね。
ドクターPDF:情報漏えい対策のために良かれと思ってPDFを暗号化し、正しいパスワードを入力しないと表示できなくした状態で共有してくる方もいらっしゃるかもしれませんが、パスワードが分からないと開くこともできない。長期保存する文書には推奨できません。
――PDFで証憑類を作成する場合は「フォント埋め込み」「検索できる文字」「パスワードなし」とのことですが、そのほかに注意すべきことはありますか?
ドクターPDF:PDFの中でも「PDF/A」という形式で保存することを推奨します。もちろん「PDF-XChange Editor」でも対応していますし、上位の「PDF-XChange Pro」であれば、PDFを出力する仮想プリンターでも出力できます。
杉山氏:PDF/Aという形式はあまり聞き慣れないものですが、普通のPDFと何が違うのでしょうか?
ドクターPDF:PDF/Aの「A」は「アーカイブ」を表しています。電子データの長期保存をPDFで実現するために、PDFにいくつか制限を追加してISOで国際規格化した形式がPDF/Aです。ちなみにISOではほかに、印刷用の「PDF/X」や、CADなどの技術文書のための「PDF/E」もあります。
PDF/Aで規定されていることとして、フォントを埋め込むこと、暗号化しないことが挙げられます。また、PDFはファイル外のコンテンツを読み込むこともできますが、そうした外部のコンテンツに依存せずに完結することもPDF/Aでは求められています。
杉山氏:証憑類を電子ファイルで発行する際、業務システムで発行していることも多いと思います。そうしたシステムから出力されるPDFファイルは、PDF/A形式になっていると考えていいでしょうか?
ドクターPDF:いや、日本ではこれからだと思います。PDF/Aに特に積極的なのはヨーロッパで、現地のシステムベンダーが業界団体を作って積極的に推進していますね。日本国内では、官公庁のほうがシステム導入の際に要件としてPDF/Aを入れるなど積極的です。システム製品やそれらの製品が呼び出すライブラリでPDF/Aに対応しているものは今まで少なかったと思います。これから増えていくでしょう。
杉山氏:小規模事業者では、デスクトップの業務ソフトも使われています。そうした業務ソフトで発行する証憑もPDF/Aに対応できますか?
ドクターPDF:例えば、弊社が販売しているPDFソフト「PDF-XChange Pro」をインストールすると、PDFを出力する仮想プリンタードライバーもインストールされます。アプリケーションから出力先としてその仮想プリンターを選べば、PDFファイルとして出力でき、オプションでPDF/Aも指定できます。安心して取引先に渡せるPDF/Aファイルが作成できると思います。
杉山氏:証憑類を電子保存する場合、あとあとファイルを正常に表示できなくなってしまう可能性もあるということは留意しておかなといけませんね。長期保存に耐えるPDF/A形式にするということは、電帳法への対応においては特に重要なことだと感じました。
電帳法への対応にとどまらない、重要書類の「PDF/A保存」を始めよう
――電帳法で定められている書類のほかにも、税務上、電子保存しておくといい書類はありますか?
杉山氏:国税関係の書類は10年間保管すれば大丈夫ですが、10年間では足りないような分野もあります。例えば、不動産取引では、購入してから30年とか50年とか時間が経ってから売却することも一般的ですが、購入時の書類をきちんと保管していない方も意外と多い。
不動産は単価が高いため、その書類があるかないかで税金が大きく違ってきます。書類があれば購入価格と売却価格から利益を計算しますが、書類がない場合は5%で購入したとみなし、95%を利益とみなすという法律があります。例えば1億円で売却すると、9500万円分に対して税金が掛かるわけです。一方、購入価格が5000万円だったという書類があれば、税金が掛かる利益分は5000万円だけになります。購入時の書類を紙で保管しておくのと同時に、もしものときのためにスキャンして電子保存しておくのもよいかと思います。
不動産だけでなく、株の購入時の価格が分からないという事例もよくあります。紙の書類が発行される場合はまだいいのですが、オンライントレードの取引情報などはきちんと保管できているのでしょうか? 意外と見落とされているのではないかと思います。
ドクターPDF:紙の重要書類は、災害などに備えてバックアップを取るという意味でもPDFで保管しておくといいですね。そのほかに、PDFで残しておくといい書類は何かあるでしょうか?
杉山氏:紙の書類ではないのですが、昨今のクラウド会計ソフトなどはデータもアプリケーションもクラウド上にあります。万が一に備え、帳簿などはPDF化して保管しておくといいかもしれません。
ドクターPDF:なるほど。紙ではなく電子データとして存在する書類を、アプリケーションに依存せず、どこでも同じように表示されるPDFにして残しておくのも1つの方法ですね。
でしたら、PDFの「ポートフォリオ」という機能を活用してみてはいかがでしょうか。この機能は、PDFファイルの中に別のファイルを埋め込んで保管しておけるというものです。フォルダーと同じように、中にあるファイルが見られます。ZIPのような感覚と思っていただければいいと思います。
例えば、あるアプリケーションで作成した書類をPDFファイルに出力し、そのアプリケーションのオリジナルファイルをPDFファイルの中に埋め込んでおくのです。書類を電子ファイルで長期保存する際に、PDFによる表示の再現性を担保しつつ、アプリケーションの独自形式の元データも残しておけます。
杉山氏:私の事務所でも、アプリケーションの元データのファイルと、それをPDF化したファイルの両方を保存していることがあります。すると、どちらが新しいのか、どちらが正しいのか混乱しますよね。ポートフォリオ機能で1つにまとめられればファイル管理をスッキリできそうです。また、私は元帳などをPDFファイルにしてクライアントさまにお渡ししているのですが、同時に元データやCSVファイルを渡す場合もあります。そのようなときにポートフォリオ機能が活用できますね。
会計ソフトの帳簿を全てPDF化しておくという方法もあると思います。紙の時代に全て紙に印刷して保管していたように、これからは全てPDFに出力して保存する。その際、そのPDFファイルの中に会計ソフトの1年分のオリジナルデータを入れておけば、必要なときにそこからデータを取り出せます。
ドクターPDF:なるほど、その使い方はちょっと思い付かなかったですね。見た目は印刷された帳簿の状態が表示されるPDFですが、その中には帳簿データも保存されている、と。
品質の高いPDFファイルを作成するには、信頼できるPDFソフトの利用が不可欠
――最後に、電帳法対応におけるPDF活用について、改めてお二人にコメントを伺えればと思います。
杉山氏:私自身、証憑のスキャナ保存を積極的に実行しており、その際のフォーマットとしてPDFを推奨してきました。しかし、今回の対談でお話を伺うまで、アーカイブ用の「PDF/A」というフォーマットを知らなかったぐらいです。もしかしたら世の中はまだ「PDF/Aって何?」という段階かもしれません。「電帳法に対応するということは、取引先に対して証憑をPDF/Aにして渡すことです」と啓発してもいいのではないでしょうか。
ドクターPDF:電帳法への対応というと、証憑を受け取る側での運用面――どうやって保存・管理すればいいのかという面ばかりが注目されがちですが、証憑を発行する側・送る側の意識も大事です。“受け取る人のことを考えたPDFファイル”を作成する必要があります。
そして、そうしたPDFファイルを作成するためにも、実績のあるソフトを導入してほしいと思います。世の中にはいろいろなPDFソフトがありますが、新興のソフトの中には、PDFの細かい規定にきちんと準拠した実装になっていないものもあるようです。生成したPDFファイルに不備がある場合、文字化けなど正しく表示されない恐れもあり、書類としてきちんと残しておくことができません。
PDFソフトというと、本家「Adobe Acrobat」がありますが、弊社が販売する「PDF-XChange」シリーズも25年を超える実績があり、世界で4億ユーザーがいるとされる信頼性のある製品です。こうした製品は多くのユーザーに利用されているからこそ、PDFの不備によるトラブルの事例も多く寄せられ、その原因を調査し、改善してきています。PDFソフトは、こうした積み上げられた実績による安定性が最も求められる製品と言えます。
今回の改正電帳法は、事業者のあらゆる書類が電子化されるきっかけになります。国税関係書類に限らず、書類の電子化・PDF化が進んでいくのは間違いない。そして、社内文書や公的文書などの重要な書類を長期に渡って保存するためには「PDF/A」形式を使う――100年後、1000年後もきちんと読めるような、品質の高いPDFファイルを作成する文化が定着してほしいと考えています。
――電帳法への対応と、保存フォーマットとしてのPDFの利点、そして今後の新しい可能性まで話が広がったと思います。本日はありがとうございました。
「PDF-XChange Editor」について
「PDF-XChange Editor」は、カナダのTracker Software Products社が開発する多機能PDFソフト。PDFの作成・編集機能、注釈・付箋・スタンプ機能、フォーマット変換機能などを備えており、Windows 11/10/8.1に対応している。標準価格は1ライセンス9350円。これには1年間のアップデートサービスが含まれており、1カ月あたり779円換算と、導入しやすい価格設定だ(このほか、3/5/10/25/50/100/250/500/1000/無制限ライセンスパックも用意)。
PDF-XChangeシリーズとしては、PDF/Aファイルも出力できる仮想プリンター「PDF-XChange Standard」などがバンドルされた上位版「PDF-XChange Pro」などもラインアップしている。