ネット詐欺専用セキュリティソフト「詐欺ウォール」を提供するBBソフトサービス(BBSS)が公開した「インターネット詐欺リポート」によると、2023年3月から、官公庁関連の詐欺サイトが激増していることが分かりました。割合としては、2月は詐欺サイト全体の5.19%でしたが、3月に57.33%を占め、4月も53.77%を高い水準となっています。
3月に悪用されたブランドのトップは税関(29.83%)で、2位は国税庁(21.71%)でしたが、4月は日本年金機構(29.9%)と厚生労働省(15.7%)でした。同じデザイン・仕様で詐欺サイトが複製されており、全てVプリカの発行コードを狙ったものになります。
Vプリカはネット専用のVisaプリペイドカードです。事前に入金した金額で使用でき、匿名で利用できます。クレジットカード払いや銀行振り込みのほか、コンビニでも購入できるので、すぐに発行できます。その際に発行されるコードを詐欺サイトに入力させるのが詐欺師の狙いです。
ほかには、電力会社を騙る詐欺サイトも増加しています。「万一、支払期日を過ぎると、サービスのご供給を【停止】致します」と脅し、焦らせようとしています。こちらも、官公庁の詐欺サイトと同様のフォーマットで、Vプリカの発行コードを盗もうとしてきます。
4月に入ってからは、ゴールデンウィークで旅行需要増加が増えたことを狙った詐欺サイトも増加していたようです。本連載でも取り上げたことのある「えきねっと」や「ETC利用照会サービス」の詐欺サイトが確認されました。
また、地方銀行を騙った詐欺サイトも増加傾向にあります。新年度で銀行口座を作る需要を狙った可能性がありますが、これまでは大手銀行を騙るケースが多く、地方銀行関連の報告数が少なかったようです。今後、大手銀行から地方銀行のユーザーへターゲットをシフトしていく可能性があると注意喚起しています。
BBSSでは詐欺被害防止のポイントとして、メールやSMS上のURLをクリックしないことを挙げています。サービスにアクセスする際は、事前に登録しているブックマークを利用したり、Googleなどで自分で検索し、その結果から正規のウェブサイトを開きましょう。個人情報やクレジットカード番号、そして今回のようにVプリカの発行コードなどをウェブネットに入力する際は、正規のウェブサイトであるかどうかの確認が必要です。
今回の事例であれば地方銀行など、送信元のサービスを使っていないのであれば、すぐに詐欺と気付いて無視できます。しかし、該当する銀行の口座を作ったばかりだったりすると、コロッと騙されてしまう恐れがあります。そのため、ネット詐欺の事例と自己防衛の手段を知り、詐欺サイトの被害に遭わないように注意していきましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと