日本ハムの伊藤大海が苦しんでいる。
今季4度目の先発登板となった2023年4月25日のオリックス戦(エスコンフィールド)で5回途中6安打6失点KO。3敗目を喫し、防御率5.82に悪化。今季初勝利が遠い。
「メカニズムが一度狂うとなかなか元に戻れない」
伊藤の強みは修正能力の高さだろう。状態が悪くても試合中にきっちり立て直す。昨季は2年連続2ケタ勝利となるチームトップの10勝目をマーク。だが、今季は自慢の制球力が狂ったままだ。
この試合でも初回に先頭打者・太田椋に四球を与え、1死一、二塁で森友哉に中前適時打を浴びると、6番・シュウィンデルに右中間突破の2点適時二塁打で3点を先制される。2回に味方打線が5点を奪って逆転したが、4回も四球が絡んで1失点。5回に先頭打者の3番・中川圭太にこの試合5つ目の四球で出塁を許すと、森に逆転2ランを右翼席へ運ばれて降板した。
直球が走らず、変化球も浮いて制御できない。完全に本来の姿を見失っている。侍ジャパンではWBC3試合に救援登板して無失点。準々決勝・イタリア戦で先発・大谷翔平を救援して2点差に迫られた5回2死一、三塁のピンチで遊飛に仕留めると、決勝・米国戦も6回の1イニングを三者凡退の快投。世界一に大きく貢献したが、シーズンに入り何が起きているのだろうか。
スポーツ紙記者は「WBCの影響はあると思います。WBC公式球への対応に苦戦する投手が多かった中で、伊藤は制球に困ることはなかった。一方でNPB公式球に戻って球を操れていない。投手は繊細です。メカニズムが一度狂うとなかなか元に戻れない」と指摘する。
次回登板で、復活した姿を見たい。
(中町顕吾)