ふつうを堪能しに行きました。
ふつうの町ってどこだろう。日本の平均的な町だ。
練馬区とか伊丹市とか、いわゆる郊外だろうか。いや、イメージではなく、きちんとした裏付けが欲しい。その町が「ふつう」であることを数字で説明したい。
人がどれぐらいいるか、それならどうだろう。人口? 自治体の大きさはバラバラなので、単純に人口を比較しただけではわからない。
密度だ。人のみっちり具合が日本の平均に近い町が「ふつう」なんじゃないか。
※2008年1月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
日本の平均的な景色は島根にある
日本の人口密度は343人/km2(2005年現在 国勢調査による)である。日本の人口をならすと1キロ四方に343人しか住んでいないのだ。
1キロ×1キロに343人がいる景色こそ日本の平均、ふつうの町ということになる。
都道府県市区町村というページに載っていた日本の自治体毎の人口密度ランキングを見ると、それにもっとも近い数字をもつ町は
島根県 簸川郡 斐川町(ひかわぐんひかわちょう) 342.37人
であった。日本のふつうは島根にあったのだ。
木曜日担当ライター住、東京カルチャーカルチャー店長横山、そして林の3名でふつうの町を訪れた。
ここが日本のスタンダードだと思うと大変感慨深い。長さで言えばメートル原器みたいなものである。ふつうのメッカ。外国から日本を訪れて、一箇所しか見られないとしたらここを見ればいい。ここが標準的な日本なのだから。
日本のふつうはどんなところか
さていよいよふつうの町のようすである。はじめての町なのに見覚えがある気がするのはふつうたるゆえんか。
体が震えんばかりのふつうさである。「みんなでつくろう安心の街」「スポーツ観戦」。オーソドックスすぎてアヴァンギャルドですらある。
なにを見ても既視感が郷愁をともなってやってくる。DNAに刻み込まれたふつうさである。
ふつうじゃなさ具合もふつうだ
一見変わったものも、ズレ具合がふつうなのだ。
ガソリンスタンドがつぶれて万国旗が丸まっている。ああ知っている。見たことがある景色だ。ふつうだ。
ガクトみたいな地名。なるほど、「鼻毛石」ほど変わってはいないけど、「新田」ほどありふれてもいない。ちょっと変わっている。これぐらいがふつうなのだと感心する。
いろんなアプローチでふつうが迫りくる。さすが日本のスタンダードオブスタンダードの町だ。我々3人は感嘆するばかりである。