家の駐車場で車中泊すると手軽で楽しい

デイリーポータルZ

流行りに乗ってキャンプ道具を揃えたけれど、いざやってみると思いのほか面倒くさかった。

キャンプ場への連絡とか、朝露で湿ったテントを干したりとか、そんな仕事みたいなことを休日にやりたくない。

家の車で寝れば手軽にキャンプっぽく過ごせないだろうか。
 

車中泊なら面倒な行程をカットできる

キャンプは面倒くさいけれど車中泊は簡単だ。

家のドアを開けて

 

ちょっと歩けばもう宿泊地である

家の駐車場で寝るのに準備は何も要らない。玄関を出て車のドアを開けるだけでいい。ドアトゥドアで10秒だ。

それに車中泊ならキャンプについてくる雑事をまるごと省略できる。

・キャンプ場の予約
・キャンプ場までの移動
・道具の準備や手入れ
・テント張り
・浴場探し(車中泊なら家の風呂に入ればいい)

これだけのことをやらなくていいのだ。費用も労力もゼロなので儲かった気がして嬉しい。

「キャンプ=ひとりで過ごす」…だったら車でいい

家を出てひとりで静かに過ごすことがキャンプの定義だと思っている。僕の中ではテントも焚き火も必須ではないのだ。独りになれさえすればキャンプ。

その点では、車は手間いらずで遁世空間を用意できるから最強のキャンプギアといえる。 

うちの駐車場。見ようによってはキャンプサイトだ。たまに鹿が出る。

なぜ家の駐車場を選ぶのかというと、何よりもまず職務質問を受けないためである。

色んなことから目を背けたくてしょっちゅう近所の公園の駐車場で寝ていたころ、パトカーが近づいてきて起こされた夜が何度もあったのだ。
怒られたりはしなかったがサイレンの赤い光にはドキドキさせられた。どうせ楽しむなら心臓へのリスクが少ないほうがいいだろう。

らくらくベッドメイキング

車なら座席を後ろに倒すだけで寝られる。 

運転席のシートを
倒せば、はい、ベッド!

僕が乗っているタントは座席をフルフラットにすることもできるが、もはやそれすらもしない。戻すのが手間だからだ。

これでもシートは柔らかくて、テントの寝袋よりは上等な寝心地である。夜行バスのギチギチの座席と比べればラグジュアリーとすら言える。

車中泊の夜の過ごし方

ここから夜になります

モバイルバッテリーやヘッドライト、読みたい本などを用意すれば楽しく過ごすことができる。すぐそばに家があるから好きなものを持ち込めばいい。うちの駐車場はギリギリ家のwifiが届くのでインターネットもお手の物だ。 

ヘッドライトは見た目も格好良い

備え付けの室内灯を使うと車のバッテリーを上げてしまう可能性があるし、かといってエンジンを掛けていると近所迷惑になってしまう。

そこで登場するのがヘッドライト。ルームミラーに取り付ければ室内灯代わりになるほか、用途通り頭に取り付けても本を読むときなどに便利だ。

『あたしンち』は色あせないなぁ

 

カーナビでテレビも見られる。こんな秘密基地がほしかった。

そういえば、子供のころに車の室内灯で照らしたマンガとかゲームボーイって必要以上に面白く感じなかっただろうか。あれは一体なんだったんだろう。 

車を降りたら10歩でコンビニ

小腹が空いたら車を走らせてコンビニに行けばいい。

なにせ車の中にいるので、倒していた座席を戻してエンジンを掛ければすぐにたどり着けるのだ。普通のキャンプ場は人里離れたところにあるのでコンビニまで遠いだろう。これも自宅車中泊の利点である。

手間いらずで好きなものが食べられる幸せ
こんなにブレるほどスパイシーチキンが食べられて嬉しいのか

結局のところ大したことは何もしてないのだけれど、車の中だと楽しさが倍増する気がする。周りが暗いのはそれだけで少し新鮮だ。毎晩聞いている鹿の鳴き声も家の外にいるとより臨場感がある。

鹿:キャーーーーーーーーーーーーーー!! 

鹿は女性の悲鳴みたいな鳴き声をあげる
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車中泊の醍醐味!「起きる」必要に迫られる

気づけば朝、程度にはぐっすり眠れた。もみあげがアゴまで伸びる夢を見た。

車中泊の醍醐味は朝にある。朝方には四方の窓から光が差してきてアラーム要らずで目が覚めるというのがまずひとつ。 

外に出たら集落が雲で包まれていた

次に重要なのが、二度寝が必要なくなるという点である。車中泊はその寝姿勢の悪さによる体の凝りから、一刻も外に出てストレッチがしたくなるのだ。この体の不快感たるや二度寝どころの騒ぎではない。

しかしながら、否が応でも起きる必要に迫られるのは非常にありがたい。僕のようなぐうたら者は二度寝を無限に繰り返してしまうから、こうでもなきゃ予定のない日に早起きなんてできない。必要とは素晴らしきかな。 

朝のストレッチから爽やかに一日を始めることができる(半強制的に)

やっていることは一般的なキャンプとかけ離れているはずなのに、心情は完全にキャンプを楽しんでいるときのそれで面白かった。

というわけでキャンプの孤独成分だけを抽出したい人と、体の疲れと引き換えにしなきゃ早起きができない人に自宅での車中泊をおすすめしたい。

両方当てはまる人はたぶん気が合うので連絡をください。 

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