NTTデータら、豚のAI発情検知サービスをテスト販売–参画農場を募集

CNET Japan

 NTTデータとNTTデータSBC、日本ハムは10月5日、共同開発を進めている養豚支援システムの第1弾として、10月12日より発情検知サービス「PIG LABO Breeding Master」のテスト販売を開始し、参画農場を募集すると発表した。

 世界人口の増加に伴い、食肉全体の需要が増加傾向にある中、日本国内では豚肉消費の約半分を輸入に頼っており、国内における養豚生産は将来の豚肉安定供給にとって重要だ。

 一方、畜産農家数は1980年以降減少し続け、国内の養豚経営が中小規模から大規模へと移り変わり、一戸あたりの飼養頭数が増加。加えて、熟練した技術と経験を持つ養豚従事者の高齢化や、飼育技術の継承が問題となっている。

 また、家畜にとって快適な飼育環境の実現(飼育の最適化)をより一層推進し、労務負荷を軽減するとともに効率的な生産を行うことが求められている。

 畜産業では、他の農業と比べてもデジタル技術の活用が進んでおらず、家畜飼育生産業務の全般を支援するシステムの導入・活用によって、これらの課題解決につながると期待されている。

 そこで、NTTデータグループとニッポンハムグループは、2018年よりAI・IoTを活用した「スマート養豚プロジェクト」の一環として、養豚支援システム「PIG LABO」の共同開発を進めている。

 PIG LABOは、母豚の繁殖から仔豚の育成、出荷までの全ステージにおける飼育作業を、デジタル技術を活用してサポートするもので、PIG LABO Breeding Masterは、このうちの母豚の繁殖を対象とした「発情検知機能」を提供するサービス。豚舎に設置したカメラから、母豚の種付け適正時期を意味する発情を人工知能(AI)により検知するものとなる。

 これまで熟練した飼育作業員による長時間の観察が必要だった発情判定を、効率的かつ高精度に判定することが可能となり、高い生産レベルを安定的に維持できるという。

 なお、同サービスを使った実証試験では、受胎率が1.4%改善。熟練した飼育作業員の受胎率を上回ることに成功した。さらに、人による判定作業が79%削減できるなど、労務削減効果も確認されている。

 3社は、今回のテスト販売を通して、同サービスの実効性の確認や本格販売に向けた改善を行い、2023年度の本販売を目指す。また、新たな機能を順次開発・追加していく方針。

 今後は、分娩・哺乳、育成、肥育といった、母豚の繁殖から仔豚の育成、出荷までの全ステージにおいて、飼育作業をトータルでサポートするシステムを2029年までに実現することを目指す。

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