火星での晴天=砂嵐の予兆? 火星探査ミッションに大きく影響

火星。

もしかしたら、いつか人類が暮らす星となるかもしれない場所。

砂と埃に覆われたイメージが強いですね。もし移住するなら、お天気がいいポカポカな天候がいいなと思いますが、どうやら火星の晴天=鬼門の可能性が…。

嵐の前の静けさ

コロラド大学ボルダー校の惑星科学研究チームが、火星の砂嵐を調査しました。

調査には、NASAの探査機マーズ・リコネッサンス・オービターの観測データを使用。火星で発生する大型の砂嵐の約2/3の原因と考えられる天候パターンを特定。その結果、火星の晴天が砂嵐発生の起因となっている可能性が指摘されました。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載されている放射計MCS(Mars Climate Sounder)は、過去15年にわたり、火星の大気と地表のデータを収集。データから、火星の薄い大気圏を多くの太陽光が通過することで起きる、火星にとってはレアな「暖かい気候の時期」があることがわかりました。そして、7割近い砂嵐は、この暖かい時期=気温上昇後に発生していることが判明。

ぽかぽか天気と砂嵐発生の因果関係を直接的に結びつけることは難しいまでも、実はこれ、火星だけでなく地球でも起きていること。

研究論文の主な執筆者であるHeshani Pieris氏は、こう解説しています。

「地表が温まると、そのすぐ上にある大気の層が浮力となり上昇。その時に、地面の塵も一緒に巻き上げます。これが火星では、大気がクリアになると(太陽光がより地面に降り注ぎ、気温があがり)砂嵐が起きるということでしょう」

地球からも見える大型砂嵐

火星の砂嵐は、地球からでも望遠鏡を使えば観測することができます。砂嵐は毎年発生していますが、NASAの解説によれば超大型と呼べる砂嵐が発生するのは、火星時間で3年に1度ほど。地球時間では5.5年に1度。

火星の探査と天気

火星の天候は、火星探査ミッションに大きく影響します。冒頭で触れたとおり、砂嵐によって火星探査機オポチュニティのソーラーパネルが覆われてしまい、音信不通。これをきっかけに運用終了となりました。

NASAは、2030年までに火星に人類を送り込む計画。砂嵐の発生時期、つまり火星の天候は、このミッションに大きく影響します。

今後も、研究チームは火星の天候パターンを探るミッションを継続。「今回の研究が、火星の嵐予報のすべてではまったくありません。研究をさらに進めていきます」と、Pieris氏は語っています。

Source: University of Colorado Boulder