まさに宇宙の水道局。日に300万人分の漏水を解決するシステム

日本には「宇宙水道局」というものがあるそうです。

宇宙の水道局…?

2030年のISSの運用終了に向けて民間宇宙ステーションの建設が進められているので、そこのインフラ整備でしょうか。

いや、違うんです。私たちが日々使う水道の課題を、衛星データを使って解決するサービスが「宇宙水道局」なんです。つまり、私たちはすでに「宇宙水道局」の恩恵を受けているかもしれないんですよ。

今、日本の水道管がヤバい

そもそも何で水インフラに衛星データを使う必要があるのでしょうか?

実は、日本の水インフラって老朽化などが原因で水漏れしまくっているらしいのです。具体的な数字を言うとビックリしますが、なんと1日で300万人分以上の水が無駄になっているのだとか。1日で、ですよ。

原因は、水道管の老朽化や地震による地盤変動によるダメージ。さらに異常気象による極端な温度変化からくるストレスも。多くの水道管が40年以上前に作られているので、そろそろメンテナンスしないといけないのに、予算も人手も足りないからすべての水道管を交換しようと思ったところで、150年かかってしまうと言われています。

こんなに漏れまくっていたら、私たちの水道料金だって上がる可能性が出てきます。いやいや、これ以上家計を圧迫されるのは勘弁してほしいところ。本当に、一刻も早く水道管を直してほしいです。

水道問題は宇宙からのアプローチが最適解だった

そもそも、なぜ交換に150年もかかると言う計算なのでしょうか。

これには、予算と人手以外の課題があるんです。

水道管って地下に埋まっていますよね。つまり、水が漏れていたとしても目視できません。だから、今は水道管に1箇所ずつ足を運んで音を聞きながら漏水しているかどうか確認しているんですって。超絶アナログ!

そこで注目されているのが衛星データ。JAXAから出資を受けた宇宙ベンチャー・天地人の「宇宙水道局」は、宇宙ビッグデータ自治体や企業が保有する地上データを重ね合わせ、マルチモーダルAIで分析し、課題解決しようとしているんです。

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Image:天地人

自治体が管理するエリアを小さな区画に分けて、漏水リスクを5段階評価して見える化するから、どこを優先的に調査すればいいのかがわかります。人手も予算も最適化できるようになるってわけなんですね。

衛星データなら、目では確認できないさまざまな情報が取得できるし、広域+長期間にわたってデータを取得できるから過去データと比較して問題を発見できるメリットがあります。

地中に埋まっているからこそ宇宙からのアプローチが正解だったなんて、誰が思いつくんでしょうか。

衛星データの活用は「問題ありき」で考えるといいかも

「衛星データを活用しよう」と言われても、何ができるのかわからなくなってしまうことが少なくありませんが、目の前にある課題に対して「もしかして衛星データを使うと何かできるのかも? 」と考えてみると解決の糸口が見えてくるのかもしれません。

たとえば、クマ好きの私は人とクマが共存できる方法がないのか考えているのですが、衛星データを使って生息地の変化などを可視化すれば新たな対策案が出てくるのかな、なんて思いました。「宇宙水道局」のように、宇宙と地上のデータにさまざまな分野のエキスパートの知識がそろえば、何かできそうな気がします。

JAXAベンチャー「天地人」は、「天地人コンパス」という宇宙ビッグデータを基にしたデータ提供を行うWebGISサービスを無料で公開していますよ。課題があるけれど糸口が見つからない〜と思っている方は、触っている間に何かひらめくかもしれないので、アカウントだけでも作っておくといいかもしれませんね。

Source: 天地人

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